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#05 冒険者ギルド



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー






 数分歩いて冒険者ギルドに到着、ここにはドラゴンっぽいモンスターに剣がクロスしている看板がぶら下がってた。

 情報開示局と同じでここもそれなりに大きい…二階、いや三階建かな?


 ウェスタン風の扉を開けて中に入って周りを見渡してみたけど結構な広さだ、やっぱりそんだけ冒険者ってのがいるんだろうな。

 入り口近くに待合いっぽい席がいくつかある…右側の壁には紙がいっぱい貼ってあるから、あれがクエストボードってやつか。

 左側にはテーブル席とカウンターがあって、飲み食いしてる冒険者がいるから、ギルド酒場ってとこだろうな。


 なんて、初心者丸出してキョロキョロしてたから気付かなかったけど、手前の待合いっぽいところにいた冒険者たちと、入り口に近い酒場の席で飲んでた冒険者たちの視線が俺に集中してた…情報開示局より人数は多い気がする、ここは。

 あーでもすみません、気が小さい方なのでそんなに見ないでくれますかね……珍しいのはわかりますけど、緊張しちゃうので。

 

 とりあえず、急いで受付に……奥の方にあるあそこかな?

 なるべく周りを見ないように一直線に受付へ。


 受付の数は5つ、どれも似たような感じでそこそこ並んでるなぁ…真ん中に並ぶ勇気はないから一番右端でこそっと並ぼう。


 最後尾に付いたけど、視線は相変わらずのような気がする。

 前に並んでる人も、わざわざ後ろ振り向いて見なくていいですから、お願いします、ほっといてください。


 何とか誰にも話し掛けられずに受付へ到着…ホッと一息ついたところに、受付嬢から声を掛けられた。


「冒険者ギルド、ガルムドゲルン支部へようこそ。ご用件をどうぞ」


 oh…獣の耳が付いてる……獣人ってやつか。

 多分犬の耳のような気がする…パッと見だと俺には判別がつかない…けど、可愛いのは疑いようがないな。


 こっちの世界では受付とか客の前に出るような職はビジュアル重視してるとこあるのか?

 さっきのファルシェナさんもそうだったけど、見目麗しいのが採用基準なんだろうか。

 っと、見惚れてる場合じゃなかった。


「えっと、冒険者登録をお願いしたいのですが」


「あ、はい、新規の方ですね。ではこちらの用紙に必要事項を記入してもらえますか?」


 あ、記入式か、マズい。

 文字通じるか分からん…代筆してもらうか。


「あー、すみません、代筆ってお願い出来ますか?」


「えぇ、構いませんよ。ではお名前からお願いします」


「ナオトです。姓はユサです」


「ナオト・ユサ様ですね。失礼ですが爵位をお持ちですか?」


「いえ、持っていません。見てお分かりになると思いますが、漂流者なので」


「あ、やはり漂流者の方でしたか。分かりました、では名のみで登録しておきますね」


「はい、分かりました」


「それから、年齢と性別なんですが」


「18歳、男です」


「はい、ありがとうございます。最後に職種は何になりますか?」


「あー、えーっと……魔法剣士、ですかね」


 この世界に闇黒魔刀剣士なんて職種があるとは思えない、っていうか俺オリジナルのはずだから、まず間違いなく無いな…ここに来るまで闇黒魔法しか使ってないけど、一応刀剣使えるようになりたいから、ありそうな魔法剣士にしてみた。


「魔法剣士ですか…凄いですね。魔法と剣術の両スキル持ちなんて、さすが漂流者ですね」


 え、なに両スキル持ちっていないの?そんなの知らんし…言ってしまったものはしょうがない、そのままでいいや。


「まぁ、こちらに来たばかりなので、まだ全然慣れてないんですけどね…ははは」


「漂流者の方ですからね、素質は十分にあると思いますよ」


「だといいんですけどね…とりあえず頑張ってみます」


「ふふっ、頑張ってくださいね。以上で必要事項は揃いましたので、登録証を発行します。少々お待ちください」


「はい、よろしくお願いします」


 ふぅ、とりあえずなんとか登録出来そうだ、一安心。

 ちょっと余裕出てきたから、恐る恐る周りを見渡してみたら…相変わらず視線向けられてた。

 しかもさっきより険しい感じがする……何でだ?





 ──ザワ…ザワ……


「おい、見たか…さっきの」


「あぁ、見たぞ。あのラナちゃんが、笑いかけた…だと……」


「ありえねぇ…なんであんな小僧が」


「俺だって笑いかけられたことねぇぞ、くそ!羨ましい……っ」





 あのー、なんかこっち見ながらボソボソ話し込むの止めてくれませんかね…気が気じゃないんですが……。

 

「ナオト様、お待たせしました。こちらが登録証、ギルドカードになります。紛失された場合は再発行手数料が200セタル掛かりますので気を付けてくださいね」


 お、これが登録証…ギルドカードか、キャッシュカードが金属板みたいになった感じで結構しっかりしてるな。

 あれ?再発行で金取るんだから、登録するのにも金掛かるんじゃ…。


「えっと、登録時にはお金掛からないんですか?」


「あ、そういえば説明してませんでしたね、すみません。通常ですと登録時にも手数料100セタル掛かりますが、漂流者の方は初回クエスト成功時の報酬から差し引くようになっています。来たばかりでお手持ちが無い方も多いようでその点を考慮しています」


 おっとここでもか、この世界、漂流者に優しすぎだろ。

 なんか逆に恐縮しちゃうな、親切過ぎて。


「なるほど、そういうことだったんですね、分かりました」


「はい。ではこれから当ギルドの仕組みについて説明しますね」


「よろしくお願いします」


「当ギルドでは貴賤を問わず様々な方からの多種多様な依頼、材料採取の納品であったり、街全体への奉仕活動であったり、魔物の討伐、魔物からの護衛であったりと、それぞれ内容に見合った報酬を設定してもらい、ギルド側ではその内容に見合ったランクを設定してそれを請け負います」


 ふむふむ、まぁ、依頼内容は想像通りだな。


「冒険者の方はこれらの依頼を自身に見合ったランクでクエストとしての受注が可能です。ランクについては後ほどご説明しますが、個人でクエストを受ける場合は同ランクまでのクエスト、パーティーですと一番高ランクのメンバーに合わせたランクまでのクエストの受注が可能です。パーティーについてはこの制約があるため、特殊な場合を除き編成は上下2ランク差までになります」


 ソロは同ランクまでか…まぁ、別に急いでランク上げることもないだろうし、まずは地道に生活基盤をどうにかしよう。

 いくらチート持ってても一攫千金とか狙おうとしない自分の思考が完全に小心者な小市民…向上心とか当の昔に置いてきちゃったしな……。


 ランク差があるとパーティー組めないってのはまぁ分かる、実力差ありすぎると意味無いしな…特殊な場合ってなんだろ?訓練とかの引率パーティーかな?

 機会があればパーティーとか組んでみたい。

 コミュ障ではないはずだからパーティー組むのも抵抗ないと思ってるし。

 ただし女性がいる場合、その限りでは無いっていう条件が付くけど…。


「受注したクエストの結果により報酬を受け取ることが出来ます。また、クエスト毎にポイントが設定されており、自身と同ランクのクエストを成功させた場合に、設定されたポイントを取得出来ます。同ランク以下のクエストを受注した場合、クエストの成功失敗に関わらず、設定されたポイントは取得出来ません。逆にパーティーでの受注で自身のランクより上のクエストを達成した場合は、設定されたポイントの取得が倍になります」


 クエスト成功時は報酬とポイントってわけか。

 ってことは、ランク昇格はポイント制って感じかね、しかも結構シビアっぽいし。

 早くランク上げたいならソロじゃなくてパーティー推奨ってところか。

 今のところはポイントとか気にする必要はないかな、下位ランクでもやれそうなクエストがあったらやるつもりだし。


「失敗した場合は報酬とクエストポイントを受け取ることは出来ません。また、ポイント取得可能なクエストを5回連続で失敗した場合はランク降格、最低ランクの場合は冒険者資格剥奪の措置があります」


 ペナルティは当然あるよな、うん。

 あまり無茶なクエストは受けないよう気を付けないとな。


「この場合の5回連続とは、ポイント未取得となるクエストの失敗はカウントされますが、成功は連続解消のカウントには含まれませんので、受注の際は計画的にお願いします」


 意外と厳しいんだな…同ランクのクエスト5回失敗で降格、下位ランクのクエスト失敗はこの連続に含まれるけど、成功じゃ連続途切れないのか…まぁ、簡単にペナルティ解消は出来ないようにってことか。

 適当にクエスト受けてると痛い目見そうだから、クエストの内容は吟味するようにしないと。


「それと、一定期間クエストを受注していない場合もランク降格または資格剥奪の措置がありますのでご注意ください。受注猶予期間はランクによって異なりますので、何らかの理由により長期間クエストが受けられない場合などはギルドに報告をお願いしています」


 この点は大丈夫かな、最初はとにかくクエスト受けまくるだろうし。

 うん、と頷いておこう。


「次にランクの説明ですが、こちらをご覧ください」


 受付嬢から1枚の紙が俺に見えるように差し出された。

 ランクについて書かれている紙なんだろうな、どれどれ。


「冒険者ランクは実力に見合うよう設定されます。通常は最低ランクのカッパーからになります」


 これはランク表か、内容は


【ランク一覧】

 カッパー   :初心者・新米冒険者

 ブロンズ   :見習い・駆出し冒険者

 シルバー   :初級冒険者

 ハイシルバー :一般冒険者

 ゴールド   :中級冒険者

 ハイゴールド :上級冒険者

 プラチナ   :熟練冒険者

 ミスリル   :達人級冒険者

 オリハルコン :英雄級冒険者(※)

 アダマンタイト:伝説級冒険者(※)

 アルティライト:真・冒険者(※)


 と、こんな感じになってる。

 結構細かいのと、ミスリルまでは硬貨種類と同じっぽいから覚えやすいかも。

 ハイシルバー辺りから一端の冒険者と認められる感じかな?


「ただし、漂流者の方は登録時に別途査定がありますので開始ランクが異なる場合があります」


「え、そうなんですか?」


「はい、大抵は登録する際にランクに見合わない魔物を狩ってきていたりするので…」


 あー、例に漏れず俺もそれに当てはまりそうだ…。

 魔物の強さとか分からんから、どうなるのか予想つかないけど、後で査定されるってことか。


「ランクの昇格については、各ランクに設定されている規定のポイントに到達すると昇格が認められます。クエスト連続失敗等で降格した場合は、降格ランクの開始ポイントからになります。ポイントでの昇格ランクはミスリルまでとなり、それ以上のランクは特別な功績、例えば国家単位の依頼や災害級の魔物の討伐など、ポイントの設定が困難なものを達成した場合に昇格が判断されます」


 なるほど、そういうシステムになってるのか。

 この辺りは関係ないな、降格さえ気を付けてやっていけばいいだけだし、とりあえず定期的な収入の方が大事、と。


「プラチナ以上のランクになると、指名依頼を受けることもあります。こちらは特に強制ではありませんが、指名した依頼者と内容について交渉することが可能です。その場合、ギルド側は交渉の立ち会いを行います。例外的に強制となるのが緊急依頼です。そうそうあるものではありませんが、緊急の対応であるためハイシルバー以上のランク冒険者が強制参加の対象となっています」


 指名依頼は強制じゃない、と。

 交渉出来るってことは内容確認してから受けるか断るか判断出来るんだな。

 緊急時は、まぁ、仕方ないよな…そうそうあるもんじゃないって言ってるし、その時はその時か。



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