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#02 再び皇都へ



 セヴァル達も来てくれて、留守番組との連絡手段も確立出来た。

 これはアコが解決してくれたんだけど、メンバー全員どこからでもアコにはアクセス可能なんだとか。

 だから何かあったらアコに連絡すれば必然的に俺と連絡が取れることになる、と。

 もう完全に自律型スキルになってて好き勝手やってる…アコは俺の為って思ってるみたいだけど、俺からしたら面白がってるとしか思えないんだけれども。


 まぁでも、これで後顧の憂いも無くなったし、ちょっと早目の軽い昼食をセヴァルやメイド含め全員で取った後、俺達パーティーは皇都へ向かうことにした。


 ただ、まだ時間的に余裕があったから、隣の弘史の家とゲシュト様の所へ寄った。


 弘史の所へは単純に様子見と、俺達が皇都へ行ってる間こっちのことよろしく頼むってお願いしに。


 マニファニの依頼は弘史達も一緒に聞いてたけど、弘史のランクじゃまだ指名依頼受けられないしな、専属契約したゲシュト様以外からは。


 弘史の所にもセヴァル達と同じように執事とメイドが来てて、俺の家と同じ様な感じになってる。

 皇都へ一緒に行った残りの人達で、人数も俺達と同じ、執事一人とメイド4人だ。

 弘史の所は留守番がフラウだけになるから何かと大変かもと思ったけど、こうして執事やメイドが付いたんなら大丈夫だろう。

 それに隣だしティシャやひぃもすぐ側に居ることだし。


 ってことで、こっちはよろしくって伝えておいた。

 モリーがもの凄く付いて来たそうな顔してラナを睨んでたけど。


 その後ゲシュト様の所にも行って、家のお礼をしてきた。

 あんなにデカいとは思わなくて、本当に俺達が住んでいいのか再度確認したら、いい加減遠慮するのは止めろって逆に怒られそうになった…。

 それとセヴァル達のことも改めてお礼を言ったら、あれはセヴァル達が自分で決めた事だから許すのは当然みたいなことを言ってた。

 心が広いというか何というか…まぁ事実そこに助けられたので感謝しかないんですが。



 で、今は皇都まで転移してやって来たわけだけど…まだもうちょっと時間があるから、どっかで潰そうってことに。



「もう簡単に皇都まで来れちまうんだなぁ」


「ナオのおかげやな、これも。ありがとな、ナオ」


「やめてくれって、そんな改めて礼なんかするなよ…」

 

「なぁに〜?照れてるのぉ〜?ナオちゃん〜。ふふっ」


「ナオトさんに付いてきてやっぱり良かったっ」


「……(コクコクっ………」


 

 転移ってスキルのおかげであって、たまたま俺が使えるってだけなんだから、お礼を言われるようなことじゃないし。

 寧ろ逆に転移する度皆に抱き付かれる俺の方がお礼を言うべきだと思う。


「さて、まだ時間余ってるし、どこかで時間潰すか」


「つってもそこまであるわけじゃねーだろ?だったらもうギルドで待っててもいいんじゃね?」


「アーネ、お前もしかして…」


「また飲みたいだけでしょ?それ」


「あ?さすがにこれから人に会うってのに、んなことはしねーよ…。まぁ、飲みてぇのは否定しねーけど」


「ほんま好きやな、アーネは…」


「そういうところぉ〜、イーナさんにぃ〜似てきたねぇ〜。ふふっ」


「げ、マジか…。ヤバい気ぃ付けねぇと」


 イーナさん…アーネの母親か。

 マールが似てきたっていうくらいだからアーネっぽい感じなんだろうな、やっぱり。


「とりあえずこんな所でなんだし、ギルド行くか」



「「了解や」「はいっ、行きましょうっ」」



 シータとラナが快く返事をしてくれて、一先ず全員で冒険者ギルドへ移動することに。


 皆に囲まれて歩いていると、やっぱり視線がちょくちょく飛んでくる。

 まぁ、こんな可愛い娘達引き連れてたら当然そうなるよな…。

 大分慣れてきた気もするけど、堂々としていられる程にはまだちょっと足りないかも、自信が。

 


 皇都の冒険者ギルドに着いて、待ち合わせだからとりあえず待合所に向かおうとしたら、やっぱりアーネが、


「待合所も酒場も変わんねーだろ?だったら酒場でいいじゃねーか」


 って言って、一人でとっとと酒場に向かって行った…何となくこうなるとは思ってたけど。

 皆で仕方無いなぁ、って雰囲気を出しながらアーネに付いて行って、結局酒場で待つことに。


 意外なことにアーネは酒を頼まなかった、てっきり飲むもんだと思い込んでたけど…。

 頼んだのは白い液体の飲み物、ミルールって呼ばれてるもので、多分見た感じミルクなんじゃないかと。

 酒場でミルクとかお子様に見られる代名詞なんじゃ…いいのか?アーネ。



「アーネ、飲み物それでいいのか…?」


「ん?別に酒以外なら何でもいーんだけどよ。何かおかしーか?」


「いや、アーネがいいって言うならいいんだけど」


「なんやアーネ、やっぱり胸大きくしたいんか?」


「バッ、ちっげーよっ!これが飲みたかっただけだっつーのっ」


 あ、こっちでもそういうのあるんだ。

 まぁ、アーネは邪魔だって言ってたくらいだし、気にしてないとは思うけど…あれ?もしかして気にしてたりするのか?なんて、そんなことはないか、アーネに限って。

 

 皆も適当に飲み物を頼み終わって、依頼人を待ちながら話をすることにした。


「そうだ、リオ。後回しになっちゃってごめんな。すぐ行きたかっただろ?って、リズのせいなんだけどさ」


「………(フルフルっ……。………来てい、る…のが……分かった、から……大丈、夫…だよ………」


「そういやウチらの国にいるんやったな」


「それじゃ、この依頼が片付いたらわたし達の国に行くんですか?」


「そうしよかと思ってるけど、みんなはどう?」


「郷帰りかぁ。丁度いいかもな」


「うん〜、そうだぁねぇ〜。いろいろぉあったしぃ、ねぇ〜」


 皆特に問題は無さそうだな。

 国が嫌で飛び出してきたとかでも無いから、帰ること自体に抵抗は無い、と。


「そういえば、ガズさんがラナの両親に会うって言ってたな…皇都行く前に。会ったんだろうか?」


「ガズおじさんが?そうだったんですね。多分会えたと思いますよ。わたしの両親は他の獣人族と違って、よく領地から離れるので…」


「そうなんだ。何か理由あるの?」


「いえ、単純に出掛けたいからってだけですよ。領地のことはまた兄さんや姉さんに丸投げして…」


 ん?意外とアクティブなのか、ラナの両親は。

 それか面倒くさがりって線も…って、流石にそれは無いか、曲がりなりにも領主だしな。


「ラナんとこは割と自由にやってるよなぁ。アタイのトコなんか結構ガッチガチだしな」


「私のぉところもぉ〜、割とぉそうだよぉ〜」


「ウチはそこまででも無いかな。まぁ、ラナんとこほど活発でもないけど」


「へぇー、獣人って言ってもいろいろってことか。楽しみなんだけど…多分ガズさんがラナの両親に会ってるんなら、俺の事みんな知ってるんじゃないかと思う…」


 俺の事伝えとくとか言ってたしな…どう伝えたのかちょっと怖いけど。


「あぁ、多分そうですね…。わたしの両親はそういう話題言いふらすの大好きですし…あちこち行くのは話題集めなんじゃないかって思うくらい」


「それぇ〜分かるぅ〜。ロゼさんってぇお話ぃ好きだからぁねぇ〜」


「うっ…は、恥ずかしい……」


「ええやん、ウチ、ロゼはん好きやで?おもろいしな」


「ロゼさんなぁ…。アタイのオフクロともまともに付き合えるとこがまたスゲぇしなぁ」


「………みんな、の……家族、に……会える、のも………楽しみ…………」


 ロゼさんって言うのは、ラナの母親かな?

 話聞いてるとやっぱり会ってみたくなるな…怖いのは変わらないけど。

 ガズのおっさんを信じるしかない…変な風に伝えてないことを祈るしか。


 と、皆の家族の事やら国の事を話してるうちにそこそこ時間が経っていたらしく、約束の時間ちょっと前にカッツが一人でやって来た。

 ギルドに入って来た時、待合所の方見てキョロキョロしてたけど、俺が手を上げたら気が付いたみたいで酒場の方に来てくれた。


「酒場の方にいらっしゃったんですね。来てくれてありがとうございます」


「約束したしね。どうする?移動する?ここだと話せるような内容じゃないんだろ?」


「あ、はい。場所を変えてお話したいので、付いてきてもらえますか?すみません」


「了解、じゃあ付いてくよ。みんな行こうか」


 飲み物の代金を近くのウェイトレスに渡して、全員でカッツに付いてギルドを後にした。



 カッツの案内で連れて来られたのは、中央広場を東側へ歩いて行った先の宿泊街っぽい所、しかも建物の感じからして高級宿泊街のようだ。

 高層、と言っても五階建てくらいの建物がこの辺りだと一番高い建物なんじゃないかと思うんだけど、それに近い宿泊施設が結構な数並んでる、そんな場所だった。

 その内の一つ、入り口からして富豪な人しか泊まれなさそうな建物の前でカッツが止まった。


「すみません、本来であれば事務所があるのでそちらでお話をと思ったのですが、念の為設備の良いこちらでお話させていただきたいと」


「スゲぇな…こんな高級宿入ったこと無ぇぞ」


「ここにぃ〜マニファニのぉみんながぁ〜いるんですかぁ〜?」


「あ、はい。この宿の一室をお借りしています」


「はぁー…こんな宿泊まれるとか、えらい稼いでるんやな……」


「ええ、彼女達の人気は本物ですから」


 それもそうだけど、楽器創ったやつも凄いと思う。

 その漂流者もやりたい放題やってるんだろうな…モノ作り方面で。

 なんてったって向こうの世界には無い魔法が使えるからなぁ…クリエイターにしたら考えるのも楽しいんだろうと容易に想像がつく。

 俺なんか精々出来合いのモノを想像するくらいしか出来ないし、原理とかサッパリだ。


 なんて考えながらカッツにそのまま付いて行ったら、最上階の一室まで連れてかれた…もしかしてVIPルームってやつじゃないのかと…。


「こちらです。外出はしないように言ってあるので、恐らく全員揃ってると思いますが…」


「その言い方だと言う事聞かないメンバーがいるっていう風に聞こえるんだけど」


「あ、いえ、そんなことは無いですよっ?あはは…」


 居るんだな。

 あの中だと誰だろうか…?

 って、魅音かニアしかありえないな、うん。

 魅音は黙ってられない感じだったし、ニアはマイペースっぽいからふらふらしてそうだし。


「と、とりあえず中へどうぞ…」


 そう言ってカッツがカード型の鍵を取り出して、それを使って入ろうとしてる。


「ちょっと待ったっ」


「えっ?」


「ごめん、何となくイヤな予感がするから中にいるメンバーに開けてもらってくれるか?」


「イヤな予感ですか?まさか彼女達に何かっ!?」


「あ、いや、違う。そうじゃなくて…」


 単純にラッキースケベ回避したいだけです。

 着替え中だったり入浴中とかだったら気不味くなるから…。


「あー、なるほどな。んじゃアタイらが先入るわ。んで大丈夫だったら二人呼ぶぜ」


「悪いアーネ、助かる…」


「あっ!そういうことですか…。私もうっかりしてました、普段使わない場所なので…。ではすみませんがこちらでお願いします」


 カッツがカードキーをアーネに渡して、アーネがそれを使って鍵を開けようとする。

 俺とカッツは部屋の中が見えない位置まで移動したけど、アーネが中々ドアを開けない。

 何だろ?部屋間違ってるとか?


「…なぁ、この鍵どーやって使うんだ?ってかこれ、鍵なのか?」


 …使い方が分からなかっただけらしい。

 まぁこんなカードキーなんて使う機会無かったんだろうな…。

 こういう所でも無い限り普及してないんだろう、多分。


「ちょっと貸してアーネ。わたしが開けるから」


「いや、アタイがやるっての。開け方だけ教えてくれよ」


「なぁに〜?アーちゃん、開けたいのぉ〜?」


「そーだよっ、やってみてぇんだって」


「ぶっ、ははっ!アーネ子供みたいだぞっ」


「ワっ、ワリぃかよっ!見た事ねーんだからしょーがねーだろっ!」


 アーネが可愛い、こんなのに興味持つとか。

 あ、でも初めて見る物なら使いたくもなるか、誰でも。


「ええと、そこの隙間にこう、上からカードを挿し込んで、下に滑らせると開きます…」


「んと…こう、か…?」


 カッツの説明を聞いてアーネがその通りにやってみると、カチャっと音がした。

 どうやら無事開いたらしい。


「おー、開いたぜっ。この鍵いいなっ。ナオト、家もコレにしようぜっ」


「んじゃ、アーネの部屋の鍵だけそれにするか?」


「部屋の鍵なんか使わねーよ。入り口の鍵だっての、あんな古臭い鍵じゃなくてよっ」


 あれはあれで好きなんだけどな、アンティークっぽい感じのやつ。

 まぁ、ちょっと大きすぎだとは思うけど。


「みんながいいって言うならいいけど、それは帰ってからな。それより早くドア開けないと…」


 って、喋ってる間にカチャっとまた音がして鍵が閉まったっぽい。

 タイマー式のオートロックとか、どうやってるんだろ?

 それに気付かずアーネがドアを開けようとレバー式のドアノブをガチャガチャやりだした。


「あれ?開かねぇぞ?」


「いや、すぐ開けないから閉まったって」


「ん?勝手に閉まるのかっ?」


「そうみたいやな。どうなっとんのやろ?」


「鍵が珍しいのは分かったから、早く入って確かめて来てくれって…」


「あー、ワリぃ。んじゃもう一回…っと。やっぱこれいいなっ」


 再度カードキーをスラッシュして鍵を開け、今度はすぐドアを開けた。

 やっぱり面白いんだ…アーネがこういうの好きとかちょっと意外だったな。

 家の鍵もちょっと真面目に考えてみるか。


 とりあえず俺とカッツ以外が中に入って行って、呼び出しがあるまで待つことに。

 予想が当たってなければそれでいいんだけど。



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