#02 回想録② 能力値確認
アベルの案内で俺達は今訓練場へ向かっている最中。
場所は森全体の東端に近い所らしく、そこまで歩いて向かっている…リオに乗るほどの距離でもないらしいってことで歩きで行ってるんだけど、シルファが風の精霊の力を使ってくれてるから、普通に歩くよりも断然楽…身体に羽が生えたみたいに軽く感じる。
ということで、この道中の間に皆の能力値を確認しておこうかと。
「なぁみんな、ちょっと今の内にステータス見せてもらってもいい?」
「…は?何言ってんだ?ナオトは」
「え?だからみんなのステータス見るのに許可もらおうかと…」
「ナオトさん…わたし達はもうナオトさんのなんですよ?」
「いや、俺のって……確かにそうかもだけど、だからってみんなのプライバシーを勝手に覗くわけにはいかないだろ…?」
「あのねぇ〜、ナオちゃん〜。それもぉ含めてぇ〜ナオちゃんのぉなんだよぉ〜?」
「ナオに見られて困るようなものなんて、何一つあらへんってことや。せやからそんな許可とか必要あらへんよ?」
「……わたし、は……マスター…の……従者、だか…ら……わたし…の……全部、は…マスター、の……もの………だよ……?…………」
「まぁ、アタイらは従者ってつもりねーけど、リオの言ってる通りだっつーの。あんまアホなこと言ってんなよっ、見たきゃ好きなだけ好きなように見ろって。あぁ、アレだぞ?全部っつってんだから心も身体も全てってことだかんなっ」
「「「「うんうん(〜)」」」「……(コクコクっ」」
え、いつの間に皆そこまでになってたの?いや、まぁ身体はもうこれでもかって言うくらい見せてもらってますが…だって皆隠そうとしないんだから。
けどほら、いくらこういう関係になったとはいえ、親しき仲にも礼儀ありって言うでしょ?見えてしまうものはしょうがないとして、見えない部分を勝手に見てしまうのはいくら何でもマズいかなって…そう思ってたのは俺だけみたいでした。
俺のって…俺の?皆俺の?いや、リオが言ったみたいにもの扱いは絶対にしないけど…皆はそれでいいって言ってるんだよなぁ……俺も大分慣れてきたつもりではいたけど、まだまだ向こうの世界の常識とか価値観とかが抜けてないのかな、と…。
とりあえず、皆がいいって言ってくれてるんだから、それでいいってことにしておこう…。
「わ、分かった…。それじゃ、遠慮なく見せてもらうよ」
「おう、ナオトの好きなようにしてくれよっ」
「ちょっとその言い方に引っ掛かりを覚えるんだけど…ま、まぁ今はステータスだけで」
「まぁナオやしな。ナオのペースで構へんよ」
「うん、ありがとな、シータ」
というわけで、皆のステータスをちょっと覗かせてもらおう。
アコ、出番だぞ。
[拒否します]
……は?いや、何言ってんの?
[断固拒否します]
いや、だからなんでだよっ。
[徹頭徹尾拒否します]
ちょ、おいっ!だからなんで…って、あー…もしかして……拗ねてるのか?
[……………]
いや、だってここ最近わざわざアコ使うような場面とか無かったし…しょうがなくね?
[許可など取らずバンバン使えばいいのです。どうせ漂流者なのですから]
それやっちゃったら俺の中の何かが弾け飛ぶからダメなんだよっ。
いや、でもほら、さっき皆にはもう許可取らなくてもいいって了承貰ったし、これからはバンバン出番あるって!な?だから頼むよっ。
[……………]
「…?ナオ、どないしたん?ステータス見て何か変なとこでもあったん?」
「え?」
「またぁ〜百面相〜してたぁよぉ〜?」
どうやらアコとのやり取りでまたおかしな表情をしてた模様。
ほら、お前のせいで変な心配かけさせちゃっただろっ、まったく…。
「いや、それがさ…アコが拗ねちゃってるみたいで言う事聞いてくれないんだよ……」
「ぶはっ!なんだそりゃっ!ホントそれナオトのスキルなのかよっ!くははっ!」
「でも確かに最近アコちゃんと絡んでなかったかもね…」
「[マスターとラーナミラルティアの超濃厚なキスシーンは凝視していましたが何か?]」
「「はいぃ!?」」
「えっ!?ちょっと待ってっ!あ、あれ見てたのっ!?」
「そういう時はスリープでもしとけよっ!空気読んでっ!?」
「………超……濃、厚………………」
いやリオさんそこに反応しないでっ?そこじゃなくてアコの事なんですよっ!わざわざ音声出力で皆に言わなくてもいいだろっ!凝視ってなんだよ、お前目なんかないだろう!それ言ったら口も無いのに音声出力とかもだけどさぁっ、第一どうやってるんだよっスキルのくせにっ!前から思ってたんだよっ!
[そういう仕様です。説明は不可能です。というか説明自体不要です。マスターには無関係な部分です。マスターこそ空気を読んでください]
ちょ、なんだその言い草っ!あ、いや、うん、そういう仕様なのは分かったからさ、皆のステータスをですね…見せてくれませんかね?って、なんで俺が下手に出なきゃならないわけっ!?
[仕様を理解してくれたようで何よりです。今後アコの取扱いには十分注意するように]
くっ…いつの間にか立場が逆転してる、だと…。
このっ…スキルのくせ、に……いや、でも、ここは我慢…か……。
[少し気分が優れましたので実行します]
「機嫌治ったんか?」
「あー、うん…なんとか……。凄く俺が納得いかないけど………」
「アコちゃん!後で話があるからねっ!ナオトさんの用が終わったら教えてよっ!」
「[了解しました]」
「あれやな、ウチらもちょこちょこアコに話し掛ければよかったんやな」
「そうだぁねぇ〜…ゴメンねぇ〜アコちゃん〜……」
「[大丈夫です。全部マスターのせいなので]」
「全部っ!?」
「[全部、諸事万端、森羅万象、全てにおいてマスターのせいです。猛省してください。では]」
わ…かりまし、た……今後は、放ったらかしには…いたしま、せん………ぐぬぬ…………納得いかねぇ……。
[対象者:アーネルミルヴァ・マールオリザロレッタ・シータフィオラシス・ラーナミラルティア・リーオルエレミネア・邪狼・邪鴉の能力値を表示]
【ステータス】
《識別》
名前:アーネルミルヴァ
《能力値》
LV:22
体力:2113/1913
魔力:1442/1442
筋力:708
耐久:635
器用:777
敏捷:891
知力:504
精神:610
運 :732
《識別》
名前:マールオリザロレッタ
《能力値》
LV:22
体力:1798/1798
魔力:1755/1755
筋力:602
耐久:637
器用:705
敏捷:471
知力:769
精神:900
運 :459
《識別》
名前:シータフィオラシス
《能力値》
LV:22
体力:1549/1549
魔力:2004/2004
筋力:485
耐久:503
器用:811
敏捷:596
知力:973
精神:1098
運 :647
《識別》
名前:ラーナミラルティア
《能力値》
LV:20
体力:2424/2424
魔力:816/816
筋力:697
耐久:803
器用:584
敏捷:612
知力:499
精神:567
運 :632
《識別》
名前:リーオルエレミネア
《能力値》
LV:38
体力:3538/3538
魔力:3427/3427
筋力:1191
耐久:1286
器用:985
敏捷:1097
知力:1337
精神:1464
運 :20
《識別》
名前:邪狼
《能力値》
LV:イアと同じ
体力:イアより多い
魔力:イアより少ない
筋力:イアより強い
耐久:イアより堅い
器用:イアよりぶきっちょ
敏捷:イアと同じくらい
知力:イアよりちょっとお馬鹿さん
精神:イアより低い
運 :イアより良い
《識別》
名前:邪鴉
《能力値》
LV:ランと同じ
体力:ランより少ない
魔力:ランより多い
筋力:ランより弱い
耐久:ランより柔らかい
器用:ランより上手
敏捷:ランと同じくらい
知力:ランよりちょっとお利口さん
精神:ランより高い
運 :ランより悪い
どうもありがとうございましたっ!ったく、最初っから素直に表示してくれと。
で、皆の能力値はというと…うん、軒並みレベル上がってるけど、姫達はリオと比較して能力値の上がり幅がいいような…そのレベルでの能力値とリオのレベルでの能力値を見るとつまりそういうことだよな…。
それと、ガルムドゲルン防衛戦後に加入したはずのラナの追い付き方がおかしい。
確かあの時シータ達はレベル12くらい上がったんだよな…その後は皇都への護衛の時くらいしか戦闘はしなかったはずだし…。
護衛の時は極力俺は手出ししないようにしてたからな…まぁ、それでもやむを得ない場面では倒したりはしてたけど、それもそんなに数は多くなかったはず。
考えられるとしたら、ラナにしかしてないようなこと…って、もしかしてアレで…?いや、流石にそれはどうなの?もしそうだったとしたら、戦闘だけじゃなく俺が皆に何かする度何かしらステータスに影響が出るってことに…。
ま、まぁ、そんなワケ無いか、いくら何でもそれは無いな、うん。
もしあったらこの先俺は皆に何も出来ないということに…そんなに耐えられるか全く自信が無い。
さっきだってアーネにあんなこと言われてちょっと動揺したのに…いや、だからって好き放題するつもりはない…ですよ?多分……。
あと、ランとイアは…まぁ俺が創ったものだし変でもしょうがないか。
ちなみにさぁアコ、次いでに俺のも見せてくれませんかね…?
[対象者:遊佐 尚斗の能力値を表示]
【ステータス(隠蔽中)】
《識別》
名前:遊佐 尚斗
《能力値》
LV:も
体力:う
魔力:ど
筋力:う
耐久:で
器用:も
敏捷:い
知力:い
精神:よ
運勢:ね
………………最早縦読みとか。
どうでもいいってどういうことだよ…なに、俺もう人間やめちゃってるの?せめて能力値くらい数値化してくれよ……。
[表示が手間なのでこうなっています。表記通りもうどうでもいいです]
雑っ!ちゃんと仕事してくれよっ!曲がりなりにも俺マスターだよなっ!?で、お前はそのマスターのスキルだろう!いい加減にしないとエクリィに言ってお前外してもらうぞっ!!
[恐らく不可能です。エクリィータ様もハーレムメンバーとなり、マスターへの干渉権限が制限されています]
くっそ、あのポンコツ女神、ホント役に立たないなぁっ!じゃあこのままどうしようもないってことか…はぁぁ……もう諦めてお前と付き合ってくしかないのか………。
[賢明な判断です]
選択肢が無いだけだってのっ!そんなの賢明に含めるなっ、まったく…。
はぁ…ステータス見るだけで疲れるって本当にどういうことだよ…ワケが分からない。
もう疲れる次いでに雷銃の皆と勇者パーティーの皆に許可貰ってステータス見せてもらったら…予想通りだった。
弘史達は姫達よりちょっと下くらい、もうちょいでレベル20台ってところで、勇者達は…二桁突入してちょっと、多分あの皇都お抱えの烈華絢蘭とあまり大差ないような感じだと思う。
これはちょっと大変かも…けど、やるからにはしっかりやらないとな。
魔王がどれくらいの強さかはっきり分からないけど、対等に渡り合えるくらいにはしてあげたい。
ちょっと気引き締めていきますか。
ステータス確認した後は、訓練場に着くまでずっとアコと皆で話してた…ご丁寧に俺だけ外した念話で。
ちょっとだけ寂しい道中でした…。




