プロローグ
ねぇ。
僕の声が聞こえる?
へえ。
聞こえるんだ?
それはなりより。
だって
聞こえないとおかしいじゃないか。
なぜって?
そんなの決まってる。
君はここで
「エンディングを迎えるからさ。」
* * * * *
放課後の教室。何かが起こったのは友人たちと一緒に課題を広げている時だった。
「ねえ聞いた?」
友人たちの話し声に私は耳を傾けた。
「また森の中で死体が発見されたんだって。」
もうその話題は何度目だろう。今月で数回は聞いてる気がする。
でも不思議と恐怖はない。いつもなら殺人事件とかて怖じ気付くんだけど、この話題に関することは全く怖いとは思わなかった。
「愛理って不思議だよね~。怪談とか、殺人事件とかは叫ぶほど嫌がるのに、これに関する話だけは怖がらないんだか。」
「うーん?どうしてだろう。なんか分からないけどすごく楽しい!」
そう言うとみんながお腹を抱えて笑い出した。
それを不思議に思い、何でそんなに笑うのかと訪ねてみると、その中でも一番仲のいいカンナが、笑いで流れた涙を拭きながら口を開いた。
「だってさ…ふふっ!」
「な、なによ…。」
「そんな風に言えるのって当人だけだよ?」
「え!?」
ちょっと待って!
私が殺したってこと?いやいやいや…そんなはずない。だって…。
「はははっ!誰も愛理が殺したなんて思ってないって!愛理にそんな度胸ないでしょ!」
「それならいいけど…。」
「何ほっとしてんの?まさか、本気で…。」
「違う違う違う!」
そうだった場合、私ここにいないし!
全否定すると、私たちは机を片しながら、椅子から立ち上がった。
その瞬間、酷いめまいに襲われる。また立ちくらみかと思い、座り直すと、視界の左側で大きな黒い影が落下するのが見えた。
不思議に思い、窓の外に目をやると、少年がベランダに立って笑顔を浮かべていた。
ここの生徒?
いや、違う。
その子はどう見ても小学生にしか見えなかった。見えたとしても中学生くらいかな。
誰かの弟?
いやいや、まず第一にベランダにいる方がおかしいって思おうよ。
一人で自問自答してると、その時、何かが起こり始める。
「え、聞こえるけど…。」
突然カンナが言葉を発した。誰かと会話しているかのようにカンナは喋り続ける。
「だから、聞こえるって!あんた誰?」
「ちょっ!カンナ?誰と喋ってるの?」
カンナは不思議そうに私を見て、少年に指差した。
「あの子だけど…?」
「え?あの子?」
確かに人はいる。
けど、喋ってる様子は見ている限りない。
「な、なんか不気味…。カンナもおかしいし、私、帰る!」
「わ、わたしも!」
ここにいたみんながそれぞれカバンを持って教室を出て行く。五人いたのに今教室にいるのは私とカンナだけ。しかもカンナは誰かと会話していて、瞳から光が消えていく。
正常にこの光景が怖いと思った。
怖くて、怖くて、足が震えて…。
でも、何よりも怖いと思ったのが…。
今、
この光景を、
楽しんでる、
自分だった。
自分の心がなぜか笑っている。
いつの間にか怯えもなくなり、
いつの間にか自分は笑みを浮かべていた。
「さすが、僕の子孫だ。」
そう聞こえた声。
少年は笑い、歌を歌い出す。
不思議とその声は心地よかった。
暗闇に飲み込まれるような、
優しさに包まれるような、
どこか懐かしい声。
少年が歌い終わったのと同時に、そばで何かが崩れる音がした。
カンナだ。
カンナは瞳を開いたまま、動かなくなり、倒れたことにより、机の角に頭をぶつけていた。頭からは赤黒いものが流れ、机の周りを汚していく。
「か、んな…?」
その名を呼んだ瞬間、目尻から涙が流れ出す。
けど。
「ふふっ、ははっ、あははははっ!」
この笑い声はなんだろう。耳に聞こえてくる歓喜に溢れるているような笑いはなんだろう。
自分でもわからなかった。
その声が自分の声だと言うことに。
「さすが僕の子孫だ。僕の声を聞いても死なぬとは。」
私の目の前にその子は現れ、ゆっくりと言葉を発する。
「堕ちろ。」
その声に私は私という意識を手放した。
いつまでも残る笑い声に、
私は、
耳だけじゃなく、
感覚までも塞いだ。
DEATH of SONG-プロローグ-end-




