表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

真夏の観覧車 番外編   ~夢の夢~

作者: 黒羽烏

 その日、私はとてつもなく長い夢を見ました。



 あ、自己紹介を忘れてました。


 私は牧田夢。


 夏目蒼史の未来の妻です。


 ……と、言うのは冗談ですけど……

 彼とは幼稚園のころ、いやもっとまえから。

 多分前前前世くらい前から一緒にいるのではないでしょうか??


 ソウルメートと呼ばれるものですね♪


 彼は幽霊が見えるので多分、そのこともきっと信じてもらえます♪

 「ね、蒼史君♪」

「お、おう……」



 ほらね♪


 私たちはソウルメートなのです。

 必ず結ばれる運命にあるのですよ♪







 で 、おしゃべりはこの辺で……


 一番重要なことをいまから話します。






 それは、雨がしとしと降る気持ちの悪い夜でした。


 私はいつものように11時過ぎに布団の中にもぐりこみ、『いい夢が見られますように』と祈りつつ深い眠りに落ちました。

 すると、そのうち明るくなっていきました。

 私は『朝かな……??』と、思い目を擦りながら布団の中から顔を出しました。


 案の定空は明るくなり、目覚まし時計はちょうど6時を指し、大きな音を鳴らし始めた。


 「遅かったな目覚まし時計君よ!! 私はもう起きたぞぉぉぉ!!」



 その日は普段よりもご機嫌で学校へ向かいました。

 もちろん、蒼史の手を握って……



 しかし、ことはそのあとに起こりました。


 いつものように教室に入り、いつものように蒼史の隣の席に着いたところで、私の体に異変が起こりました。


 突如として気分が悪くなり、椅子から滑り落ちた私を蒼史とは抱き上げてくれました。

 それで終わったらよかったものの、私は体のそこから何か黒い塊のようなものを蒼史めがけて吐き出してしまいました。


 当然私の体を抱きかかえていた蒼史は顔からその得体の知れない物をかぶり、『それ』は黒い気体を教室中に撒き散らしました。


 蒼史と私と雨音さんはその黒い何かを見ることが出来たみたいですが、そのほかの生徒には見えなかったらしく私が突然倒れただけだと思ったそうです。


 しかし、それだけでは終わりませんでした。


 教室内にいた生徒は倒れていきそのまま息を引き取りました。


 どんどんと倒れていきついには私と蒼史だけになりました。



 彼は最期まで私の心配をしてくれました。

 自分の体のことは気にせずに……


 彼は私を抱えたまま亡くなりました。

 私もそのまま死んでしまえばよかったものの、徐々に体の調子が戻っていきました。



 その後、誰もいない教室で私は何が起こったのか理解できなくて泣きました。



 どのくらい泣いたのでしょうか。


 突然私の前に蒼史が現れました。


 彼は私にこう言いました。


 「お前が殺した……お前が……おれの事を……殺したんだ……」



 その言葉が私の心に突き刺さり、そこで目を覚ましました。



 私は泣いていました。

 その私を抱いている人もいました。


 蒼史でした。




 生きている彼は私にこう言いました。


 「夢……おかえり……」




 彼はいつの間にか私の夢を覗いていたらしく、私が泣いている理由も知っていました。



 「もう泣かなくていいよ……僕はここにいるから……」











 その夜の出来事はいまでも不思議に思います。


 彼はそうしてあんな真夜中に私が一人悪夢にうなされていることがわかったのか……


 そして、どうやって彼は私の部屋に入ってくることが出来たのか……



 その後も彼は教えてくれることはありませんでした。

 と言うか、彼はそのことをすっかり忘れてしまっています。




 だからこそ、私はこう思うのです。



 『あれは、私たちが本物のソウルメートだから出来たことなんだ。』と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ