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#25 報告・クエストクリア結果



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



「ふんふふーん……さて、みんなのポイントはどうなったかなっと……あれっ?これって…」


「ラナ、丁度良かった、ここにいたのね」


「あっ、チーフ、もう打ち合わせは終わったんですか?」


「いいえ、まだね。先に伝えないといけないことが出来たから少し抜けてきたのよ…ナオトさん達はまだいるわよね?」


「はい、丁度今ナオトさん達のクエストポイントの更新をしてましたので」


「そう、なら間に合ったみたいね…。そのナオトさんなんだけれど、ランクをプラチナに上げておいてもらえる?打ち合わせで決まったことだから」


「えっ!いいんですかっ!」


「ええ、フィルもショーちゃんも合意の上よ」


「そ、そうですか…分かりました。ではランクアップの手続きもやっておきますね」


「よろしく頼むわね。私はまた打ち合わせに戻るから」


「はいっ」



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 ラナが戻ってくるのを待ちながら姫達を眺めてたんだけど、みんな嬉しそうな顔してる…やっぱり連続失敗解消出来たのがよっぽど嬉しかったんだろうな。

 まぁ人生掛かった崖っぷちだったんだから当然っちゃ当然か。


 俺もそんな姫達を見てニコニコしてたらラナもニコニコして戻って来た…そっか、ラナもみんなのこと気になってたんだろうから、そりゃ嬉しいに決まってるか。


「ふふっ、みんなお待たせっ!」


「そんなに待ってねぇよっ、それより連続失敗記録消えたか?」


「うんっ、ちゃんと解消してたよっ。じゃあ…はい、これっ」


 そう言ってラナから差し出されたのは…白金のギルドカードが1枚と、金色のギルドカードが3枚だった。


「「「…え?」」「…は?」「…ん?」」


 全員渡した時と違う色のギルドカードが返ってきたことに一瞬戸惑って、そして…


「…ラナ……これ、マジ…なの、か……?」


「うんっ、マジだよっ!おめでとうっ!」


「「「!?」」」


「…やった……やったぁぁぁあ!やったぜぇっ!ナオトぉっ!!」


「うわっ!ちょっ、アー……」


 …物凄い勢いで俺に抱きついてきたアーネ…相当嬉しかったんだろうな、周りも何も気にせず飛び跳ねて俺の首に腕を巻き付けて…ケモミミとか尻尾とか見たことないくらいピクピクフリフリしてる…ネコ科の動物って嬉しい時も尻尾とかで表現するんだっけ?確か犬はそうだったと思うんだけど…。


「やった…っ!これで、まだ…冒険出来る……っ!」


 人目もあるから引き剥がそうかと思ったんだけど、すぐ側にある顔を見たら目尻に涙を浮かべてた…そっか、泣くほど嬉しかったんだ……良かったな、アーネ、って思ったら自然とこっちもギュッと抱きしめ返しながら、頭をゆっくり撫でてた…ケモミミ含めて。




「…あのねぇ……アーちゃん………」


「…そこは、ウチらと抱き合って喜ぶとこちゃうの……?」


「…………………(ババッ!」


 …流石アーネ、半端なく素早い動きで剥がれていった…俺の拘束も難なく振り解いて。


「やっ!あのっ、これは…っ、違くてっ……!」


「あーええよ、無理して言い訳せんでも」


「そうそう〜。アーちゃんのぉ〜素直なぁ気持ちぃでしょぉ〜?」


「そっ!そんなんじゃっ……無ぇ…よ………」


「はいはい、ちゃんと嬉しいのは伝わったから、ね。とにかくみんなおめでとうっ!あ、ナオトさんはポイントでの昇格ではなくて、ギルドで協議した上で、だそうです」


 ラナが場を収めてくれて、俺の昇格理由も教えてくれた…そうだよな、ポイントなんてまだ溜まってるわけ無いし、クエストクリア事態初めてなのに…。

 しかしもうプラチナか…ん?あれ…?確か指名依頼ってプラチナからって言ってなかったっけ…?まさか都合良く依頼出来るようにしとこうって魂胆じゃない…よな?でもあり得そう…まぁ、強制じゃなかったはずだしヤバそうだったら断ればいいから問題ないかな?


「いや、まさかこんなに早くウチらがゴールドになれるなんてな…」


「本当だねぇ〜…解消出来ればぁいいなぁ〜くらいだったからぁ…」


「みんなが頑張ってたからでしょ。クエストは失敗してもポイントは減らないし、蓄積されてた分と今回は2倍だったからね。これでまた堂々と冒険者続けられるじゃないっ」


「…あぁ。それがマジで嬉しいっての……」


「アーちゃんのぉ〜あんなぁ嬉しそうなぁ顔ぉ〜、久しぶりにぃ見たよぉ〜。ふふっ」


「せやけどまずはウチらに見せるんが普通やないかなぁ?アーネ」


「しょ、しょーがねーだろっ!だ、だって丁度良い所にいるんだもん…ナオトが……」


 何気に俺のせいにされてますけど、まぁあんな可愛いアーネが見れたなら潔く俺のせいにされときますよ。

 二人には悪いことしたけどな、一番に喜びを伝えてもらったっていう…。


「アーネもこれでウチと同じやなぁ……ぁ?ウチと………同じ…………ぃ??あ…あぁぁぁあ!!」


 え、そこで思い出すの?さっきまでスッパリ忘れてたよな?シータ…今更そこで屈み込んでも……。


「二人ともぉ〜ちゃんとぉ周りはぁ〜見ようねぇ〜」


「「………」」


 一人は屈んだまま、一人は立って俯いたままぷるぷるしてるし…。

 周りからのいろぉんな視線はもうどうしようもない、俺は俺でどんな事になっても受け止めますよ…大半はやっかみだと思うけど。

 だって正直自分でも役得みたいに思っちゃってるとこあるのは否定出来ないし…今日だけでまさかこんなに引っ付かれるとは思いもしなかった。

 当然嬉しいんだけどね…年頃の娘さんと抱き合うなんて考えもしなかった、妻ですらもう数十年触れ合ってなかったんだから…。


「今日は朝からいろいろあって、いつもと違う一日でしたよ。実はちょっと楽しかったです、ふふっ」


「そうだな…朝からいろいろあったなぁ……。あー、いや、でも騒がしくしてごめん。迷惑掛けちゃったな…」


「ふふっ、大丈夫ですよっ。冒険者の皆さんは刺激に飢えてますからねっ、これくらいは何でもありませんって」


「ならいいけど…」


「丁度良い話題を提供したとでも思ってもらえればいいんですっ」


「…進んで提供したかったわけじゃないんだけどな…。まぁ、元々みんな名が売れてたみたいだし、割り切っとくかな」


「そうそう、冒険者ならそれくらいでいいんですよっ。これからもまだまだいろんな事があるんですからっ!」


 だな…俺の冒険者ライフはまだまだ始まったばかりだしな。

 これからどんな事が起こるか、どんな冒険が待ってるのか…とにかく目一杯その時を楽しむとしますかね。


「うん、ラナの言う通りこれからもいろいろあるだろうし、気にし過ぎない程度にやっていくかな」


「ですねっ、頑張ってくださいねっ!っと、忘れるとこでした。こちらがクエストの報酬と魔石の買取代金になりますっ」


 お、報酬か…こっちはみんなと分けないとな。

 トレーに乗って渡されたのは、金貨1枚と大銀貨6枚の16000セタル。

 えっと、一人頭大銀貨4枚…4000セタルってことか。

 初回の稼ぎとしては中々良い方なんじゃないか?どうだろ、みんなに聞いてみないと。


「そこで悶てる二人、いい加減戻って来いって。ほら、今回の報酬もらったぞ?」


「「………」」


 …まだぷるぷるしてるし。

 もう今更だって…ほら、そこの奴なんかニマニマして見てるし、あっちの酒場の方じゃこっち見て何やら盛り上がってるっぽいし…。


「もうちょっと〜、放っておいた方がぁいいかもぉ〜」


「…だな。んじゃマール、ほらっ」


 俺の分の大銀貨4枚抜いて、残りを全部マールに渡してやった。

 っていうか、もうギルドカードも更新したし、報酬も貰ったんだからいい加減受付窓口から退かないと。


「ラナ、これで終わりだよな?」


「あ、はいっ。完了ですよっ」


「そっか、ありがとな。あっと、そうだ、ラナはいつ仕事上がるんだ?」


「え?上がりですか?もうちょっとで夜勤組と交代ですけど…」


「なら丁度いいか。もし良かったらだけど…そこでみんなと一緒に飲まないか?ランクアップと初クエスト成功の祝いに」


 さっきギルドに入った時にちょっと考えたんだけど、ランクアップまで付いてきたからこれはやるべきだな、と。

 人数は多い方がいいだろうからラナも…まぁ元パーティーメンバーだし、誘わないと逆におかしいと思って声掛けてみた。


「えっ!その、わたしも…いいんですか…?」


「勿論。元パーティーメンバーなんだし。あ、でも無理には誘わないから、ラナがもし良け「い・き・ま・すっ!!」…お、おう…分かった……」


 めっちゃ乗り気だった…またフンスッって…相変わらず可愛いですねっ!


「あれだったらリズも誘ってみてくれ、みんなで飲「引き摺っていきますっ!!」………あぁ、うん………」


 いや、引き摺ってって…確かにリズなら誰でも引き摺って来れるだろうけど、無理矢理連れてくるのは無しな?


「んじゃ、すぐそこだから先に始めてるな。仕事上がったら合流ってことで」


「わっかりましたっ!んーっ楽しみぃ!あ、もう上がろうかな?」


「待て待て、ちゃんと仕事はしような?」


「わかってますよっ、ふふっ。早くー交代の時間に〜ならないかなぁーっと!」


 …分かってる…んだよな?これ……。

 でもまぁもう少しって言ってるから大丈夫か、多分…。


「じゃ、後でな」


「はいっ!」


 とりあえず窓口から離れるとして、姫達に言わないとな…先に当事者じゃないラナとか誘っといてなんだけど。

 いや、流石に姫達には断られないだろ…あ、これ断られたらショックデカいな、下手したら立ち直れないレベルかも…。


「マ、マール、えっとな…」


「ふふっ、大丈夫ぅ〜聞こえてたからぁ〜。私もぉ大賛成だよぉ〜っ」


「そっか…よかった……断られたらどうしようかと……」


「ほとんどぉ〜ナオちゃんのぉおかげなのにぃ〜、断るわけなんてぇ無いよぉ〜」


「そんなこと無いだろ…みんなで頑張ったんだから。自分にやれることを、さ」


「そうだねぇ〜、ふふっ」


 よし、後はそこの二人を……もうさ、そこで悶ててもどうにもならないんだから、さっさと戻って来た方がまだ注目浴びないと思うぞ?


「シータ、アーネ。ちょっとそこで飲んでいかないか?祝杯上げよう」


 ピクッ


 お、反応あり、これはちょっと押せばいけそうだな。


「マールは行くってさ。後でラナとリズも来てくれるって」


「…マジで?」


「…ホンマか?」


「嘘言ってどうするんだよ。まぁ、リズは…ちょっと分からないけど、多分ラナが連れて来てくれる…はず」


「…なら、行く」


「ウチも…」


「よし、決まりな。ほれ、行こうぜ」


 祝杯の魅力が羞恥を上回ったらしいな、よしよし。

 んじゃ、皆で祝杯といきますかっ!



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