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#02 メンバー増員?



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー






 ってことで、朝ご飯を皆で食べた後、やってきました情報開示局。

 シータは朝ご飯中もここに来るまでも終始無言でしたが。


 中に入って真っ直ぐ漂流者専用受付へ全員で向かうと…今日も担当は目的のお人でした。

 窓口の前まで来ると、ニコニコして挨拶してきたよ…。


「おはようございますっ。情報開示局へようこそ、ナオト様っ」


「お、おはよう…ございま、す…?」


 えっと…何ですかね、初めて会った時より三割くらい美人に見えるその笑顔は…。

 しかもツヤッツヤのお肌でいろいろと溢れ出てるような感じが何とも…。


「?どうかされましたか?」


 …めっちゃすっとぼけてるよ、この人は…。

 どうもこうも貴女がそんな生気に満ち溢れた感じになってるってのは、どう考えてもそういうことでしょうがっ。


「……あー、うん。確かに俺は?いつでもいいとは言ったけどさ……シータまで巻き込むってどういうことだよっ、ファルっ」


「あっ!えっと……あは、あははは………」


 笑って誤魔化してるし…まぁ、見た目で全然誤魔化しきれてないのは分かりきってるんだけどなっ。


「思った通りファルだったんだな…全く……」


 と、軽く怒ったフリをしてみても、心の中ではありがとうございますっ!おかげで大変素敵な夜を過ごさせてもらいましたっ!と、お礼を言っているわけですが。


「えっと…ナオ?どういうこと…?」


「あー、うん、ここじゃちょっと何だから…どっか話せるとこないか?ファル」


「あ、はい。では、あちらの談話室で……」


 そういって俺達から見て右側の壁際にあるドア、多分そこが談話室なんだろう、そこに案内してもらった。


 中に入ると少人数で話す用の部屋らしく、全員座れるような感じじゃなかった。

 テーブルを挟んで二人掛けのソファーが2対あるだけの殺風景な部屋で、談話室っていうより密談室なんじゃないか?と思ったり…まぁ、今の俺達が話すには丁度いいかもしれないけど。


 とりあえず当事者のファル、俺とシータだけ座らせてもらって、アーネ、マール、リオは俺達が座ったソファーの後ろで立って話を聞く体制になった。


「さて、んじゃまずは…ファルの事からか。えっとみんな、この人漂流者担当窓口の受付嬢でファルシェナって言うんだけど…こう見えてサキュバスだから」



「「「「………」」」」



「ど、どうも…。サキュバスのファルシェナです。皆様、どうぞよろしくお願いします…」


「…え、ちょっ、待ってナオっ…!ほな、あの、夢って……っ」


「あー、うん…この人の仕業だよ……」


「………ほ、ほな…………あああの夢の中の事、ぜぜ全部………………」


「…………筒抜けというか、丸見えというか、バレバレ………」


「えっと…ナオト様、シータ様……大変美味でございました……」


「……………もしかして……ナオ、知っとったん……?……」


「……まぁ、その………………はい……………」


 知ってたというか、多分そうだろうと予想してたんだけど、あんなの我慢出来る訳ないじゃないですか。

 たとえファルの仕業で見られてたとしても、そんなの知ったこっちゃないですよ…。


「あー、ファルがサキュバスだっつーのは分かったけどよ、それがシータとナオトとどういう関係あんだ?」


「確かぁ…サキュバスってぇ〜他人のぉ夢の中にぃ入ってぇ精気を〜食べるってぇ聞いたことがぁあるよぉ〜?」


「いや、そりゃアタイも知ってっけどよ…何で二人なんだって話だよ」


「あ、それはですね、お二人が丁度一緒に居ましたので、私が夢をリンクさせましたっ」


 リンクさせしまたって…ニッコリ笑ってサラッと言ってきた辺り、間違い無く狙ってやったってことだろうな…。

 そんな事が出来るとは聞いてなかったから、予測の域を完全に出られなかったんだけど。

 これが出来るって分かってたら、誰かと一緒に寝るなんて選択はしな…い訳ないな、うん。

 昨晩のシータを断るなんて、俺には無理だったし。

 結果的に見ても、夢の中で大変いい思いが出来たし、シータとの仲も深まったと思うし…いい事しかなかったもんなぁ。


「へぇー、んなことも出来るんか……ってことは、二人で同じ夢見たっつーか、夢ん中にいたってことか?」


「はい、そうですね。お二人共仲睦ま「わあああああー!わああぁぁぁぁーー!!」でしたよ?」



「「「………」」」



 ですよねー…たとえ夢の中だったとしても、あれはそう安々と人に話せるような内容じゃないもんな…。

 まぁ、恐らくシータはメンバー会議とやらで取調べよろしく吐かされるんだろうけど…リズとラナ辺りには特に絞られそう…。



「あー、なんだ。こりゃメンバー増やさないとダメか?」


「会議にはぁ〜参加ぁしてもらわないとぉ〜、間違い無くぅダメだぁねぇ〜」


「ええと…会議というのは?」


「………マスター、と……気持ち、よく……なる、ために、は……。……を、話し…合う、会…………」


「おぉい!リオっ、何言っちゃってるのっ!?」


「んー、あながち間違っちゃいねぇけど、まぁそれも含めて話し合う会だな」


「ちょっ、アーネまで…っ」


「ナオちゃんとぉ〜如何にぃ仲を深めるかぁ〜、それを話しぃ合うぅ会だぁねぇ〜。ふふっ」


「…………」


「まぁ、それは素敵な会議ですねっ。是非私も参加させて頂きますっ」


 …何でこうなる……夢の事聞きに来ただけのはずなのに…。

 ファルまでノリノリとか意味分からないってのっ!


「待ってっ、ファル来たらウチのあの夢の中の事……」


「はい、それはもう素敵な交「わー!わー!ここではやめてぇなっ!!」……そうですね、ではその会議の場でお話「それもダメっ!ダメったらダメやっ!!」……そうですか…残念です……。あんなに素敵でしたのに……」


 すまんシータ……俺が我慢出来なかったばっかりに…。

 というか、ちゃんと説明しとけば良かったんだけど、あんなに可愛いシータ見ちゃったらもうホント止められなかったんだよ……。


「大丈夫だって、ファルが来てくれるんならシータが何言おうと洗いざらい話してもらうからよっ」


「そうねぇ〜、シーちゃんにぃ妨害権はぁ〜ありませぇ〜んっ。もしぃ〜邪魔ぁしちゃうならぁ〜…うふふふ」


 嘘だろマール、その眼は…そこまでして聞き出したいのかっ、それはちょっとやり過ぎじゃっ!?


「ちょ、ウチに邪兎眼使うとか冗談やろっ!?」


「ま、それが嫌ならおとなしく全部ゲロっちまうこったな。楽しみにしてるぜぇー、くはっ!」


「そ、そんなん…ウチ、どうしようもあらへんやんか……。ナオぉ…どないしよぉ……」


 ……ごめんなさい、俺にはどうすることも出来ないみたいだ、シータ…。

 もうこの際俺を悪者にしていいから、ホントに。

 全部俺のせいにしちまって構わないよ…だから、強く生きてくれ……。


「……シータ…。が、頑張ってくれとしか……」


「そ、そんなぁ………」


「ま、アタイらに隠し事なんか出来ると思うなよ?シータ。くくくっ」


「じゃぁあ〜、これでぇ決まりねぇ〜。会議ぃする時にぃ声ぇ掛けるからぁ〜、よろしくねぇ〜ファルちゃん〜、ふふっ」


「はい、分かりました。楽しみにしていますねっ」


 え…これ、また増えたとか言わない…よな……?

 ただでさえもういっぱいいっぱいなのに、これ以上とか…。

 いや、でもファルなら…考えようによっては居て欲しい、かも?

 だって夢の中でなら何やっても…って違ぁぁうっ!また何考えてんだ俺っ。

 シータ以外にも手出す気満々ってことじゃねーかそれっ!最低だな、俺…。

 でも…昨晩のシータみたいに他の皆から寄ってこられたら……間違い無く襲っちゃうよなぁ…夢の中なら。

 まぁ、現実で間違えないように気を付けてくしかない、か……。


「あとは何か用あんのか?ナオト」


「え?あ、いや、今回のこれがファルのせいって分かったからもういいんだけど」


「あの…お咎めとかは……」


「お咎め…?何で?」


「いえ、その…勝手にお二人の夢を繋げてしまったので……」


 隣のシータを見る。

 シータも俺を見る。

 お互いの顔を見た時点で何も言わなくても分かった。


「そんなの…ファルは見てたんなら分かるだろ…」


「そ、そうや…全部見とったんなら、分かるやろ……」


「そうですねっ、逆に感謝してもらうところですよねっ」


「そこまでっ…とは、言い切れ…ない……くっ……」


「つ、繋げてくれたことには感謝してもええけど、見てたところには感謝なんて出来へんからなっ!」


 俺としては全然感謝というか、グッジョブ!って言ってやりたいとこなんだけど…シータの事考えると、一人で喜ぶわけにはいかないよなぁ…見られた恥ずかしさはどうしようもないだろうし。


「お前らよぉ…ホント夢の中でナニヤッてたんだよ?」


 アーネのそのニヤニヤした顔…分かってて聞いてるのバレバレだっての。

 言い回しから決め付けてるし…その通りナニをヤッてましたっ!なんて言えるかっての…。


「………俺の口からは、言えない………」


「そうだぁねぇ〜、夢の中だもんねぇ〜…。言えないぃようなぁ事ぉ〜しちゃうよぉねぇぇ〜?」


「………わた、し…も……夢、の中………入っ、て…みたい……な…………」


「いいなそれ、アタイも入ってみてーぞ?」


「ナオちゃんとぉ〜一緒にぃ眠ればぁ〜、繋げられるのぉ〜?ファルちゃん〜」


「ええ、そうですね。私の効果範囲内であればいくらでも繋げられますよ」


「ちょ、待て、いくらでもって、まさか………」


「……皆様が一緒に眠れるベッドをご用意いただければ。ふふっ」


 じょ、冗談じゃない、そんなことしたら俺が…俺が元に戻れなくなるだろーがっ!いくら夢の中だって言ったって、物事には限度ってものがあるんだよっ!それを軽々突破しちゃいそうだから怖いんだってっ!


「洒落になってないから止めてくれっ!」


「……みんなと一緒、なら……恥ずく、ない…?」


「シータも何言っちゃってるんだよっ!?」


「これあれだな、リズ案件にしとくか。リズなら上手くヤる方法思い付いてくれそうだわ」


「いやホントマジ冗談で済まないからなそれっ!!」


 リズなんて喜んで飛びつきそう…って一瞬思ったけど、もしかしたら大丈夫かもしれない。

 あ、いや、逆に大丈夫じゃない、そっちの方が格段にマズいじゃねーかっ!ホントもう朝っぱらから俺の理性水に流すようなことしないでくれって…っ。


「あ、すみません、あまり長い時間窓口は空けられないので、この辺で…」


「え、ああ、分かった…。とりあえず話聞けて良かったよ…」


「はい。では皆様、またゆっくりお話を」


「おう、楽しみにしてるわっ」


「ありがとぉねぇ〜、ファルちゃん〜」


「………また…ね…………」


 皆で挨拶をして部屋を出た。

 と、シータがファルをちょっと呼び止めてた…他に何か知りたい事でもあるのか?



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



「ファル、その…」


「?どうしました?シータ様」


「いや…えと、なんや、その……あ、ありがと…な……」


「いえいえ、こちらこそありがとうございました。今まで食事した中で、一番極上の味わいでしたので」


「そ、そうなん…?味なんて変わるもん?」


「ええ、ナオト様にはご説明しましたけど、私達の食事は夢の中での幸福度によって精気の味が変わってきますので」


「幸福度…そ、そうなんや……。ほな、今までで一番旨かったってことは、ウチもナオも……ってこと…?」


「勿論です。あの味を知ってしまったら、もう他の味では満足出来ないかもしれません…」


「そ、そこまで…?」


「はい。ですので是非また味わわせていただければと」


「う…か、考えとく…わ……」


「ふふっ、よろしくお願いしますねっ」



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 内緒話っぽく二人だけで話してるのはちょっと気になるけど、まぁ女の娘同士いろいろあるんだろうってことで気にするのは止めた。


 と、受付窓口の方まで戻って来た時に、キョロキョロしてる男が目に入った。

 あれ、格好からして漂流者だよな…ここに居るってことは来たばかりって事かな?


 スーツ姿のちょっと小太りした、元の俺より若干若い感じのおっさん…って、俺も中身はおっさんだけど、そんな人がちょっと困った感じで挙動不審になってた。


 シータと話してたところ悪いと思いつつ、ファルに声を掛けた。


「なぁファル、あの人漂流者だと思うんだけど、見た感じ困ってるっぽいから早く戻ってあげた方がいいんじゃ?」


「えっ?あ、そうみたいですねっ。すぐ戻ります、では皆様またっ」


 そう言って受付窓口まで小走りに戻って行ったファル…お仕事頑張ってください。


 で、俺達はもう用が済んだから次の用事にってことで出口へ向かう途中、そのおっさんの近くを通ったんだけど…一瞬だけ目があって、すぐ反らされた後、舌打ちが聞こえたような気がした。


 あー、多分皆に囲まれてるからだろうなぁ…やっぱり誰から見ても皆可愛いんだろうし、やっかみくらいは受けるよな、当然…って思ったり。






 ───もっとしっかり相手を見ていれば、って激しく後悔することになるなんて、この時は知る由もなかった。



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