表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/214

#37 我が家で初めての夜を



 3人の荷物をそれぞれの部屋で収納から出すだけ出して、俺は階下の皆の所へ先に戻って来た。

 3人共荷物の整理は後でゆっくりやるそうだから、風呂の準備だけして時間を置かず降りてきて、さっき言ってた通り全員でお風呂に入りましょう、という流れに。


 風呂の用意はマールとリオがやってくれたみたいで、浴場を覗くと浴槽にはもうなみなみとお湯が溜められていた。

 備え付けの魔導具で簡単に出来たらしい、魔力を込めるだけで。

 便利だけどこれだけで結構お金かかってるんじゃないのかと…。

 後日ゲシュト様の所へ改めてお礼しに行かないと駄目だな、これは。

 ありがたく使わせてもらいます、と心の中で感謝を述べつつ脱衣所で服を…服を……。



「いやぁー、いつ見てもスゴいねぇ、リオちゃんのこ・れっ」


「ふわー、服の上からでもアレでしたけど、ナマで見ると迫力が違いますねぇー」


「………そう、か…な……?…………」


「そういう〜リズちゃんだってぇ〜、そんなにぃ変わらないよぉ〜?」


「マール…あなただってそうよ……」


「ハッ!胸なんてただの飾りだっつーのっ。んなもん邪魔になるだけだっ」


「邪魔て…そら言い過ぎやろ、アーネ。ほれ、ヒナリィ、ティシャ、こっちおいで。脱がしてやるよって」


「ありがとー、シーお姉ちゃんっ」


「すみません、シータお姉さま。これからは一人できがえられるような服を着るようにします…」


「いいのではないですか?ティシャ様もヒナリィ様も可愛らしい格好の方が似合ってますし」


「ですが…一人ではおきがえができないので……」


「ええやん。今日はいないけどメイドはん達来たら手伝ってもらいや。ウチらでもええしな。ほい、これでええか?」


「うんっ、あとはだいじょうぶー」


「ありがとうございます、シータお姉さま」




「あのぉ、君達…俺がいても気にならないの…?」


 皆普通に何事も無いようにサッサと脱ぎ始めるし。

 俺まだ居るんだけど、ここに…。


「あ?何をいまさら。もう全部見てるだろ?ここにいる全員」


「いや、そうだけど…着替えはまた別じゃないの?その、恥ずかしいとか無いのかなって……」


「……(コテっ……?…?…………」


 あ、うん、リオは分かってた。

 君には無いよね…羞恥心欠如してるっぽいから。


「ウチはもうあれやし…な」


 …あ、はい。

 シータは、その、全部見せてもらいましたから…夢の中だけど。


「ナオトの前だからに決まってるでしょ?それだけみんなナオトに気を許してるってことよ。そんなことよりほら、早く入ろっ」


 そう言って真っ先に浴場の中へ入っていくリズ。

 その姿はホントひぃやティシャと変わらない…その胸さえ無ければ。


 皆が恥ずかしがってないのに俺だけ恥ずかしがるのも変な話だから、もう気にしないようにして俺もパージで瞬間脱衣した。


「え?あれ?ナオトさん、今何したんですか…?」


「ん?あぁ、収納スキルだよ。レベル高いとこういうことも出来るみたいで」


「んなことも出来んのかよ…。んじゃあれか?それ自分だけじゃなくて人にも出来んのか?」


「はあっ!?そんなの考えた事も無いわっ!」


「あ、じゃあウチで試してみ?まだ全部脱いどらんし」


「え…本気……?」


「ええやん、どうせ脱ぐんやし。出来るか出来ないかくらい分かっといた方がええんちゃうの?」


 いやいや、そんな使い方するつもりは一切無いんだから知らなくてもいいですっ!

 俺を変態にさせたいのか君達はっ!


「出来ちゃったらどうするんだよ……」


「?ウチが裸になるだけやろ?」


「いやっ、そーだけどっ!」


「いいからやるだけやってみろって。出来たらアタイらが楽できるしよっ」


「毎回俺が脱がすのかっ!?」


「家ならぁともかくぅ〜、他の所でぇ私物のぉ心配はぁ〜しなくてもぉ良くなるよぉねぇ〜」


「それに…ナオトさんに脱がせてもらえるって思うと、なんかこう、ドキドキしちゃうっていうか……ウフフっ」


 またトリップしてるしラナ…。

 いや、そうじゃなくて何でそんなこと思い付くかなっ、ホント考えもつかなかったって!

 しかもこれ、多分出来ちまうよっ!


「そんな使い方はしないから知らなくていいっ!まったく何を言い出すんだ…。ほら、ひぃ、ティシャ、こんなお姉ちゃん達はほっといて風呂行こう」


「えっと…もしできるのでしたら、わたくしたちは助かるのですが…。お姉さまたちの手をわずらわせることもなくなりますし……」


「うん、そーだねー。ナーくん、やってみてよーっ」


「はいっ!?」


「まー、ヒナちゃんやティシャちゃんの服は一人じゃ着替え無理そうだからねー。お兄さんが脱がせてあげたら助かるのは確かだねっ」


「ほれ、ティシャもヒナリィもこう言ってんだし、いいからやってみろってっ」


「………」


 冗談ではなく本気らしい…いいのかそれ……。

 やれって言われてもなぁ…はい、じゃあやりますと素直にやりたくないんだけど、こんなこと…。

 あ、これ自分で調節出来ないか?

 俺のスキルなんだからそれくらいは出来るよなっ当然!



[出来ませんが何か?]



 くっそムカつくなぁ!その言い方ぁ!

 何となくそうだとは思ってたけどさぁっ!

 あーもーどうなっても知らないからなっ!


「…分かったよっ、やってみればいいんだろっ!パージ!」



 シュッ



「おーっ!出来んじゃねーかっ」


「すごいねーっ」


「これでティシャ様とヒナリィ様の着替えの心配は無くなりましたね」


「はい、そうですねっ」


「まぁ、いきなり裸になるんはちょっと変な感じするんやけどな…」



 …出来てしまったよ、やっぱり。

 収納スキルってこういうもんじゃないよなっ、こんな使い方出来るなんて知りたくなかったわっ!

 しかもいきなり目の前に裸の娘が現れるんだから、こっちも気が気じゃないっ!


「次からはナオトに脱がしてもらうとするかぁ。うっし、んじゃ入ろうぜ、みんな」



「「「はーいっ」」「「はい」」「「「うん(〜)」」」「………(コクっ……」」



 何でそう何事も無かったように出来るんだ…。

 俺がこんなに焦ったりしてるのがバカみたいじゃねーかっ。

 もうちょっとこう、慎みってものがあってもよさそうなんですがっ。

 や、別に俺としてはそうしろとかそうして欲しいってわけじゃなくて、普通こういう年頃の娘さんにはあるものじゃ無いのかなって……。


「おらナオト、早く来いって」


「…分かった、いくよ……」


 …風呂に入る前からこんなに精神削られるとは思わなかったわ……。



 風呂に入ってからも、というか風呂に入ってからの方が当然の如く削られた…もう最初っから魔力も全開ですがね。


 少し湯槽に浸かった後、身体を洗おうと、ひぃ、ティシャと一緒に洗い場へ向かったら、さもそうするのが当たり前のような顔して付いてくる娘が二人。



「さ、ナオトさん、座って座ってっ」


「……ヒナリィ、と…ティシャ、は……背中、ね………」


「はーいっ!」


「わかりましたっ」


 いや、だから背中だけで十分なんだってば!

 むしろ二人共背中側に回ってほしいくらいなんですがっ!

 俺の目の前に惜しげも無くその身体を晒さないでくれっ!


「待って!ホントに待って!いいからっ自分で洗うからっ!」


「えっ…ダメ、なんです、か……」



 あーっまたそーやってシュンってなるー……なんでっ!?

 そこまでしてもらうような事じゃないんだって、身体洗うのなんて!

 どこの貴族様だよっ、俺はただの冒険者のつもりですっ!

 それ俺が悪いことしてるみたいに見えるからヤメてっ!?



「もー、ラナやリオちゃんがヤリたいって言ってるんだから素直にヤラれちゃいなさいよっ」


「言い方ぁっ!」


「ナーくん、どうしてお姉ちゃんたちはダメなの?わたしたちはあらったのにー」


「そうですね、わたくしたちにはあらわせてくださいましたよ?」


「なぁに〜?ヒナちゃんやぁティシャちゃんにぃ〜洗わせちゃったのぉ〜?」


「あっ、あれは、その、あれだ!弘史が悪いんだよっ!フラウに洗わせてたから、ひぃとティシャもってなったんだよ…」


「だったらわたし達が洗っても大丈夫ですよねっ」


「……(コクっ………。……マスター…綺麗、に……して、あげる…の………」



 ……回避出来なかった……。

 四人掛かりで全身洗ってもらうとか、どこの王様だよっ!おかしいってやっぱり!

 とか、俺が、がぁー!ってなってるのもお構い無しで、洗う準備が出来たひぃとティシャは一生懸命背中をゴシゴシしだして…目の前の二人は腕やら脚やら洗い始めて…結局されるがまま全身洗ってもらってしまった……。


 前の二人が必要以上に自分の身体を俺に押し付けてたような気がするのは勘違いじゃないと思う。

 だって、ハァハァ言ってるんだもん…特にラナ。

 なに?発情期なんですか?ラナさんや…。




 その後、全員身体も洗い終わって浴槽に浸かり、膝の上にひぃとティシャを乗せてまったりしてたら突然、



 キュルルルル……



 って、聞き慣れない音が…。

 何事かと思って皆キョロキョロして様子を伺ってたら、リオだけ何故か俯いてた。



「なんや?今の音…」


「聞いたことねぇ音だったな」


「…?もしかしてぇ…リーちゃん〜?」 


「………(コクっ……。………わたし、の……お腹の、音…………」


「お腹の音だったんですねー、なんか可愛かったですっ」



 …ん?お腹の、音……?

 あ、そういや皇都から帰って来るまで魔力補充してなかったような……。



「でも先程私達と一緒にお食事したばかりですよね…?」


「あれ?そういえばそーですねー。もうお腹空いちゃったんですか?」


「あ、二人は知らなかったっけ。ヒナちゃんとティシャちゃんも知らないかー」



「「??」」



「リーちゃんはねぇ〜、竜人種じゃぁなくてぇ〜、魔人種なんだぁよぉ〜。ねぇ〜っ」


「………(コクっ…………」


「魔人種…ですか?つまり、半分魔物ということですか…?」


「えっ?そーなんですかっ?」


「まぁ、いろいろあってな、そういうわけなんやわ」


「でも体内に魔石があるくらいで他は何も変わらないよ?だからそんな気にしないであげてね」


「そうだったのですね…」


「でもリーお姉ちゃんはリーお姉ちゃんだよねーっ」


「ま、そーゆーこった。ところでリオ、普通の飯じゃ魔力補充って出来ねぇのか?」


 あ、それは俺も気になってた。

 さっきも普通に皆とご飯食べてたしな。


「……食事、からは……ほとん、ど…出来、ない……。………魔力、変換率…が……低い、から………」


「そうなんだー。じゃあやっぱり直接注いでもらうのが一番ってことねっ」


 ………あっ!リズのその顔っ、そういうことかっ!?

 ちょっ、ヤバい、すぐ出ないとっ!


「よし分かった!じゃあすぐ出「リオちゃんに我慢させる気ー?」……いや、それくらいは我慢出来るだろっ!なっ?リオっ!」


「………(フルフルっ……。……無、理…………」


「えっ、ダメっ!?」


「はいはい、皆いるんだしここでやっちゃってくださーいっ。にひっ」


「………………」



 ……アレを、直に、触る…だと………。


 無理だろ、どう考えても!俺はまだ無心を会得していないっ!

 服の上ですらあれだったんだ、直でなんか触ったらもう高確率で俺のこの手が黙っちゃいないぞっ!!



「ごめんリオ、ホント無理」


「………わたし、も……無理………。……あの、音…が……鳴った、ら……もう……………」


「ちょっ、えっ!?もうって何だよっ!?」


「これアカンな、早うしないとリオが……」


「嘘だろっ!分かった!ひぃ、ティシャ、ちょっとごめんなっ!」


 膝の上に乗せてたひぃとティシャをマールとファルに預けてリオの背中に急いで回る。

 焦って少し強めに後ろからリオの胸を鷲掴みにしちゃったけど、そんなこと気にしてられるかとすぐ魔力を注いだ…結構な勢いだったと思う。



「…んんンっ……っ!?……ハァぁああァあっ!?」



 もの凄い嬌声が浴場に響き渡って…全員ギョッとした。

 ヤバい、ちょっと勢い強過ぎたかっ!?


「リオっ!大丈夫かっ!?」


「……ふぁァァあア………」


 って言いながら脱力して背中にいる俺の方へ倒れ込んできてその顔を見たら、普段の無表情からは数光年離れた、驚いたような惚けたような苦しいような…いろいろとごちゃまぜな表情をしてた。

 涙と涎まで垂らして…。



「………酷、い…よ…………マス、ター……………」


「す、すまんっ!焦って力加減が……」


「………ゆっ、くり………って……言っ、た…のに…………」


「そうだった…ごめんな、大丈夫か?」


「……ダ、メ…………力、入ん、ない……よ…………」


 もう完全に俺に寄り掛かってぐったり脱力してる…。

 いや、だってホントヤバいと思ったから…生命に関わるんじゃないかと。

 リオがもう無理とか言うから、マジで焦ったんだよ…。


「とりあえず、魔力の方は大丈夫そう?」


「…………(コクっ……………」


「分かった、じゃあ俺が運ぶから出よう」


 だらんとしたリオをお姫様抱っこして浴槽から出る。

 本当に力が入らないんだろう、リオから俺に抱きついてきたりも出来ないみたいだ。


「大丈夫かいな、リオ…」


「いやぁー、びっくりしたよー…。ちょっと調子に乗り過ぎたかなー…ごめんねー……」

 

 皆も浴槽から出て来て俺に抱きかかえられてるリオを覗き込み、心配そうな顔をしてる。

 その中で珍しく自分の非を認めるリズ。

 まさかリオがこんなになるなんて思ってもみなかっただろうしな。


 するとリオが力無く首を横に振り、リズに答えた。


「……リズ…の………せい、じゃ……ない…から………。……わた、し……も………ふざ、け…過ぎ……た、し…………」


「まぁ、その気持ちも分かるけどよぉ…」


「リーちゃんもぉ〜ほどほどにぃしないとぉ〜、ダメよぉ〜?」


「………(コクっ……。……気を、付け…る………」



 終わりはバタバタしちゃったけど、とりあえず入浴タイムはこれで終わり、皆揃って浴場を出た。



 風呂から出て、あとはもう寝るだけってことで自分の部屋に戻って来て寝間着でベッドの上にゴロンと転がった。

 リオは自室まで運んで、あとの事は皆に任せることしにして。


 次からは魔力補充する時気を付けよう…あと風呂場ではやらない方向で。

 焦ってたとはいえ、直に触ったのは間違い無いわけで…。

 感触とかそんなもの感じてる余裕は無かったから勝手に手が動き出すようなことがなくて良かった。


 ただ、そこはいいとして…当然の如く脳裏に焼き付いてる皆の裸体。

 躊躇無く晒してるもんだからそりゃこっちも必然的に目にするわけで…。

 ひぃとティシャが居なかったら、全員に飛び掛かってる俺が容易に想像出来てしまうのが何とも言えない…。


 風呂から出てそこそこ時間は経つのに、ベッドの上でそんな事を考えながら悶々として眠れずにいたら、コンコンッ、とドアからノックする音が。


 ……もしかして、またシータが…?


 けど、今の俺はほぼ歯止めかかってないっぽいし、それにあの娘達もそれでいいって思ってるみたいだからな…。

 だからといって何も考えずに流されるのは、まだ駄目なんじゃないかっていう認識も残ってるわけで…。

 どうしよかあれこれ考えてると、ドア越しに声が聞こえてきた。



「ナオトー、まだ起きてるよねー?」



 …まさかのリズだった。

 リズかー、うん、リズ、ねぇ……。


 一番ヤバいやつ来ちゃったよっ!?

 ここは寝たフリを決め込むのが正解……



「お兄さん、ちょっといいですかー?」



 ……は?一人じゃ、ない…?

 あ、何か話あるのか?それなら大丈夫か。

 いかんいかん、悶々としてるから思考がすぐそっちに向かってく…。


「いいよ、鍵閉めてないから入っておいで」


 横着してベッドの上で寝そべったまま勝手に入って来てって言った。

 この家にいて自室まで鍵閉める必要も無いかなって。


 するとドアが開いて入って来たのは…



「ナーくんっ!」


「おじゃまします、ナオトお兄さま」


「失礼しますね、ナオト様」


「お兄さん、お邪魔しまーっす」


「ごめんねー、押しかけちゃって」



 …5人もいた、皆寝間着姿で。

 ひぃとティシャの寝間着はどうしたんだろうか?

 着替えも何も持ってきてなかったよな…。

 あ、出掛けた時にでも取りに行ったか、買ってきたのか。


 というかこの5人は…留守番組か。

 どうしたんだろ?俺達パーティーがいない間の事でも話しにきたのかな?

 流石にベッドの上で寝そべったまま話すのは何だから、上半身だけ起こして皆に来た理由を聞いてみた。


「どうした?5人揃って」


「いやー、さっきみんなで話しててさ。明日からまた皇都行くでしょ?」


「まぁ、それリズのせいだけどな」


 マニファニの依頼勝手に受けたのリズだし。

 なんだよ、サイン貰ってきてとでもお願いしに来たのか?


「それはそうなんだけどさー。ま、そこはいいとして、いつ戻って来れるか分かんないでしょ?だからいる内に…ってね」


「ナーくん、いっしょにねよーっ!」


「ナオトお兄さまといっしょにおやすみしたいです…」


「シーちゃん達が行っといでっていうからさー、遠慮無く来ちゃったっ」


「と、いうわけよ。いいでしょ?」


 なんだ、そういうことか…。

 そうだな、依頼がいつ片付くか分からないし、それまで家空けちゃうしな…俺がいる内ならいいか、一緒に寝るくらい。

 ひぃとティシャの為にも、ね。


「なるほどね。分かった、いいよ。ほら、おいで、ひぃ、ティシャ」


「わーいっ、ありがと、ナーくんっ!」


「ありがとうございます、ナオトお兄さまっ」


「もうっ、相変わらず二人だけなのー?」


「分かってるって。皆で寝よう」


「ありがとうございます、ナオト様」


「やったねっ!お兄さんありがとっ」


 俺が許可出したら皆でベッドに上がってきて…俺の両脇にひぃとティシャが、ひぃの向こうにリズとファル、ティシャ側にウェナが陣取って寝そべった。

 それでもまだまだ余裕のあるこのベッド…この人数でも落ちる心配は無さそうだ。

 部屋の照明も魔導具で、今はもう豆球程度の光量まで落としてある。


 んじゃ、このまま皆で寝るとしますかね。

 ひぃとティシャが隣にいてくれると、悶々とした気分が晴れるから助かる。

 二人共俺の両腕枕で嬉しそうにしてくっついてきてる…めっちゃ癒やされるな、これ。

 気持ちよく眠れそうだ…すぐにでも。


「ナーくんのーうでまくらー…えへへっ……」


「ナオトお兄さまと、いっしょにねむれるなんて…すてきです……」


「二人とも良かったねーっ。それじゃあおやすみしよっかー」


「はーいっ、ナーくん、お姉ちゃんたち、おやすみー」


「ナオトお兄さま、お姉さまがた、おやすみなさいませ」


「ふふっ、お休みなさい、皆様」


「おやすみなっさーいっ」


「うん、おやすみ、みんな」



 こうして、手に入れた家で初めて迎えた夜は、パーティーメンバー以外の皆と眠ることになって…予想通りすぐ眠りに落ちた。

 やっぱり一人じゃないっていいな、と幸せな気持ちを抱きながら。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ