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#08 追加クエストと準備



「お待たせしましたっ…って、リズ、こんなところで何やってるの?」


「あはは…ちょっとね、ほら、ナオトが気になってたから顔見に来たついでに、雑談を少し…ね」


「へぇ…そうなんだ……てっきりサボりに来たのかと思った」


「そそ、そんなわけないじゃんっ、やだなぁーもうラナってばぁ…」


 めっちゃ動揺してんじゃねーか、それバレバレだろう…リズでもこんなことあるんだな、どっちかっていうと要領良さそうって印象だったけど。


「はいはい、じゃあもう戻ったら?さっきパーティー更新作業してた時、チーフがこの辺をじぃーっと見てたけど?」


「え、うそっ、やばっ!じゃ、じゃあ戻るねっ!あっ、ナオト!」


「ん?何?」


 リズが戻り際、カウンター越しに近づいてきて俺を手招きしてきた、あぁ、これあれか、ラナと同じ耳貸せってか…じゃあ、ほら、貸してやるよ。

 俺が貸した耳に口を近づけて一言、


「もしホントにハーレム作るんだったら…ワタシも入れてねっ」


「ぶっ!?ちょっ、リズ!おまっ…」


 そう言った途端すぐ離れていって、昨日と同じようにウインク飛ばして去っていった……リズ、お前は毎回捨て台詞吐いていかないと気が済まないのかっ、しかもなんつー事を……。

 何で皆そんなハーレムハーレム言うんだよっ、おかしくないか?こっちの世界じゃハーレム推奨なの?王政だし貴族制があるから一夫多妻制もあるとは思うけど、推奨してるわけじゃないよな…?いや、仮に推奨だったとしても俺には無理だっての、たかだか一介の冒険者がハーレムとか、現実的じゃないだろ…?


「また何か変なこと言われたんじゃないですか?ナオトさん…」


「え、あー、いや、単にからかってっただけだよ、はは…」


「のワリにはエラい動揺してねぇか?ナオト」


「そ、そんなことないって。気のせいだよ、気のせい、うん」


 動揺って…いや、モロ動揺か、言われた瞬間考えちまったもんな…皆に囲まれてキャッキャウフフしてるところ。

 あー、俺も本質的には俗っぽいなぁ…男だからしょーがないってレベルじゃ済まない気がする…けど、想像するくらいは許して欲しいかな、実現性皆無な出来事くらいは。


「まぁ、それならいいですけどね。後でリズに聞いてみますから」


「え、いやっ、それは…止めといたほうがいいと思うぞ…ラナ……そ、それより、ほら、もうギルドカードの更新終わったんだろ?」


「…何か気になりますけど、分かりました。はい、皆のギルドカードです」


 4人分のギルドカードがラナから差し出されて、皆それぞれ受け取った。

 見た感じどこも変わってるようには…あぁ、パーティー名とパーティーメンバーの名前が記載されてる、それ以外は特に変更点は見当たらないな。

 皆も同じ感じで、俺の名前が加わったってとこだろう。


「ありがとな、ラナ。そうだ、パーティーの人数って上限あるのか?」


「あ、はい、ありますよ。1パーティー最大8名までです」


「8名か…結構多めなんだな」


「そうですね…でも最大数でのパーティーはあまり居ませんよ。大体6名くらいのパーティーが一般的ですね」


 8名まで組めるけど、6人パーティーが適切だってことか…あー、でも、何となくだよ、フルメンバーのパーティーって、ハーレムパーティーって思っちゃった。

 朝からハーレムハーレム言ってたから毒されてきたな、俺も…早くクエスト行って毒抜きしよう、うん。

 あ、それとついでに姫達のクエストも受けようと思ってたんだった。


「そうなんだ、分かった、ありがとう。それとな、クエスト複数受けることって出来るか?」


「はい、クエストの受注は最大3つまで可能ですけど…あ、他に受注されます?」


「出来るんなら受けようかと思ってさ。じゃあ、俺のランク…ハイゴールドか一個下のゴールドランク辺りでお薦めのやつ無いか?」


「えっ!?ナ、ナオトはん…それって……」


 お?クエストの話しだしたらシータがいきなり復活してきたぞ、やっぱり気になったか?ま、パーティー組んだ時点で俺も降格対象に含まれるんだろうし、不安要素はとっとと無くすに限るってな。


「あぁ、早いとこクエスト失敗回数も解消しとこうかなって」


「!?…い、いいのか?ナオト…」


「いいも何も、俺もパーティーメンバーになったんだから、降格対象だろ?だったらさっさと解消しとかないと俺も安心出来ないしな」


「…ナオちゃん〜……」


 な、何だよマール…何でそんな頬染めてポーっとした顔するんだよ…クエスト受けるだけだっての。


「で、何かある?ラナ」


「えっと、そうですね…あ、これなんかどうですか?つい最近見つかった『巣窟殲滅(オーク)』、ランクはハイゴールドで複数パーティー推奨になってますね」


 おっと、いきなり複数パーティーのやつ薦めてきたぞ…しかもオークか。

 異世界ものではこれも定番の、クッコロ騎士様の天敵だよな。

 そんなの薦めてくるとか…俺が漂流者だからか?いや、まぁ、多分出来る出来ないで言えば、出来るんだろうけど…。


「殲滅系か…まぁ、いけなくもないような気はするけど、単体討伐系は無い?」


「ちょっと待ってくださいね…っと、うーん…単体系は無いっぽいですね…あっ、ゴールドランクにですけど『上位種討伐(ゴブリン)』がありました」


「それって、上位種だったら何でもいいのか?」


「はい、そうなってますね。だだ、ゴブリンですから上位種でも単体ではなくほぼ集団を組んでると思いますけど…」


 ランクは下がったけど、今度はゴブリンか。

 上位種っていうと、メイジとかアーチャーとかの職種系、後はリーダーとかキングとかの統率系ってところかな?

 確かに単体ではまず居ないだろうな…でも巣に突っ込むよりかはマシっていうか、イケそうかなぁ…。


「んー…まぁ、巣を掃除するよりはまだいけるかな…?数にもよるだろうけど、どうする?みんな。これでいい?」


「上位種って…大丈夫かな?ウチら……」


「そうだねぇ〜…ちょっとぉ自信〜無いかもぉ〜……」


「…ナオトは……アタイらで、イケると思うのか…?」


「そうだな…大丈夫じゃないか?状況にもよるけど、今回は俺が上位種受け持つつもりだし。多分イケるよ」


 なんて、楽観してるけど、内心はちょっとだけドキドキしてたり。

 昨日の夜と今日の朝で動けるのは確認出来たけど、魔物との近接戦闘は初挑戦だからな…さっきの決闘で防御だって問題ないのは確認出来たし、まぁ、何とかなるでしょ。


「ナオトがそう言うなら…分かった、腹括っていってみるわ」


「ウチも…ナオトはんに付いていくわ」


「私もぉ…ちょっとぉ不安だけどぉ〜…頑張ってみるよぉ〜……」


「了解。んじゃ、ラナ、そのクエストもお願いするよ」

 

「はい、ではゴールドランククエスト『上位種討伐(ゴブリン)』、受諾しますね。みんな気を付けて行ってきてよ、ナオトさんがいるから大丈夫だとは思うけど…」


 パーティー組んだからには仲間に手出しなんてさせないよ?当たり前じゃないか、そんなの。

 とは言っても、俺一人で全部やるつもりは毛頭無いから、皆にも頑張ってもらわないといけないわけだけど、そこはまぁ、やってみないことには…ね。


「出来るだけ、ナオトはんの足引っ張らないよう頑張ってくるわ…」


「アタイもだな…調子乗らねぇようにしねぇと……」


「私もぉ〜足手まといにぃだけはぁ〜ならないようにぃ〜気を付けるよぉ〜……」


 なんだ?昨日と逆になった気が…。

 それ、昨日俺が言ってた台詞だよな?


「なんだよ、昨日みんな言ってただろ?そんな気張らなくてもいい、一緒に頑張ろうってさ。あれは何だったんだよ?」


「いや、そうなんだけどよ…いざ本番ってなったら、こう、ちょっと…緊張してきたって言うかよ……」


「格上の魔物相手とか、やったことあらへんし……」


「それにぃ…失敗したらってぇ〜思うとぉ〜……」


 あーうん、まぁいきなり感はあったしなぁ…パーティー組むのもクエスト受けるのも、突発で決めちゃったようなもんだし。

 でも、何とかなるっていうか、そんなに緊張心配不安なんてしなくても大丈夫なはず…俺のチートなら、多分…ね。


「行く前からそんなんじゃ、上手くいくもんも上手くいかなくなっちまうって。適度に気張ってればいいんだよっ。ほら、行くぞ。じゃあ、ラナ、行ってくるよ。終わったらまた来るから」


「はい、ナオトさんも…みんなの事、よろしくお願いしますね」


「了解、任された。ま、いい結果期待して待っててくれよ」


「はいっ、じゃあお気を付けて、いってらっしゃいっ」


 なんて、ちょっと格好つけつつギルド出口へ。

 3人もラナに行ってくることを伝えて俺の後を付いてきた…けど、昨日と打って変わってちょっとしおらしい、何かこっちがちょっと調子狂いそうだ……朝っぱらの元気はどうしたんだよ、全く…。


 そのままギルドを出て、早速街を出ようと思ったんだけど、そういや何も準備してなかった。

 いや、クエスト受けてからにしようと思ってたんだからこれから準備する、でいいんだって、決して忘れてたわけじゃない、うん。


「さて、クエスト行くのに準備しようと思うんだけど…食料以外に必要なものって、何かある?」


「えっと…そうやな、とりあえず、マールがいるから回復は大丈夫なんやけど、念のため多少は持ってくようにしとる。状態異常系の回復薬とかな」


「後はぁ〜、野営用のものとかぁ〜…」


「まぁ、アタイらの魔法袋はそもそも容量少ねぇからな…最低限必要なものしか持っていかねぇようにしてたぜ」


「そっか、んじゃ、今日はそんなに遅くなるつもりもないし、野営用のものはいいか。回復薬と食料だけ買い込んでいくかな」


 容量は俺の無限収納があるから気にしなくてもいいんだけど、取り敢えず今日のクエストで必要そうなものだけ揃える感じでいいか。

 他の物はまた別の機会にボチボチ揃えていこう。


「ほな、まずは道具屋かな。あっちやで」


 シータが案内してくれるらしい、まぁ、ギルドのすぐ近くにあるってのは昨日の内に確かめたから、俺も分かってるんだけどな。

 ギルドの通り沿いだから、すぐに着いた、昨日は外から覗いただけだったし、どんな品揃えかまでは知らないけど、みんなはよく利用してるみたいだから黙って付いて行くとしよう。



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