↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DEATH of SONG  作者: Yami
PR
1/1

プロローグ

 ねぇ。


 僕の声が聞こえる?


 へえ。


 聞こえるんだ?


 それはなりより。


 だって


 聞こえないとおかしいじゃないか。


 なぜって?


 そんなの決まってる。


 君はここで


「エンディングを迎えるからさ。」




 * * * * *




 放課後の教室。何かが起こったのは友人たちと一緒に課題を広げている時だった。


「ねえ聞いた?」


 友人たちの話し声に私は耳を傾けた。


「また森の中で死体が発見されたんだって。」


 もうその話題は何度目だろう。今月で数回は聞いてる気がする。

 でも不思議と恐怖はない。いつもなら殺人事件とかて怖じ気付くんだけど、この話題に関することは全く怖いとは思わなかった。


「愛理って不思議だよね~。怪談とか、殺人事件とかは叫ぶほど嫌がるのに、これに関する話だけは怖がらないんだか。」


「うーん?どうしてだろう。なんか分からないけどすごく楽しい!」


 そう言うとみんながお腹を抱えて笑い出した。

 それを不思議に思い、何でそんなに笑うのかと訪ねてみると、その中でも一番仲のいいカンナが、笑いで流れた涙を拭きながら口を開いた。


「だってさ…ふふっ!」


「な、なによ…。」


「そんな風に言えるのって当人だけだよ?」


「え!?」


 ちょっと待って!

 私が殺したってこと?いやいやいや…そんなはずない。だって…。


「はははっ!誰も愛理が殺したなんて思ってないって!愛理にそんな度胸ないでしょ!」


「それならいいけど…。」


「何ほっとしてんの?まさか、本気で…。」


「違う違う違う!」


 そうだった場合、私ここにいないし!


 全否定すると、私たちは机を片しながら、椅子から立ち上がった。

 その瞬間、酷いめまいに襲われる。また立ちくらみかと思い、座り直すと、視界の左側で大きな黒い影が落下するのが見えた。

 不思議に思い、窓の外に目をやると、少年がベランダに立って笑顔を浮かべていた。


 ここの生徒?

 いや、違う。

 その子はどう見ても小学生にしか見えなかった。見えたとしても中学生くらいかな。

 誰かの弟?

 いやいや、まず第一にベランダにいる方がおかしいって思おうよ。

 一人で自問自答してると、その時、何かが起こり始める。


「え、聞こえるけど…。」


 突然カンナが言葉を発した。誰かと会話しているかのようにカンナは喋り続ける。


「だから、聞こえるって!あんた誰?」


「ちょっ!カンナ?誰と喋ってるの?」


 カンナは不思議そうに私を見て、少年に指差した。


「あの子だけど…?」


「え?あの子?」


 確かに人はいる。


 けど、喋ってる様子は見ている限りない。


「な、なんか不気味…。カンナもおかしいし、私、帰る!」


「わ、わたしも!」


 ここにいたみんながそれぞれカバンを持って教室を出て行く。五人いたのに今教室にいるのは私とカンナだけ。しかもカンナは誰かと会話していて、瞳から光が消えていく。

 正常にこの光景が怖いと思った。

 怖くて、怖くて、足が震えて…。


 でも、何よりも怖いと思ったのが…。


 今、

 この光景を、

 楽しんでる、

 自分だった。


 自分の心がなぜか笑っている。

 いつの間にか怯えもなくなり、

 いつの間にか自分は笑みを浮かべていた。


「さすが、僕の子孫だ。」


 そう聞こえた声。

 少年は笑い、歌を歌い出す。

 不思議とその声は心地よかった。

 暗闇に飲み込まれるような、

 優しさに包まれるような、

 どこか懐かしい声。


 少年が歌い終わったのと同時に、そばで何かが崩れる音がした。

 カンナだ。

 カンナは瞳を開いたまま、動かなくなり、倒れたことにより、机の角に頭をぶつけていた。頭からは赤黒いものが流れ、机の周りを汚していく。


「か、んな…?」


 その名を呼んだ瞬間、目尻から涙が流れ出す。


 けど。


「ふふっ、ははっ、あははははっ!」


 この笑い声はなんだろう。耳に聞こえてくる歓喜に溢れるているような笑いはなんだろう。

 自分でもわからなかった。

 その声が自分の声だと言うことに。


「さすが僕の子孫だ。僕の声を聞いても死なぬとは。」


 私の目の前にその子は現れ、ゆっくりと言葉を発する。


「堕ちろ。」


 その声に私は私という意識を手放した。


 いつまでも残る笑い声に、


 私は、


 耳だけじゃなく、


 感覚までも塞いだ。





 DEATH of SONG-プロローグ-end-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。