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#03 始まりの一幕・三獣姫



───ザワザワザワッ


「お、おいっ、三獣姫が来たぞっ!」


「なっ!?何だってこんな時にっ!こりゃ本格的にマズくないかっ」


「あぁ…下手すると血の雨降るんじゃねーかっ!?」






───キョロキョロ


「あー、相変わらず朝はごった返してんなぁ…もうちょい広くした方がいーんじゃねーか?ここ」


「最近はぁ〜朝からぁギルドなんてぇ〜来なかったからぁねぇ〜」


「せやなぁ、この感じ久しぶりやわ」


「てかよー、何でナオトはアタイら置いてくんだよっ」


「そら、別に一緒にギルド行くとか約束してたわけや無かったしなぁ」


「それにぃ〜起きなかったのはぁ〜アーちゃんでしょぉ〜?」


「くっ…べ、別に昨日は飲み過ぎたってわけでもなかったんだけどな…って、いや、ちげーよっ、シータのせいじゃねーかっ!単純に寝るの遅くなっちまっただけだろっ!」


「うん〜そういえばぁ〜そうだったねぇ〜、シーちゃんがぁあんなにぃ興奮してるところぉ〜初めて見たかもぉねぇ〜、うふふっ」


「わーっわーっ!ちゃうっ、ちゃうねん!あれはほらっ、ちょっとびっくりしてもうて早く二人に言いたかっただけやねんっ!」


「そぉかぁー?アタイから見たら目ぇキラキラさせて話してたぜ?めっちゃ嬉しそうな顔してなぁー、ぶはっ!」


「ちょっ!もう止めてぇな!けど、あれやでっ、二人も実際見たらそうなるって、絶対っ!」


「それはどうかなぁー?ま、近い内に見れるだろうし楽しみにしとっか。…って、ん?なんだありゃ?」


「ん〜?どうしたのぉ〜アーちゃん〜?」


「あー、ほら、あそこ…ありゃいつものナンパヤローと…ナオトじゃねーか?」


「…ホンマや、あないなとこで何を…って、あれ、ラナのとこやないか?」


「ってことは…いつものナンパにナオトが突っ込んでったのかっ、ははっ!おもしれーことすんなーナオトもっ」


「でもぉ〜何かぁ困ってるっぽい感じだねぇ〜…」


「くくっ、おもしれーことついでにアタイらも乗っからねーか?」


「?何するん…?」


「あのナンパヤローにはよぉ、いつもやられてっからな…仕返しだよ。アタイらがナオトのハーレムメンバーになってやろうぜっ」


「あぁ〜なるほどねぇ〜…それはぁちょっとぉ〜面白そうかもぉ〜、ふふっ」


「ちょっ、それ大丈夫なん?余計火に油注ぐんちゃうの?」


「何言ってんだよシータ、それが一番の目的じゃねーか。毎回毎回ウザったくてしょーがなかったんだからよっ」


「上手くいけばぁ〜これでぇちょっかい出してくることもぉ〜無くなるかもぉねぇ〜」


「…なんや、上手くいくとは思えへんけど……まぁ、二人が行くって言うなら、しゃあないから付いてくわ」


「んなこと言って、ホントは嬉しいんじゃねーのか?ん?」


「ババ、バカなこと言っとらんと、行くならさっさと行くでっ!」


「うふふふっ、シーちゃん〜可愛いぃなぁ〜」


「くくくっ、んじゃ、ま、いっちょひっ掻き回すとすっかっ!」










 にっちもさっちもいかないこの状況にかなり辟易して、それでも何とかしないとなぁってあれこれ頭の中をごちゃごちゃにしてたら……トンッと背中に軽い衝撃が…。


「へへっ、お待たせっ、ハニーっ♪」



「「「「「「「「「ハっ、ハニーっ!?!?」」」」」」」」」



 まずは初撃、背後からの密着強襲(訳:俺の背中側からアーネが腕をお腹の方に巻き付けての抱き付き)。


「うふふっ、もぅ〜先にぃイッちゃうなんてぇ〜、イジワルぅなんだからぁ〜、ダーリン〜♪」



「「「「「「「「「ダダっ、ダーリンっ!?!?」」」」」」」」」



 続いて次撃、右方向からの重爆連弾(訳:右横からマールが俺の右腕をとてつもなく柔らかいものに挟み込んでの絡み付き)。


「お…おはようございます……だ、旦那様………///」



「「「「「「「「「だ、旦那様……………」」」」」」」」」



 そしてトドメの一撃…左方向からの集中連弾(訳:左横からシータが俺の左腕にぎゅっとしがみつく感じでの絡み付き)。






 ………OK、状況を冷静に把握しよう。






 って、出来るかっ!何で俺が完全包囲されなきゃなんねーのっ!?

 これ、絶対アーネの入れ知恵だ、それは確実なんだけど、何でマールとシータまでノリノリなんだよっ!あ、シータは無理しちゃってるっぽいな、ぷるぷるしてるし。


 いやしかしこのタイミングとこの場所で何しちゃってくれてんだこの姫達はっ…!ほら見ろ周りからすっげー目で見られてるだろうがっ!?他の冒険者は驚き半分恐慌半分くらいの顔してるわ、受付の中からはキャーとかワーとか言ってる受付嬢もいるわ、元々騒ぎの渦中にいたラナさんとリズはめっちゃ呆気に取られてるし、相手のハーレムメンバーは…え、何でそこで顔赤くしてるの?意味分からないんだけど……君らもそういう位置の人だよね?


 ま、まぁそこは置いといて、獣人大好きヒロシ君は……あ、固まってら、目かっ開いて大口開けて、イケメン台無しの間抜け面晒してました、ぶふっ…おっと、いかんいかん、笑っちゃ失礼だな、うん。

 でも…この顔見たらさっきまでの面倒臭さが吹っ飛んだから、その点だけは姫達グッジョブ!と言ってやりたい。


 が、しかし!しかしだよっ!台詞はともかく密着するのは反則じゃねーかなっ!?確かにヒロシのあの顔見れば、効果はばつぐんだっ!ってのは分かる、分かるがっ…別のところにも効果はばつぐんだっ!ってなってるんだよっ!?俺の精神力が急速に減少してるのがモロ分かりで、もうそろそろマイナスいくんじゃねーかなこれっ!ステータス表示は数値じゃねーけどなっ!


 そんな唐突に出来た桃色ハーレム空間から一番最初に戻って来たのは…ラナさんだった、そりゃもう凄い勢いで顔を一気に真っ赤にして一声。


「わ…私のナオトさんに何してるのっ!!」



「「「「「「「「「わ、私の………?」」」」」」」」」



「あっ!違っ!今のは、ま、間違えましたぁっ!!」


 余計燃料投下されたような気がする、ホント何なん?これ、喜んでいい…のか?俺……。

 ヒロシなら泣いて喜びそうな状態なのは確定だけど…あー、でもヒロシをどうにかするのに、もういっそのことこの状況利用しちまうか…責任は取れそうにないけど。


「おはよう、俺の可愛い可愛いプリンセス達。置いていって悪かったね、でもぐっすり休めただろう?」


「「「プ、プリンセス(ぅ〜)………///」」」


 って、おいぃぃ!!何でそこでお前らが赤くなるんだよっ!?そっちから仕掛けてきたんだろっ!折角なけなしの精神力使って乗ってやってるのに台無しだろうがっ!頼むってホントっ……。

 いや、でも俺もプリンセス達って…自分で言ってダメージ喰らったわ……恥ずくて膝から崩れ落ちたいところを3人に支えてもらって辛うじて立っていられてる感じ。


「はっ!?い、意識飛んでたわ…おいおいおいテメェっ!何なんだよっ、その羨ましい状況はよぉっ!!」


 ホッ、ヒロシが戻ってきた、危ない危ない、何とかまだこの状況を続けられそうだな…まぁ、続けたとしてどうなるのかさっぱり予想つかないけどなっ!


「ね、ねぇ、ナオト…その3人って……三獣姫よね……?昨日の今日でいつハーレム作ったのよ…?」


 頼むから今この状況で的確なツッコミは止めてくれ、リズ…俺だってハーレムなんて作った覚えなんか全く無いんだよっ。


「テメェ…俺の目の前でハーレム自慢、しかも獣人ハーレムとか、どうやらよっぽど死にてぇらしいな…っ。よし分かった!俺と勝負しやがれっ!!」


 うわ、勝負ときたか…どうせ姫達を賭けてとか言いだすんだろ?冗談じゃないっての、そんなのに乗るわけないだろ。

 そりゃ負けるはずないって分かりきってるけど人賭けるとか俺的に認められるか、賭けるつもりの勝負なら絶対やらないからなっ。


「いや、それは丁重にお断りしますよ。どうせ勝ったら負けたらの条件付けるつもりでしょう。純粋な勝負だけなら受けてもいいですけど」


「チッ、んだよ、逃げんのかよっ!」


「普通に逃げますけど。この娘達を賭けの対象にするとか冗談でもやりませんから」


「ダッセーな、そっちの3人もこんなやつのどこがいいってんだよっ」


 いや、まぁどこがいいとかあるわけ無いと思うぞ、昨日会ったばっかりだしな…この状況だって、抱き付いてた背中の方からいつの間にか俺の前に来て、前から俺に抱き付き直してきたアーネの悪巫山戯だろうし…って、ホント何しれっと抱き付き直してんのっ!そこまでしなくてもいいだろっ!


「あ?そんなの決まってんだろ、てめぇの数千倍は優しいぜ、うちのハニーはよっ!」


「そうねぇ〜、それにぃ、私達のことぉ、大事にぃしてくれるしぃ〜」


「それにな、ウチの、だ、旦那様はな、強くてカッコええんやで…」


 おぅ…みんな頑張ってるなぁ……まだ続けてくれるのか、けどもうそろそろいいんじゃないか?向こうにも結構ダメージ入ったと思うぞ?だが一番ダメージ受けてるのは俺だと思うけどなっ、もう多分精神マイナス逝ってる、今ステータス見たら激弱どころか最弱になってる自信あるわ……そろそろマジでいろいろとヤバめ、主に心臓が。

 これ絶対3人に鼓動伝わってる気がするんだけどな…もうとっくに根性発動済みで立ってるのも一苦労なんだが…。


「逆に聞くけどよぉ、そっちのお二人さんこそ、そんな奴のどこがいいんだよ?」


「そうですねぇ〜…同じぃ漂流者でもぉ〜私のぉダーリンとはぁ〜大違いですしぃ〜」


 …もうね、ハニーとかダーリンとか、いちいち反応しちまってその度心臓跳ね上がってるんだけど……って、ん?シータが俺の顔見上げて、ますます顔赤くしてるんだけど…あ、これ気付かれたか、そうですハイ、君達のお陰でもうさっきから俺の心臓はずっと16ビート刻みっぱなしですが何か?シータも恥ずかしいならやらなくてもいいんだぞ?って、何でそこで更にしがみついてる腕に力入れて顔押し付けてくるかなっ、あー、恥ずかしくて照れ隠ししてるからか…いや、だったら離れようよ…。


「…いや、私は別にヒロシとはその、そういう関係ではないのだが……」


「あ、あのっ、わ、わたしも、弘史さんとは、お、同じパーティーというだけで、そういうわけでは……」


 ああああ??…だから顔赤くしてたのかぁっ、完っ全にこっちのっていうか、アーネの勘違いじゃねーかっ!俺もアーネの言ったこと鵜呑みにしてたわ……って、待てよ、ということは……今、この場で、ハーレム野郎はこの俺ってことかっ!?


「え、ちょっ、おいっ!フラムも知美も何言ってんだよっ、お前らはこの俺のハーレムメンバーってことになってんだから、話合わせろよなっ!」


「…ん?あぁ、そういえばそんな事言ってたな…。ちょっとこの状況に驚いて素で答えてしまった…すまない」


「あ…わ、わたしも……忘れてました、ご、ごめんなさい……」


 …ま、まさかの残念系ハーレム野郎だった……チートとか使ってるわけじゃなかったのか、そりゃラナさんも姫達も簡単に加わらないわけだ…正攻法(ナンパ)だもんなぁ……。


「あーっ、くっそ!もういいっ、おい!もうこうなりゃ賭けとかいらねぇから勝負しやがれっ!テメェのそのツラブッ飛ばしてやらねぇと気が済まねぇ!!」


 うん、まぁ、ね、こんな可愛い女の娘達侍らせてるの見たらね、そうなっても全く不思議はないよね。

 俺でもヒロシがもしこの状態だったとしたら、内心羨ましさ大爆発すると思うよ、うん。

 でもね、ちょっと待って欲しい、確かに今こんな状態だが、俺から望んでこうなってるわけではないと。

 本心?そんなの言うまでもない、精神は緊張とかでボロボロだけど、男としてこんなの嬉しくないなんて思えないんですがねっ、もうなんかいろいろと柔らかくて暖かくてふわふわしてて何が何だか分からないけどなっ!

 勝負?あぁいいよ、受けて立ってやるっての!


「あー、はい、分かりました。その勝負受けますよ。ラナさん、確か併設してる闘技場みたいなのがあるんですよね?」


「え?あ、はい、ありますけど…って、受けるんですかっ!?」


「えぇ、もう、何ていうか、受けないとこの場が収まりませんよね…」


「それはそうかもですけど…ど、どうしよう?リズ……」


「そこでワタシに振るのがラナだよねー。うん、まぁナオトの言う通りだとワタシも思うから…分かった、ちょっと待ってて、チーフに言って闘技場の使用許可貰ってくるよ」


 ラナさんに話振られたリズが闘技場使う許可を貰いに受付の奥へ、チーフって言ってたからクリス女史のところだろう。

 っていうか、ここ、結構な騒ぎになってると思うんだけど、クリス女史来なかったな…来たらあっと言う間にこの場を収められたような気が……。



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