ミルクココア
あたしの右手を見ていればその奥に空が見える。
見ているうちに段々と手が挙がっていくのだ。翳している。
まあ、手のひらをどかさないと空なんて見えやしないんだけれど。
手の中に空があるわけでもなければ、空を掴めるわけでもない。
高望み。
前向きすぎて後ろから指を差されるこの言葉はあたしを表すのに適している。
いやなんだけどね。
「じゃあその左手に持っているのは何?」彼が言った。
「最近寒いからね。よーやく自販機に入ったから」あたしが言った。
「まあ寒いけどさ。着込みすぎじゃない?汗かいて風邪ひかないでね」彼は言った。