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#12 集合(一柱除く)



「「「「ただいま(ぁ〜)」」」」

「戻ったぜーっ」

「……ただい、ま…………」



 中に入ってすぐ、俺達の帰りを待っているであろう皆に知らせるよう戻って来た挨拶をする。

 すると…



 バタバタバタっ……



「ナーくんっ!お姉ちゃんたちー!おかえりなさーいっ!」


「…っと。ははっ、ひぃ、ただいまっ。留守番ありがとな」


「うんっ!」


 ひぃが奥の方から走って来て、真っ直ぐ俺に向かって勢いも殺さずそのままダイブしてきた。

 俺はそれを難無く受け止め、そしてひぃはひしっ、としがみついてくる。

 もうこれが当たり前みたいになっちゃったなぁ。

 でもこれめっちゃ嬉しい、俺の事好きって全身で表現してくれてるみたいで。

 と、いつもはこうして抱き上げた後、お互いの頬を擦り合わせてたんだけど、今日は違った。



 チュッ



 と、ひぃが俺の頬にキスをしてくれた…。



「えへへっ、おかえりのチュー、だよっ?」



 …何だこれ、うわ、何だこれっ。

 胸が…じんわり熱くなって、身体中が歓喜に打ち震えるこの感じ……いいのかこれ?いいんだよなっ?だって、ひぃも俺の…その、あれなんだしっ。


 その幸福感に耐え切れず、俺もお返しにひぃのぷにっとしたほっぺにキスをし返したら…


「あはっ!ナーくん…大好きーっ!」


 それはもう満面の笑みを浮かべて喜んでくれたひぃ。


 ヤバい召される、俺確実に召される気がする…幸せ過ぎて天に召される自信がある…こういうことにだけは自信持てる俺はおかしいのだろうか?



「ハッ、その笑顔にゃアタイらも太刀打ち出来ねぇなぁ」


「ふふっ、本当にぃ〜可愛いぃねぇ〜、ヒナちゃんはぁ〜」


「ナオトさんもそんなに嬉しそうな顔しちゃって…」


「…いや、ホントに嬉しくて…こうして迎えてくれるのが」


「……うん………凄、く……いい、と…思う…………」


「まぁ、それはよう分かるわ。やっぱりええな、こういうの。なぁヒナリィ、みんなおるんか?」


「うんっ、みんないるよーっ」


 あれ、皆居るのか。

 リズ達も仕事終わってるくらいの時間だったのか…特に気にしてなかったけど、丁度よかったか。

 全員で話出来るし。



「ヒナリィったらまたはしたない…家の中で走ったりして」


「ヒナリィちゃん、走り回ってはダメなのですーっ」


 と、続いて来たのはティシャ、そしてミニマム組の新入りメイド、コロネだった。

 ひぃのことをちゃん付けで呼んでるってことは、それなりに打ち解けた証拠だろうか。

 ひぃのことだから仲良くなるのもあっと言う間だったんだろうな、きっと。



「なんつーか…チビっ娘ばっかりじゃね?」


「ねぇ、尚斗君…もしかしてその娘達もそうだったりするのー?」


「えっと…その……こっちの二人は、そうです……」


 ひぃとティシャを指して魅音に教える俺…言い難いことこの上ない。

 けど事実だしな…。


「お帰りなさいませ、ナオトお兄さま、お姉さま方。そちらの方たちは…おきゃくさまですか?」


「あー、うん。そこはあとでちゃんと説明するから…」


「そうですか…分かりました。ようこそいらっしゃいました。わたくし、ティシャルフィータ・ソル・グリュムセリナともうします。ティシャ、とお呼びくださいませ」


「名字があるってことはぁ、貴族のお嬢様なのかなぁ?」


「はい、グリュムセリナ侯爵家次女です」


「侯爵家のお嬢様…やっぱりナオト君って、貴族なの?」


「いや違うから。見ての通り冒険者だって。とりあえずここじゃ「あーっ!マニファニのみんなーっ!!」……あ」


 なんだから中に入ろうって言おうとしたら、ミニマム組最後の一人でマニファニファンのリズがやって来た…。

 その後ろにはウェナとファル、それにセヴァルとエマ、チェル、キャムのメイド組が続いて来て、全員集合してしまった。


「えっ、なんでっ!?って、ああーっ!?もしかしてーっ!!」


「ちょっと落ち着けってリズ。ちゃんと説明するから」


 流石リズ、言わなくても察してくれたらしい。

 こういう事には鋭いんだよな…ちっちゃいくせに。

 いや、まぁ、ちっちゃいのは関係無いんだけど。



「ナオト様、お帰りなさいませ。お疲れ様でした」


「ただいま、セヴァル。変わりなかった?」


「はい、こちらは何事も無く。一先ずお客様もいるようですし中に入られては」


「うん、そうするよ。ほら、みんな、客間に集合っ。魅音達も入って。そこでゆっくり話そう」


「はーいっ、おっ邪魔しまーっす!」



 俺の号令で皆移動を始める。

 勿論俺は片手でひぃを抱き直してティシャも抱きかかえた、俺がそうしたいから。

 ティシャはもう驚いたりせず、ひぃとはまた違うお淑やかな笑みを浮かべ俺にしっかりしがみついてくる。

 あー癒やされるなぁ…完全に二人は俺の心のオアシスになってる。

 うん、さっさと話終わらせてまた二人に背中流してもらおう…って、いや、無理か。

 また皆で入ろうってなるんだろうな…それはそれでイヤってわけではないんだけど、抑えるのに力使うからなぁ…。


 とにかくまずは皆に説明だな、ってことで、だだっ広いリビングに集まり全員腰を落ち着けた。

 エマ達メイドがお茶を用意してくれて、完全にこの家にいる皆が揃ったところで話を切り出そうとしたんだけど…。


「ようこそーっ!ナオトのハーレムへっ!もう大歓迎しちゃうよーっ!!」


 リズがもの凄いはしゃぎようで話聞く前から暴走してる。


「リズ、お前なぁ…まずは俺の話を聞いてくれって……」


「あはっ、リズって私達の依頼受ける時もそんな感じだったよねーっ」


「そりゃもう!マニファニの大ファンだからねーっ!」


「そんなにか…。私らガルムドゲルンで演ったこともねーのに」


「そこは冒険者ギルドの受付嬢特権でいろいろとねーっ」


「お前それ職権乱用じゃねーか…だからクリスに目ぇ付けられてるんじゃねーの?」


「リズ…もうわたしいないんだからちゃんとしてよね…」


「ラナがいなくなったからもっとやり易くなったよーっ」


「リズっちゃん…仕事くらいちゃんとしようよぉ」


「そういう〜ウェナちゃんだってぇ〜、シャーちゃんとぉ遊んでぇないでぇ〜、ちゃぁんと仕事してるぅ〜?」


「えっ?や、やだなぁー、ちゃんとしてるよー?何言ってるのかなぁマーちゃんはー。あははー……」


 は、話が出来ない…。

 これ、まずリズをどうにかしないとダメか。

 嬉しいのは分かるけどさ、とにかく落ち着いてほしいんだが。


「まずは俺の話を聞いてほしいんだけど、いいか?」


「もーっ、そんなの聞かなくたって分かってるってばっ!さすがはナオトねっ、ワタシのことちゃんと分かってるーっ!」


「だぁーっ!だから話を聞いてくれって!あのな、言っとくけど魅音だけだからなっ!」


「あれっ?そうなの?全員じゃなくてー?」


「お前俺を何だと思ってるんだよ…」


「女の娘吸引機」


「あーもぉーっ!エクリィィイ!!全部お前のせいだからなぁぁあ!!」


 ホント抜群の吸引力ですよねぇ!

 ダイ○ンも真っ青だよっ!

 ちょっと俺が何かしたらもう吸い込むんだからなぁ!!

 まさか皆そう思ってるわけじゃないよなっ!?

 


「えっと…尚斗君、エクリィって誰ー?」


「エクリィ言うんはな、創造神様のことや」


「んん?創造神…エクリィータ様のことか?なんでここで出てくんだ?」


「しかも創造神様をそんな風に呼んで…」


「なんかお友達みたいなぁ…」


「…?エクお姉ちゃんもわたしたちといっしょだよねーっ」



『『『『………』』』』



「ええと…それは初耳なのですが、私……」


「わたしもなんですけどぉ…え?ホントに?」


「ん?ファルとウェナには言ってなかったっけか。マジだぜ、教会行ったら多分また会えるんじゃねーかな?」


「真っ白ですてきな所でしたわ」


「いやいやっ、どうやったら創造神様までハーレムに入れられるんだよっ!?おかしくねっ!?」


「その当人が勝手に突っ込んできたんだよ…面白がって」


 しかも後先考えずに突っ込んできたもんだから、これに関しては何も出来なくなってるし。

 ホントどうしようもない神様だよっ!


「流石はナオト様、神をも虜にするとは。やはり私の目に狂いはありませんでした」


「セヴァル…それ本気で言ってる?」


「勿論です」


「…その顔は本当に本気で言ってるんだな…」


 めっちゃ真顔だし。

 ただでさえイケメンなのに、輪を掛けてイケメンになってますけど。

 眩しいから止めて…。


「まぁ、エクリィの事は置いといて、ミオン達の話するんやろ?」


「シータ…お前も神様置いとくとか、すげーな……」


「いや、あれはもう敬うとこ無いからいいんだよ、ファミ」


「ナオトさんのはちょっと言い過ぎかもだけど、でもわたし達の仲間みたいに接してほしいって言ってたからね、本人が…」


 ラナの言う通り、本人がそうしてくれって言ったんだから、もうそれでいいんだよっ。

 いくらでも置いといてやるっ。


「ふーん…創造神様ってそんな感じなんだー。なんか会ってみたくなってきたー」


「ニアのその感じとか、エクリィめっちゃ気に入りそうじゃねーか?」


「あぁ〜、何となくぅ分かるぅかなぁ〜」


「いや、もうホントエクリィはどうでもいいから、まずは話させてくれ。えっとな……」



 と、もう強引に今回のマニファニからの依頼であったことをザッと説明した…初顔合わせの人もいるから話の合間に紹介とかしながら。

 魅音が俺のメンバーになったことで一緒に住むことになり、今後はガルムドゲルンで活動するってところまで、油断するとすぐ脱線しそうだと思ったから一気に…。



「…と、いうわけだ。あと…カッツ、本当にこれで良かったのか?今自分で話してて思ったんだけど、魅音のこと…」


「あぁ、ナオトさんのハーレムにってことですか?ミオンが決めた事ですし、それでみんながこれからも楽しく活動出来るのなら何も問題ありませんよ。それにこうして僕までお世話になるわけですし」


「カッツってマニファニのみんなの事好きなんだねー」


「はい、リズさんと同じですよ。彼女達が楽しそうに演奏してる姿を見るのが大好きですから。その為なら何でもしますよ、マネージャーとして」


「そっか…分かった。じゃあ、これからマニファニのみんなとカッツもよろしくってことで…いいかな?みんな」


 ダメって言う人はいないと思うけど、一応聞いてみた。

 人数が人数だし、それに男性もいることだし、もしかしたら嫌だって思う人が…って、もうセヴァルが居るからそこも大丈夫なんだろうけど。



「ワタシはさっき言ったでしょー、大歓迎だって!」


「私もです、歓迎致しますよ。特にミオン様は、その…」


「わたし達と似てるもんねっ」


「私が似てるって?ファルとウェナとー?」


「どっちもナオに助けられたってとこやな」


「これからご一緒するのですから、沢山お話しましょう、ミオン様」


「だねっ。みんなよろしくってことで!」



 ウェナが纏めて皆がよろしくーってなったところで、やっと話が終わった…疲れたけど、益々賑やかになって家の中がもっと明るくなった気がする。

 これだけの人数が揃えば当然なんだろうけど、まぁ、揃った理由が理由だし…。

 しかしまぁ、本当によくこれだけ揃ったもんだ。

 称号のせい…なんだよな?これ…。



[称号はあくまで補助的なものでしかありません、そこに意思がなければ。自信を持ってください、マイマスター]



 アコ…。


 お前にそう言われても信じられんけどなっ。



[対象者:遊佐 尚斗に対する好感度を



 だぁぁっ!ほらっそーゆーとこだよっ!

 そんなことばっかするやつの何を信じればいいんだってのっ!

 お前もエクリィと何も変わらないなぁっ!

 面白がってる感満載だわっ!!



[褒めても何も出ませんが]



 褒めてねぇよ!これのどこが褒め言葉に聞こえるんだよっ!!

 称号もスキルも全部欠陥品掴まされてないかっ、俺っ!



[こんなに優秀な私を欠陥品扱いとは心外極まりないですね]



 ハッ!何が優秀だっ!

 正典のスキルで焦ってたやつのどこが優秀なんだよっ!



[…………チッ]



 舌も無いのに舌打ちとかアホか…。

 この雰囲気スキルがっ。


 …けど、まぁ、お前に助けられたことは多々あったし、しょうがないからよろしくしてやるよ。

 だから、これからも頼むな…アコ。



[マスター………これが噂に名高いツンデレというものですか]



 デレてねぇよっ!俺がデレて誰が得するんだっ!

 ホンット一言多いんだよっ!それさえなけりゃいい相棒って言ってるんだっ!分かれよっ!!

 


[冗談はさておき、これからもマスターの為に尽力致します、誠心誠意]



 お前に一番似合わない言葉が出て来たけど、もういいわ、それで頼むよ…。


 こんなアコを含め、今目の前で和気藹々と話してる皆と、これからどんなことがあるんだろう…なんてぼんやり考えながら、それでも嬉しさが抑えられない俺は、他の漂流者と何も変わらないんだろうな、と。


 ま、他の奴らから見たら、これで誰にも手を出してない俺はヘタレだと思われるんだろうってのも分かってるけど。


 俺には俺の考えってものがあるんだし、他の奴らと違って欲望一直線なんてマネはしたくないってだけなんだからな、そこだけはほっといてくれ。


 とにかく、こうなったからには俺もある程度吹っ切って全力で楽しむことにしよう、今回のことで無駄な決意だったってのがはっきりしたわけだし。


 このペースで増えてくと、この屋敷あっと言う間に埋まりそうな気がして怖いんですけどね…。



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