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#13 順番待ちにて・イジられシータちゃん



「どうやった?ナオトはん」


 ステータス見ながら、うーんって唸ってたらシータが催促してきた…とにかくまずは能力値の話をしてちょっとお茶を濁そう、選択職種については言わずに終わることを祈りつつ…。


「あー、うん、そ、そうだな…とりあえず、アーネは思った通り敏捷が高いな」


「まぁ、このガタイだしな、そっちの方が性に合ってるわ」


「それからマールは…割と平均的だけど、ちょっとだけ魔法寄りに能力が高い感じかな」


「へぇ〜、そうなんだぁ〜」


「で、シータはマジックユーザーだけあって魔力と魔法に関する能力が一段抜けてるな」


「そら、そうやないとウチが困るしな」


「それでぇ〜?私とぉシーちゃんにはぁ〜選択職種はぁあったのかなぁ〜?」


 うっ…当然気になる…よな……どうしよう、上手く伝えられる自信がない…けど、素直に言うしか無いよなぁ……。

 これさ、もしかして見ない方が良かったってオチか?


「う、うん…あった…ことは、あったんだけど……」


「なんや、そないに言いにくい職種なんか?」


 言いにくい、というか…シータのなんか、それ職種なのか?って思っちまったし……。

 まぁ、見たからにはそのまま言うしか選択肢は無いか、嘘付くわけにもいかないしなぁ。


「正直に言うと、そうかな…。それでも、言った方がいい?っていうか、聞きたい…?」


「う〜ん…そんなぁ言われ方ぁするとぉ〜、余計にぃ気になっちゃうよねぇ〜…」


「せやなぁ…まぁ、アーネも聞いたんやし、ウチらも聞いとこか?マール」


「そうだねぇ〜…うん〜聞いておこうかぁ〜。ナオちゃん、いいぃ〜?」


 やっぱりそうなりますよねー…はい、分かりました、覚悟決めます……。


「うん、分かった…。まずは、マールだけど…あったのは、ネクロマンサーとバーサーカー……」


「………ふぇ?」


 あ、スゴイ気の抜けた声出した…ちょっと可愛いと思ってしまった……。

 でも、今のマールと正反対の職種と言ってもいいくらいなんだから、そりゃ驚くよなぁ。


「多分だけど…マールのその眼のせいだと思うんだよね……」


「…………ふぇぇ?」


「それ、固有スキルで、邪兎眼って言うらしいよ」


「…おいおいマジか……昔っからアブねーヤツだとは思ってたけど、まさか邪眼使いだったとはなぁ……」


「しかもバーサーカーとか…昔っから本気でキレた時に暴れて手が付けられんかったんも、それのせいやったんか……」


 あ、そんな昔っから持ってたんだ、アーネみたいにここ最近生えてきたってわけじゃないんだな…まぁ、そうか、邪兎眼がユニークスキルだから昔から知らず知らずに使ってて、いつの間にか生えてたって考えるのが妥当か。

 しかし聖邪混濁娘とか、おっかない称号持ってるなぁ……ウェナもシャリーもホントに命懸けで遊んでたんだな、これ。


「えぇっとぉ〜……私はぁ〜、このままでぇいいのかなぁ〜…?」


「ん?別にいいんじゃねぇの?今更知った所で別に何も変わらねぇよ」


「せや、マールはマールやしな。まぁ、マールがネクロマンサーになりたいんやったら、それはそれで別に止めへんけどな」


「私はぁ〜このままがぁいいんだけどぉ〜……」


「なら、そのままでいーじゃねーか。選択職種があるからって変えなきゃなんねーってことはねぇしよ」


 アーネの言う通り、候補があるってだけの話で別に必ず変えなきゃいけないものでもないし。

 まぁ、変えたいんだったら変えても別に構わないけどな、本人が希望するなら。

 でも、反対属性…聖から邪、邪から聖とか中々出来るもんじゃないとは思うけどな、ぶっちゃけ聖邪両属性持ってるやつがほぼ居ないんじゃないか?相当レアケースだと思うんだけど…。


「アーネの言う通りだよ、なりたいものになるのが一番だし。今自分がどういう状態なのかが分かったってだけさ」


「うん〜、分かったぁ…ありがとぉ〜ナオちゃん〜」


「お礼を言われるのは微妙なんだけど…まぁ、自分が知れて良かったねってことで」


「これでアーネもマールも大体分かったし…あとはウチやな」


 あぁ…最後の難関が残ってたか……これ言ったらシータがどういう反応するか大体想像出来ちゃうんだけど。

 朝の一件のせいだな、きっと。


「残るシータなんだけど…」


「なんやなんや?何があったんや?」


「いや、ステータス見た時さ、これ職種なのか?って思ってしまったんだけど…とりあえず、戦闘向きの職種じゃないってことは確かだよ」


「そか、戦闘向きやないんか…じゃあウチも変える必要はないんかな?」


「えーっと…多分、今は?かな…」


 まだ冒険者は続けるつもりなんだろうし、今すぐこれにするってことは無いとは思うけど…でもなりたいって言うんだったらそりゃまぁ止められないし?ただこれ、相手在り来の職種なんだよなぁ……シータの相手かぁ…まぁ、いてもおかしくはないお年頃ではあるけれども…。


「今はって…ほんならいつかは変えるかもってこと?」


「いや、うん、もしかしたら今すぐ変えたいってこともある…のかな?」


「なんなん?気になるからはよ教えてぇな」


「アタイも気になるな、それ。何なんだよナオト、勿体振らずに言えっての」


「シーちゃんのぉことだからぁ〜、もしかしてぇ〜…お嫁さんとかぁ〜?」


 ぶっ!ピンポイントで当ててきたよマール!やっぱ長い付き合いらしいから何となくでも分かっちゃうのか…?


「ちょお、マールお嫁はんて…それ職種なんか…?………って、え?ちょ、ナオトはん、まさか………」


「…はい、そのまさかです……」


「ふふっ、私ぃ〜当てちゃったぁ〜、えへっ」


「ぶはっ!お嫁さんだってよ!お嫁さんっ!ぶはははっ!」


「………な、なな、なんでお嫁はんっ!?それホンマに職種なんっ!?」


「それは…俺に言われても分からない……けど、ステータスにはちゃんと載ってるし………」


 元の世界じゃ専業の主婦や主夫は職として認められてなかったけど…まぁ、俺的には立派な職だと思ってたんだけどな、家事全般出来るって時点で尊敬しか出来ませんよ、俺には。

 こっちの世界ではちゃんと職として認識されてるってことなのかなぁ?それともただ単にステータス上の話ってだけなのか?その辺はよく分からんな…。



[職種・お嫁さん:この職種は特定条件下でのみ選択可能。特定条件:肉体的・精神的に互いを認め合い絆を紡いだ相手がいる状態。職種特性:家事スキルに大幅な補正・絆を紡いだ相手および自身に対し、全ステータス強化(大)およびスキル:感覚共有取得。また、選択職種として保有中の場合においても、家事スキルに若干の補正]



 ……左様ですか、こちらの世界では職種として確立してるということですね…わざわざご教授ありがとう、アコ。

 

「シーちゃんはぁ〜お料理上手だしねぇ〜。とってもぉいい〜お嫁さんにぃなれるとぉ〜思うよぉ〜。うふふっ」


「ま、アタイらの中じゃ一番似合ってんじゃねーか?お・よ・め・さ・んっ。ぶははっ!」


「わーっ!わーっ!ふふ、二人共っ、やめてぇやっ!ウ、ウチはそんなもんならへんでっ!だ、第一相手がおらへんっちゅーのっ!」


 まぁ、アコも言ってたしな、特定条件下って。

 そりゃお嫁さんだもんなぁ…相手が居ないと成り立たないわけで。


「は?何言っちゃってるんだよ?相手ならいるだろーが、目・の・前・にっ」


「うふふふっ、良かったねぇ〜シーちゃん〜♪」


「「は…?はぁぁぁっ!?」」


 ちょっ、何言ってんだよこの二人はっ!そりゃ、俺は男だから相手には含まれるんだろうけど、シータがお嫁さんて、そんなのあり得るわけ……あり得るわけが………。


(…あ、お帰りなさい…だ、旦那様……。御飯にする?先にお風呂でゆっくり?……そ、それとも…ウ、ウチに………あっ)


「なななっ、なんちゅーこと言うんやっ二人ともっ!!そっ、そんなん「……有りだなぁ」……??っ!?」


「ぶっ!ナオトお前スゲぇ顔になってんぞっ!ぶははははっ!」


「ふふふふっ、ナオちゃんってばぁ〜正直過ぎるよぉ〜、顔にぃ出過ぎぃ〜!あははっ!」


「ナナ、ナオトはんまでっ何言うとんのっ!?」


 やべぇ思いっ切り想像しちまった…しかもベッタベタなやつ。

 更に勢い余って口にまで出しちまった……いや、だって、これどうしようもなくね?こんな可愛い娘が目の前にいてそれがお嫁さんとか言われたら…どう頑張ってもそういう方向にいっちゃうわ…。


「あー、ごめん、すんごいすんなり口に出てきちゃった…」


「ナオトがどんな想像したんだか気になるよなぁー…ん?シータよ?」


「そっ、そんなん気にならへんよっ!?」


「その割にはぁ〜、顔真っ赤っかぁだよぉ〜…シーちゃん?うふふっ」


「もっ…もう止めてぇぇぇーっ!!」


 あっ…やっぱりその場で蹲っちゃった……俺もノッちゃったけど二人のここぞとばかりの攻めがまたスゴいな…遠慮ってもんが無い。

 気心知れた仲ならではってやつか…いいなぁ……元の世界でそんなやつ一人も居なかったからな、単純に羨ましいわ、ホント。

 こっちで親友とか出来ないかな、俺も…。


「ま、まぁ、ちょっと俺もノッちゃったけど、とりあえずみんなのステータスはこんな感じだね」


「なるほどな。ま、職種変更なんて今すぐ出来るもんじゃねーし、とりあえずほっといていいんじゃね?」


「そうだよねぇ〜、でもぉ〜自分がぁどんな感じなのかぁ〜分かったのはぁ良かったかなぁ〜」


「………ウっ、ウチは良くないっ!!」


「いいじゃねーか、いずれはそうなるんだろーし。アタイやマールだってそうなる可能性はあるかもしれねぇんだ。シータはそれを職種として持ってんだぞ?むしろ良い方じゃねーか」


「アーちゃんのぉ言う通りだよぉ〜。それにぃ〜シーちゃん、昔からぁ〜お嫁さんにぃなりたいってぇ〜自分でぇ言ってたでしょぉ〜?」


 そうなのか、本人の希望で生えてきてたのか…でも今は冒険者やってるけど、その辺は変わってないのかな?シータならいいお嫁さんになるってさっきの想像で確信出来るんだけどなぁ。


「言うてたのは昔の話で今は言うとらんやろっ!お嫁はんになりたいんやったらそのまま国に居て、今冒険者としてここにおらんよっ!」


「ま、そりゃそうか。んじゃ今すぐお嫁さんにはならねーってことで。残念だったな、ナオト?くっくっ」


「まぁ正直俺には勿体無い気がするからなぁ…残念っていうよりシータが嫁に行くのを想像すると寂しくなるな……」


「ナオちゃん…そんなことぉ言わないでぇ〜…私もぉシーちゃんがぁいなくなるってぇ考えるとぉ〜……」


「せやからお嫁はんになんかならへんってさっきから言うとるやろっ!」


 とりあえず今はならないってことでこの面子で冒険出来る事を素直に喜ぼう、うん。


「わーったわーった、んなに力一杯否定しなくてもいいっつーの。つーかよ、ほれ、そろそろアタイらの番じゃねーか?」


 ありゃ、ホントだ、二人がシータ弄ってる内に大分進んでたみたいだな…前の貴族様の馬車と護衛の兵士が終わったら、俺らの番だな。

 今日はエドさん居るだろうか?居なかったら誰でもいいって言ってたし、その時は仮証明をサッと返却してクエストに向かおう。


「うん〜、次はぁ私たちのぉ〜番じゃぁないかなぁ〜」


「………ウチ、めっちゃ時間潰しに使われてるやん………」


「ま、まぁ、楽しく時間潰せたから良かったってことに…」


「ネタぶっ込んできたのはナオトはんやないか…せやけど、その、ウチがどんなんかは分かったから、もうそれでええわ……」


「あはは…ご、ごめんな、余計なことしちゃったみたいで……」


「ううん、別にええって…その、お嫁はんになりたい思うてたのはホンマやし……あっ!昔の話やでっ!」


「うん、分かってるよ」


 ただ、これから先その時が来ないとは限らないし、もしそうなったら全力で応援してあげようかな…ちょっと、いや、かなり寂しいと思うだろうけど。



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