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#18 レベルアップ効果



 俺達の馬車は先頭で、その後ろにブリュナ様達、執事とメイドさん、最後尾に荷馬車っていう並びで進んでたんだけど、アーネが魔物の気配を察知して俺がマップ上で魔物のマーカーを確認した時点で一旦馬車を止めた。



「マップ確認したら、どうやら誰かが襲われてるみたいだっ、急いで助けにいかないとっ!」


「ちょい待ち、ナオトっ。そのマップってやつ、もうちょいちゃんと見てくんねぇかっ?魔物の気配が他にもある気がすんだよっ!」


 アーネがそう言ったからもうちょいマップを拡げて見たら…右の平原と左の森の切れ目にも魔物が表示されてて、どうも今戦闘が行われてる場所目指して移動してるみたいだった…血の匂いにでも誘われたのかっ!?


「アーネの言う通りだっ!左右からも魔物の集団が向かって来てるっ!右からは獣型のブルホーン、左からは人型のコボルト、オークも混ざってる!」


「っし!んじゃ正面はアタイが行くっ!ラナっマールっ、一緒に来いっ!怪我人居たら頼むわっ!」



「「分かったわっ!」「はいっ!」」



「じゃあ正面はアーネ達に任せたっ!俺は左の人型に「待ったっ!」…えっ!?」


「ここはウチらに任せてぇなっ。最優先はヒナリィ達の護衛やっ、ナオは皆から離れたらあかん!」


「………(コクっ……。………左、は…わた、しが……行く………」


「ほな右はウチやなっ!」


「シータっ!なら出来るだけ無傷で倒して来いっ!食糧確保ってな!」


「分かったっ、やってみるわっ!」


 って皆で勝手に決めてそれぞれの方向に走って行った…あれ?俺リーダーになったんじゃなかったっけ…?

 けどまぁ、シータの言う通り第一優先はひぃ達の安全だからな…弘史達が居るとはいえ、二人を不安にさせちゃうのもどうかと思うし、ここは皆に任せることにしようっ。


「みんなっ!気を付けてなっ!」


 皆振り向きもせず走って行ったから聞こえてたかどうかは分からない。

 けど叫ばずにはいられなかったからな…信用してないってわけじゃないけど、どうしたって心配にはなっちまうし。



 距離的に真っ直ぐ向かって行ったアーネ達がまず戦闘の行われていた場所に辿り着いた。

 この場に残った俺はマップで確認することしか出来ない。

 ティシャとひぃは二人共不安なのか俺の脚にしがみついてる…大丈夫、何があっても二人には指一本触れさせないから。

 と、思ってたら、前方から犬の遠吠えのようなものが微かに聞こえてきて、二人がふらふらっと脱力し始めた。


「……あれ…?なんか…急に、ねむく、なって…きた……」


「……わたくし、も……です………」


 どうも急激な眠気に襲われたみたいで、二人共その場で倒れそうになったから、急いで二人を抱き上げた…どうしたんだ?一体…。

 俺の後ろの方にいたブリュナ様達を見てみたら、フラウもどうやらティシャ達と同じみたいで、弘史に抱きかかえられてた。



[ラーナミラルティア・固有スキル:眠りの咆哮ハウリング・スリープの影響と推測。ヒーナリナリィ・ルナ・リリエンノルン、ティシャルフィータ・ソル・グリュムセリナ、フラウシャッハ・テラ・ガルムドゲルン3名の魔法抵抗力が低い為と思われます]



 ラナのスキルだったのか、なるほどね。

 そのまま二人を抱っこしながら正面の戦闘をマップ上で確認してたら、見る見るうちに魔物のグレーマーカーが量産されていった…表示上、動いてる魔物はゴブリン、あと上位種のアーチャーとメイジが一体ずつ、全部で20体くらい居たんだけど、もう既に半分はグレーマーカーになった。

 いくらゴブリンとはいえ、ラナの支援があったとしてもこのスピードで討伐とか…アーネってこんなに強かったっけ?



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



──正面襲撃現場、姫三人



「よっしゃ、ラナっ!あれ頼むわっ!マールっ、耳塞いどけよっ!」


「うんっ分かってるっ」


「じゃあいくよっ!すぅぅぅうう………」



『アォォォォオオオンンンッ………』



 ……バタッ、バタッ…………グゥー…グゥゥー………



「よしっ半分は眠ったなっ、上出来!後はアタイが行くっ!怪我人頼むぜっマール!ラナはそのままマール守ってろっ!」



「「分かったっ」「任せてっ!」」



「っくぜぇっ、うらぁぁああ!!〔リターニング・アサルト・ダガー〕ぁっ!!」



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 ……ものの数分で全滅、マップ上の魔物のマーカーが全てグレーに…。


 あ、そういやレベル上がってたんだっけ…ちょっとどうなってるのか気になるな…。

 悪いアーネ、少し見せてもらうな。

 アコ、ここからでもアーネのステータス見れるか?



[対象者:アーネルミルヴァのステータスを表示]



【ステータス】

《識別》

 名前:アーネルミルヴァ

 種族:獣人種(虎人族)(6)

 属性:無(3)

 性別:♀

 年齢:17

 職種:強襲斥候アサルトスカウター(5)

   選択:獣闘士(1)

      アサシン(1)

 状態:正常(興奮)

《能力値》

 位階:19

 体力:1736/1736

 魔力:671/671

 筋力:642

 耐久:598

 器用:711

 敏捷:801

 知力:472

 精神:553

 運 :699

《技能》

 固有:白虎変化(―)

 物理:強襲短剣操術(5)

    短剣術(3)

    投擲術(3)

    獣格闘術(1)

    暗殺術(1)

 魔法:補助魔法(3)

    ・脚力強化〔自〕(2)

    ・腕力強化〔自〕(2)

    ・魔法抵抗向上〔自〕(1)

 補助:気配察知(5)

    気配遮断(4)

    罠感知(4)

    罠解除(3)

    視覚強化(4)

    嗅覚強化(3)

    無詠唱(―)

 一般:―

《装備》

 武器(右):シルバーダガー

 武器(左):スローイングナイフ ✕5

 防具(全):レザーアーマー

《称号》

 虎人族族長次女

 中級冒険者

 脊髄反射の鬼

 虎突猛進娘

 (ほぼ)ハーレムメンバー〈主:遊佐 尚斗〉





 ………え?何で職種変わってんの?

 確か職種って神殿の神官様じゃないと変えられないって言ってなかったっけ…?

 しかも選択職種に無かったよな?そんな職種…。

 どうなってんの?これ。



[ハーレムマスターの恩恵の一つ、上位職種に進化したものと推測]



 え、そんなのもあるわけ?

 いや、それも気になるけど何だよこの、ほぼ、ってやつは!

 なりかけだったよなっ!?じわじわ迫って来る感じ止めてくんないっ!?



[適切な進捗具合かと思われます]



 うるさいよっ!何が進捗だよっ!納期なんか無いわっ!

 くっ…やっぱあれか、皆で風呂入ったのが原因か……。

 そうとしか考えられんよな……。

 となると、これ、一線越えたら完全になるってことだよな…間違いなく。


 って、今はステータスにツッコんでる場合じゃないっての!



 一旦ステータスは置いといて、左右の魔物がどうなったか確認しようとしたら…シータが向かった右の魔物、ブルホーン10体前後は既に全部グレーマーカーに、そして左の魔物を見ようとしたら……



 ドドドドドドォォォォンンンッッッ!!



 っていう轟音が鳴り響いてきて、コボルト、オーク達およそ30体のマーカーが全て、一瞬でグレーマーカーに変わった…。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



──右平原方面、シータ



「見えたっ、あの集団やな!アーネが無傷でって言うとったからな…初めて使うけどやってみよか!いくでっ!〔水櫃氷檻アクアコフィン・フリージングケージ〕っ!」



 コポッコポッ……


 ブモッ!ブモ゛モ゛モ゛モ゛ッ………ゴボォァ!


 ピシッ…ピキッピキキキッッ!ピキーッンン!



「…ふぅ。うん、上手くいったんちゃうか?これならアーネも文句言わへんやろっ」



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



──左森林出口方面、リオ



「…………〔イグニス……フレア〕……………」



 キラッ…キラッ……キラキラキラッ………チカッ!



 ドドドドドドォォォォンンンッッッ!!



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 ………えっと、終わりました、はい。


 え、皆強くないっ!?これもう俺必要無いような……。


 やっぱり称号のせいなのか…にしてもここまで顕著に現れるなんて思ってもみなかったって…。

 精々レベル上がって能力値向上したくらいとしか考えてなかったのに…。

 これ、真面目に皆と話し合わないととんでもない事になりそうだから、皇都に着いたら何とかしよう。

 とりあえず今は保留で、襲われた人達優先しないと。



 マップ上でもう魔物が存在しないことを確認したから、この場に残ってた皆馬車に乗り込み襲撃場所まで進んで行くことに。


 現場に着いて馬車を降り(ひぃとティシャは馬車でお休み中)、軽く見回して見ると襲われていたのはどうやら商隊のようで、幌馬車が2台と商人二人、護衛依頼を受けたと思われる冒険者5人がいた。


 冒険者の内二人程負傷していてマールが回復を施していた…見た感じ命に別状は無いみたいだ、よかった。



「皆さん無事のようですね…。間に合ってよかったです」


「お陰様で助かりました…。商品も何とか無事でしたので」



 俺と同じ様に馬車から降りてきたブリュナ様が心配して声掛けてたけど、流石は商人、自分よりも商品の心配をしてる…。

 と、護衛の冒険者のパーティーリーダーらしき人がアーネと話してるっぽいから、ちょっとそっちに行ってみよう。



「いや、本当に助かった。それにしても君は強いな…あっと言う間に殲滅していったぞ」


「あぁ、ゴブリン程度にゃ手こずったりしねぇよ。それよりお仲間は大丈夫なのか?」


「多少の傷は負ったが大丈夫そうだ。回復までしてもらっているしな」


「ならいいか。んで?魔石とかどうすんだ?」


「そうだな…出来れば回収したいところだが、依頼主に聞いてみないとだな」


「んじゃ聞いてこいよ。回収すんなら手伝ってやんぜ」


「そいつは助かる。じゃあ少し待っててくれ」



 こんな会話をしてた…何か冒険者同士のやり取りっぽくてちょっといいな、なんて思ったり。


「アーネ、お疲れさん」


「おう。ま、そんなに疲れちゃいねーけどな。楽勝だったぜっ」


「そうみたいだな…。3箇所ともあっと言う間だったぞ……」


「お、そうなのか。シータもリオもやるじゃん」


「あー、その事なんだけどな…。皇都着いたらみんなに話さないといけない事が……」


 多分予想だと防衛戦に参加した4人はほぼ間違い無く職種変わってると思うんだよね…俺のせいで。

 これは全員に伝えておかないとダメだよな。


「…何となくだけど分かったわ。アタイが身に覚えの無ぇスキル使えたのと関係あんだろ?」


「うん、まさにそれ。とりあえず皇都着いたら、な」


「了解。んじゃそれは置いといて、ここはいいからシータとリオんとこ行って片付けてこいよ。ここのはあっちの冒険者達に全部持っていかせるわ」


「分かった。んじゃそっちの方行ってくる。ここは任せた」


「おう、任せとけっ」


 

 アーネの言う通りここは任せて、俺はまずシータのいる右側へ向かった。



 着いた先には……頭部だけ氷漬けにされたブルホーンが11体、そこら中に横たわっててちょっと異様な状態だった…。


「あっ、ナオ、来てくれたんやな。悪いんやけど、これ収納頼める?」


「あ、あぁ…それは何も問題無いんだけど……シータって、氷属性持ってたっけ…?」


「あー、うん、それな。なんや知らんけど使えるようになっとった」


「……やっぱりシータもか……」


 うん、これは確定っぽいな…。

 マールとリオも漏れなく変わってるよな、これ。

 あーやっちまったなぁ…俺……。

 あの称号見た時ちゃんと調べときゃよかった…もう今更だけど。

 これはもう最後まで責任取らないとダメだよな…皆の事勝手に変えちまって放り出すとか、俺には出来ないわ。


「?やっぱりウチもって…」


「…うん、アーネもそうだって。多分マールとリオもそうなんだと思う…」


「そうなんや。まぁ、ええんちゃうか?こうなってもうたんはちょっと気ぃ引けるんやけど、でもこれでナオに全部おんぶに抱っこせえへんで済みそうやしなっ」


「シータ……」


 そう言ってえへっ、と笑うシータ…俺がそうしてしまった事なんだけど、それで俺の負担にならないように出来るって喜んでくれてる。

 俺自身、皆を負担になんて思った事もないんだけどな…逆にこの世界で生きてく上での活力にほぼなってるっていう。

 いや、本当に楽しいんだよね…皆といると。

 これからこんな日々が続いていくんだって考えただけで、年甲斐も無くドキドキワクワクが止まらないんだよ。


「ほれ、早う片付けてみんなのとこ戻ろっ?」


「あ、うん、そうだな」



 シータが倒した魔物を収納墓地に回収した後、皆の所へ戻る前にまずリオの所へシータと二人で向かったら、こっちもこっちで異様な風景…辺り一面焼け焦げた跡で、まだブスブスと燻ってる感じに白煙がもやもやと立ち昇ってた…。


「…これはまた、派手にやったなぁ…リオ」


「これ、火竜魔法…か?リオ」


「………(コクっ……。……そう、だ…よ…………」


 こんなの使ってたら防衛戦もあっと言う間に終わってただろうな…そして祭り上げられて身動き取れなくなるところだった…使わないようにって言っといて正解だったかも。


「リオも、どこか変わった感じあるん?」


「………少、し……だけ…………」


「そか、リオは元々強かったしな。ウチらほど差は顕著やないのかもな」


 とは言っても少しはあるんだ、やっぱり。

 リオなんてこっちの世界じゃもうトップクラスの強さな気がするんだけどなぁ…これ以上強くなるとか、この称号おかしくないかホント。


「その件はまた後でゆっくりな。さて、ここから魔石回収するのか…。そういや魔石って放置しとくとどうなる?」


「別にどうもならへんけど…魔物が取り込んだら強化されるで?せやからみんな出来るだけ回収しとるよ」


 それはマズいな…多少手間でも回収しとかないと後々危険が増えるってことか。


「了解、じゃあ回収しとかないとな」


「………わたし、が……やる…よ………」


「?リオが?どうやって…」


「……こう、やって………」


 リオが掌を前方に掲げたら、そこら中に散乱してた魔石が転がって一箇所に集まって来た…何でこんな事が出来るのかって、理由は一つしか無いよなぁ…。


「魔石同士ってこういうことも出来るのか…」


「多分リオが特別なんやないかと思うけど、これは楽やなぁ…」


「………ん。………これ、で…全、部…………」


「あー、うん、ありがとう……」


 魔石同士で引き寄せるような何かがあるんだろう…あまり深くは考えないことにしよう、リオにしか分からないだろうし。

 一箇所に集まった魔石を収納墓地に回収して、こっちも終わり…と。


「じゃあ、みんなの所へ戻るか。二人ともありがとな」


 大きな被害となる前に食い止められたし、万事オッケーってことで。

 皇都は直ぐそこだし、早く先へ進もうっ。



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