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7.    桃太郎と桃の羽。2020/08/03

「あか、ちゃん。あか、ちゃん」


 蒼毛玉のアオルがすごく喜んで跳ねまわっている。ユキにクロロ、いつの間にか勾玉たちにファイも実体化して、いっしょに踊っている。


「駿兄、この赤ちゃん、どうしよう?」

「赤ちゃんがいるのか?」

「え、駿兄、見えないの?」

「ああ、アオルが「赤ちゃん、赤ちゃん」と言っているから、赤ちゃんがいるのかなとは思ったが……」

「桃の中から赤ちゃんが出てきたんだよ」

「まさか、桃太郎か? 今、桃の上?」

「そうなんだよ。どうしよう」

「とりあえず、抱き上げてみろ」

「うん。でも赤ちゃん、触った事ないよ」

「大丈夫だ。そっと首の下に手をいれて片方はおしりの下にしてゆっくり持ち上げろ。で、そのまま赤ちゃんの片側を自分の体でささえる。ファイ、見ていてやれ」


 駿の言う通りにハクがおそるおそる赤ちゃんを持ち上げると、赤ちゃんはとても柔らかだった。赤ちゃんは泣きやんでハクのほうを見上げたが何だか嬉しそうだ。小さな手をフルフルと揺らしている。とてもかわいい子だ。


「とても上手に持っていると思う。赤子も泣き止んだ」


 ファイは火の玉になっているので駿兄に言葉が聞こえる。ちなみにファイの火の玉は見かけだけなので触ってもちっとも熱くないし、炎を薄くすると薄く赤いオーラをまとったコビトのように見える。


「よし、そのままソファーに座って待っていろ。ファイ、これ、かけてやれ」


 そう言うと駿はカバンから大判のタオルをだしてファイに渡し、電話をかけ始めた。


「きーちゃん、大変。赤ちゃんができた。いや、俺じゃない。ハクだよ。」

 その言い方、僕に赤ちゃんができたみたいじゃないか! ハクは焦った。


「そう、それが桃から桃太郎がでてきたんだ。俺には見えないけど」

「あぁ、わかった。すぐにいくから待っててくれ」


 駿は焦っているせいか、説明が大雑把だった。ともあれ、ハクが赤ちゃんを抱いて、駿は桃を抱えて精霊の国にいった。


「まあ、かわいい」

「赤ちゃんですね」


 赤ちゃんを見た精霊たちは喜んでいる。


「おおぅ、本当に赤ちゃんだったな」


 駿が桃を抱えたまま、精霊の国の魔法陣から出てきた。精霊の国に入った途端に駿にも桃の赤ちゃんが見えたのだ。


「本当に桃から生まれるなんて……桃太郎かしら?」

 桔梗が赤ちゃんのホッペにそっと手を添えながら呟いた。


「この子は……」

「姫さま、この赤ちゃんは……」

「ええ」

「えーと、コビトなんでしょうか?」


 ハクが聞くと精霊女王の桔梗と精霊の最長老リヨンは困ったように顔を見合わせた。


「この子はコビトではありません。サークルでもなく、人でも精霊でもない……しいていえば、光の子かしら?」

「そうですね、たしかに光でできています」

「え、光で赤ちゃんができるのですか?」

「うーん、ひかり……つまりは、ひょっとして神さまの範ちゅうにはいるのではないでしょうか」


 リヨンが悩んだような顔で言った。


「神さまですか?!」

「人から見ると神さまというのが一番あてはまるかもしれません。すごく清浄な気高い気配がしてきます。でもなんだか龍君に懐いているようですね」

「そうみたいです。何だか嬉しいという気持ちが伝わってきます」


 女の子から桃を預かったいきさつを話しながら、ベビーベッドの置いてある宮殿の一室に来た。ここは、桔梗の赤ちゃんの為に用意された部屋だが、まだ生まれる気配がないので使うことになった。

 この異世界とハクたちの住む人の世界とは時の流れが違っていて、ハクたちの一日がこの世界での1年にあたる。


 旦那さんの蓮は精霊だけど、精霊女王の桔梗は半精霊なので、その赤ちゃんは人間と精霊が混ざった状態になると思われる。なので、人間の時間にあわせて赤ちゃんが生まれるのかもしれない。桔梗は人間と精霊の混ざった状態から、赤ちゃんが生まれてしまうと完全に精霊になるようだ。


 ハクはソファーに座ってお茶とケーキを勧められていた。桃の赤ちゃんは精霊のリーリが乳児用の服を着せてベビーベッドに寝かせてくれた。桃から出てきたのにきれいで洗う必要もなかったのだ。赤ちゃんは、スウスウと寝息をたて気持ちよさそうに眠っている。


「ハク~、赤ちゃんができたんですってー」

「おめでとう。早くも子持ちか~。駿兄、抜かされたね」


 桐と怜が笑いながら部屋の中に駆け込んできた。


「お、かわいい」

「ほっぺ、すべすべ」

「何がどうして子持ち?」


 二人にからかわれながら簡単に説明したけれど、カミィがいない。どうしたのだろうか? 聞いてみると精霊の国に着いた途端に


「腹へった。先、行ってて」


 と厨房に行ってしまったそうだ。なんでも、忙しくてお昼もろくに食べてなかったせいか、あっという間にいなくなった。


「お腹がすいていたせいか、カミィが凶暴で、凶暴で……」

「バトルの相手より、カミィ抑えるほうが大変だもの」

「暑くて頭に血がのぼっていた透が、正気にもどって引いてたもんな」


 二人が口々に大変だったとこぼす。


「ちょっとだけ精霊の国にきて、休憩すれば良かったんじゃないの」

 ハクが言うと


「俺たちだけ休むわけいかないよ」

「カミィ、その辺は律儀なのよね」


 桐と怜はとりあえずテーブルの上のシフォンケーキを摘みながら話していたが、その間に精霊たちが食事を次々と運び込んできた。ここはベビールームだけど、テーブルがセッティングされクロロスがひかれて食卓ができあがる。赤ちゃんの様子を見ながらご飯を食べる事になりそうだ。


「あー、久々のまともな食事」

「ほんとだよ」


 桐たちは食事をコンビニのおにぎりとかパンで済ませていたそうだ。みんなの前で結界から食べ物を出すわけにはいかないし、魔法も使えないから大変だったとの事だ。


「カミィ、どうしたんだろう」

「用意ができたらすぐに来るわ」

「鼻がきくからね」


 突然、扉がバンと開いた。


「ハク! 赤ちゃんできたって!」

 カミィが入ってきた。なんだか口をもぐもぐさせている。


「えっ、なんだ?」

 ハクが驚いて声を上げると


「カミィ!」

「なにつけて?」


 桐と怜が立ち上がった。

 部屋にはいってきたカミィの背中には真っ白な美しい羽が生えていた。

 それに、いつものカミィではなく桜の精になっている。だから、おそろしく美しい大天使、いや女神さま? とにかくとても神々しい姿にみえる。

 どうしたのだろうか? 皆も驚いてカミィをみつめ固まっている。


 ちなみにカミィは桜の精として、シバーン大陸の桜の下で時々踊っている。これにはちょっとした事情があるのだが、踊るカミィは夢うつつなのだ。

 普段のカミィと桜の精のカミィは別人にみえるが、それはそれとして幻想的で美しい姿なので時々、皆は見にいっていた。だので、カミィは美しい桜の精としての姿も知られているのだ。

 カミィのいつもの姿は世を忍ぶ仮の姿、もとい、カモフラージュの為にちょっと太目にしてそばかすを散らしている。それだけで違う人に見えるがどちらもカミィなのだ。


「コホン」

 桔梗が小さく咳払いをした。それで、みんなが動き出して口々に色々いうものだからなんだかとても騒がしくなってしまった。


「み、皆。静かに!」


 リヨンが声をかけると精霊たちはすぐに静かになった。カミィもみんなの反応に戸惑っているみたいだ。いたずら? だろうか。それにしても……。


「カミィ、その羽、どうしたの?」

 桐が目をキラキラさせながら尋ねた。


「は、はね? なにそれ?」

 カミィは気づいてない様子だ。桐がカミィの前に大きな鏡を取り出して置いた。


「わあー、なにこれ! 俺、天使になったのか!?」

「ちがうだろう」

「何、やらかしたんだよ」


「カミィ!」

 桐が一言いうとカミィに抱きついた。しばらくカミィをギュッと抱きしめてから


「カミィに光のさしが入っている」

 あきれたように呟いた。それから桃の赤ちゃんをそっと触り

「この子とおなじ光」


 桐の言葉をきいて桔梗がカミィを抱きしめにいった。そして


「カミィ、大きな桃を食べたのではない?」

 ちょっと怒った声で言った。カミィから桃の良い匂いがしてきたのだ。


「え、ぇ、すごくいい匂いがして冷蔵庫、開けたらでかい桃があったから……」

「やっぱり」

「なんでも口にすんじゃない!」

「そんな大きな桃、普通じゃないと思えよ」

「美味しそうだけど、食べたらいけないような気がしたな」


 皆が色々言っていると、精霊の一人がカミィの残した桃を持ってきた。見るときれいに半分なくなっていた。よくこんなにたくさん食べてしまったものだ。


「えーと、俺、どうしよう」

 カミィの言葉に


「とりあえず、元の姿にもどりなさい」

 と桔梗が言った。


「そうそう、早くいつもの姿にもどれよ」

 怜が呆れたように言ったけれど


「変身できないんだ。魔法も使えない」

 美しい羽を微かに揺らしながらカミィが泣きそうな顔をして答えた。


 これは……大変だ。


「うそ!」

「カミィ!」

「魔法が使えない!?」

「天使になったから?」

「精霊じゃなくなった?」

「光が混ざると魔法が使えなくなるのか?」

「桃を食べただけで?」


 その場にいる精霊たちや他の皆が、がやがやと話をし始めた。

 カミィは半泣きの顔で桔梗の手をとると


「どうしよう……何か食べたい」


 情けない声をだした。桔梗はため息をつき、ハク達は思わず笑ってしまった。やっぱり中身はカミィだ。


「とりあえず、ご飯にしましょう」


 という事で、食卓に並べられた料理を食べる事になった。ハクと駿はもう夕飯をすませていたので軽く食べる事にした。精霊国のご飯はとても美味しい。今日はスパイシーな南国風の料理が並んでいた。ピリッとした香辛料は食欲をそそる。

 カミィの羽は背中で畳まれてふんわりと椅子の両脇にひろがっていた。触らせてもらったら柔らかくて気持ちがいい感触がした。


「この羽、すごくいいクッションになる」


 カミィは椅子にすわって背中にある羽にもたれかかった。あいかわらずカミィはパクパクとよく食べる。泣きそうな顔をしていたのに、美味しいものをたくさん食べて満足そうな顔をしている。

 自分の状況を半分忘れているのではないだろうか。


「で、カミィ。桃は美味しかった?」

 カミィってホントにおバカだと思いつつ、ハクが聞くと


「すごくうまかった。それにおそろしくいい匂いがするんだ」

「まぁ、たしかにいい匂いだし、かなり強いかおりだよね」


 ハクの言葉に、駿と怜が微妙な顔をして返してきた。


「そうかぁ~、そこまで強い匂いかな?」

「確かにいい匂いがするけど、普通の桃よりちょっとかおるくらいだよ」


「かなり強い匂いがすると思うわ」


 桐が言った。そこで多数決をとってみると桃の匂いを強く感じるのはハクと桐、カミィだけだった。どういうことだろうか?


「うーん、この3人の共通点は?」

 怜が言うと


「幼馴染と精霊」

 カミィが答えた。


「だとしたら、僕が入ってないのがおかしいじゃないか?」

 怜が難しい顔をして言うので


「子供?」

 ハクが言うと


「俺は一番年下だぞ」

「だって、怜、大人みたいじゃないか」

「子供らしくなーい」

 カミィも付け足した。


 怜は子どもだけど時々大人のようにみえるし、勉強もハクと桐は教えてもらっている。カミィは逃げてしまうが……。

 怜はいつも大人の前では猫をかぶっているのに今は剥がれかけている。俺って……。やはり、兄弟が天使になると動揺するのだろうか。


「あれ? そういえば桐ちゃんとカミィって精霊だった……どうして、怜は人間? というか3人の両親は人間だよね。なんで、精霊が生まれたんだろう?」


 いまさらだけど、ハクは人間の両親から精霊が生まれた事に、やっと疑問を持った。これまで当たり前ですごしてきたので考えた事もなかったのだ。


「えーと……精霊は『始まりの木』から生まれてくるんだ」


 ハクがふと口にだした疑問に駿が答えた。そして、最長老のリヨンが


「私たちの親は厳密には『始まりの木』になりますが、精霊が生まれると育ての親が名乗りをあげて、その精霊を大人になるまで育てます。カミィの場合はその育ての親が姫さまになります」

「桐ちゃんはちょっと違っていて『始まりの木』の宝玉から生まれたんだ。精霊女王のきーちゃんは宝玉から生まれるはずだったけど、宝玉が割れて、それが俺らの人間の世界にきて、人間から生まれたから、人と精霊が混ざった状態。で、こっちの世界に残っていたきーちゃんの宝玉から桐ちゃんが生まれたから親子になるんだ」


「え、えーと?」

「つまり、桐ちゃんとカミィの親はきーちゃんで、寛ちゃんたちは育ての親というか、人間社会で暮らしていくための親だな」

「じゃぁ、怜……」

「生まれた時からいっしょだから、兄弟だよ。戸籍上もね」


 怜がきっぱりと言いきった。


「ハクも苗字は違うけど家族みたいなものだ。半分精霊だし」

「そうだね。いつもいっしょにいるし半精霊だし……僕とカミィも家族みたいな……大変だぁ~」


 こんな家族がいたら気が休まらないよ~と思いつつハクがカミィを見たら、カミィが


「ハク~、何が大変なんだよ~」

 とハクの首に手をかけて絡んできた。とたんに


「うわ~」

 と言って手を離した。


「ハクから、いい匂いがする……これ、地獄の臭いの反対だ!」

「なぁにそれ?」


 桐が近寄ってくると、ハクにギュッと抱きついた。

 ハクはちょっと、ドキドキしたが、桐はしばらく抱きしめてから


「ハクの中に光の珠があるわ。小さいけどカミィの光とおんなじもの。たぶんこれ、元からあったんだと思う」

「桐ちゃん、ハクの匂いは?」

「ハクの匂いは前からこれよ。でも、前は薄くて表に出てなかったのが少し匂うようになったって感じかな」

「これ、絶対地獄の臭いと対になっている。あっちはいやな究極、こっちはいいほうの究極。この大きな桃の匂いも、いい匂いのほう」

「カミィ、地獄の臭いをよく知っているものね」

「そうなんだよ。あれ? なんでだろう?」


 カミィが首をかしげたが


「桜の精霊として分け身を送っているせいじゃないですか。あそこは地獄の入口のすぐ側ですし」

 とリヨンにいわれて納得したようだ。


「えーと、つまり僕はカミィと似たようなもの?」

 光の珠といわれてハクは困ってしまった。


「カミィはさしになってるけど、ハクは純粋な光の珠が中心にある感じ。どうして、いままで気がつかなかったのかしら」

「桃太郎のせいで、光の珠が目覚めたんじゃないか?」


 怜がハクの方を向いていった。


「ハクの先祖ってたしかお公家さんだったよな」

「うん。今はそうでもないけど由緒ある家柄だったらしいよ」

「ひょっとして、陰陽師も関係あるのかもしれない」

「陰陽師は多分、先祖にはいないと思うけど……」

「毛玉たちや妖怪が妙にハクになつくと思わないか?」

「うーん、嬉しいという気持ちがよく伝わってくるけど、懐かしいと、この間言われたな……やっぱり、陰陽師が先祖にいるのかなぁ」

「それだよ。ファイ、どう思う?」


 怜がファイに聞くと


「確かにハクさまの近くにいると懐かしく嬉しい気持ちになるな」

「ファイ、いつからハクをさま付けで呼んでいる?」

「え、あれ? いつからだろう?」


 そういえば、しゃべれる毛玉たちはハクの事をさま付で呼んでいた。駿は駿兄と呼んでいるし、カミィはカミィ、怜は怜。でも、桐の事は桐さまと呼ぶ。


「なんかさ、ハク見てると懐かしいような嬉しい気持ちになる」

 カミィがハクを見ながら言った。


「え、今さら?」

「うーん、前とはちょっと違う感情なんだよ。どうしよう。ハクに尽くしたいような気分だ」


 そういいながらカミィがハクにから揚げを差し出してきた。

 カミィがから揚げを差し出すなんて……ちょっと、おかしいじゃないかと、みんなが変な顔でカミィを見た。あのから揚げ大好きのカミィが……と驚かれている。


「んにゃぁ~」


 すごくかわいい声が間近でした。

 いつの間にか桃から生まれた赤ちゃんがハクのすぐ側に来ていた。背中にかわいい羽がはえてフワフワと浮いている。ハクが赤ちゃんのほうを向くとスポンと彼の腕の中に飛び込んできた。と同時に赤ちゃんの羽が消えた。


「わーぉ、いつの間に」

「ハクがお父さんみたい」

「羽が生えていたよね」

「飛ぶために羽を使った?」

「カミィ、羽を消せるんじゃないか? 羽、たためたんだろう?」


 赤ちゃんを見て怜がカミィに声をかけた。

 カミィが「んっ」と肩をすくめるとあのみごとな羽が消えた。と同時にカミィの姿はいつものカミィになった。そして、なんの躊躇いもなくから揚げを口に入れた。


「変だなぁ。なんで、ハクにから揚げをあげたいと思ったんだろう?」

「カミィ、元にもどっているぞ」

「え、ほんと。ん、魔法も使える」


 カミィは魔法でから揚げをもうひとつ取り寄せると自分の口にいれた。


「ばかカミィ」

 そういうと桐はもう一度カミィを抱きしめた。


「光のさしが消えているわ」

「カミィ、もう一度、羽をだせるか?」


 怜の声にカミィは「んっ」と小さくうなった。するとまたみごとな羽があらわれカミィの姿も美しい桜の精に変わった。桐がまたカミィをだきしめ光を確認する。羽をだすとカミィに光のさしが入るようだ。

 カミィは羽をださなければ精霊のままだという事がわかってすっかり元気になった。

 ので、「なんでもかんでも勝手に口にしない」とか「拾い食いをするな」とか「食べ物につられて人についていくな」とか精霊たちや桔梗からお説教されている。


 桃の赤ちゃんは男の子だったので桃太と名付けて精霊の国で育ててもらう事になった。さすがに光でできているし、赤ちゃんをハク達が連れ歩くわけにはいかない。

 カミィと桐、怜はあと少し後始末に時間がかかるので地元に戻る事になった。今日は岡山泊まりだが、この後、鳥取砂丘にいくのでそこで合流できるかもしれない。


 道後温泉の話をしたら怜が水精と河童をすごく見たがった。マナの回収が終わって落ち着いたらみんなで行こうという話になったけど、怜はすごく未練たらしい顔だった。

 ハクの中にある光の珠は、桔梗にも確認してもらったが特に問題はないみたいなのでそのままにしておく事になった。


 ハクの匂いも……よくわからないのでとりあえず様子見になった。

 コビトのファイたちには気持ちのいい匂いだという。

 みんなに匂いをかがれるのはちょっと……かんべんしてほしい、とハクは思った。


次回「砂の城と砂の国」

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