一方桜は
何故か不機嫌なウォルターに強制的に部屋に突っ込まれたあと、私はぽすんと無駄にデカイベッドに寝転がった。
天蓋付きベッドで、なんだか良い匂いがする。
王族だった頃の生活で、こう言うのは慣れているのだが、やはり少し勿体ないと思う。
ごろんと横になり、部屋を見回すが、生活にどうしても必要なものすらない壁の装飾が異常に豪華なだけの棚とか壁とかしか見付からなかったのでため息をついた。
部屋に強制的に飾られているレリーフとか額縁とかカーテンとかは基本変えていないので、個性どころか今写真とってパンフにして、部屋の初期内容とかの項目に出してもなんの問題もないレベルである。
本すらないのは気が滅入るが、まぁ、お金ないし。勿体ないし。
ボサボサ君とかにあったら強だ……ちょっと借りよう。
「うおおおおおおお。ひーまーだー!」
無駄に広いキングサイズベッドの上でごろごろしまくる。作者が作った薄っぺらく見えて気が付いてもらえないけど無駄にある裏設定は紹介しちゃダメって言うかまず思い浮かばないしその程度の価値だし。
あーなんかもう生きててすいませんって言うかこんな屑がいるのに息してもらってほんとすいませんって言うか息してすいませんって言うか。文章力も塵だし自分を罵ることも満足にできない傲慢な糞野郎は早めに死んだ方が良いですよねハイ。
何かマシェルも裏切る気配ないしただでさえなかった存在意義が死んでるよねって話。
"今日植物園で会った王子様"もただの本好き君だったしー。
もう作者と姉様で何とか出来るんじゃないこの国。裏切られてもこっちのレア本寄贈すればワンチャンある気がするんだけど~。
ごろごろしながら考えていたら、こんこん、と音がして、失礼して良い?と気楽そうな声が聞こえた。
どうぞ、と声をかけると、ガチャリと扉が開いて、くすんだ金髪が目に入った。
目が隠れるくらいの前髪は変わらずだが、雰囲気が違っていた。
「王子様が、何かご用でしょうか?」
ねっころがり、ボサボサ君……もとい王子様の方向を見た。
ベッドの、枕の反対側の方向に扉があるので、移動がちょっと面倒臭かった。
「いつから、気が付いてたの?」
ぽやっとしながら、ボサボサの髪をもふっと揺らして王子様が聞いてくる。
私は、王子様の方をぽやっと見返して、にへっと笑ってこういった。
「最初っから!」