プレゼントはわ・た・し
流血描写はありませんが、カニバリズムあり。
苦手な方はバックプリーズ。
男の人を落とすには、胃袋を掴めって、本当ね。
他の女に目移りしてたあの人も、私の元に帰ってきてくれたもの。
今日はクリスマス・イブ。
私のアパートで、彼と二人きりで過ごすの。
勿論、私が作った料理でね。
だって、彼、どんなレストランの料理より、私の料理のほうがおいしいって言ってくれるのよ。
これも私がもらえた早目のクリスマスプレゼントのおかげね。
今日のメニューは、唐揚げと、ミートローフ。
同じ肉で作ったシチューは、骨で出汁を取ったシチュー。
勿論、野菜も大事だから、サラダや付け合せのお野菜もあるけど。
彼はこの特別なお肉が大好きなの。
彼は大喜びで料理を食べてくれたわ。
本当に幸せそうな表情で、見てるこっちまで嬉しくなっちゃうの。
うん、本当に嬉しい。
彼が、特別なお肉で喜んでくれるのを見ると、幸せだなぁって思うのよ。
「良くさ、小説とか漫画だと、彼女の肌を舐めたりキスしたりすると甘いとか言うじゃん?」
キスの後、彼が言った。
「俺、絶対嘘だと思ってたんだよ。唾液は唾液だし。肌だって汗かいてたりしたら、甘いっつーより、しょっぱいだろ? 糖尿病悪化すると汗まで甘くなるのかよ、とか思ったりもしたんだよな」
まぁ、ああいうのは表現の問題だものね。いちゃいちゃしてる人達を目の前にすると、胸焼けするんじゃないかと思うくらい、甘ったるいものを食べたような感じになるのと似たようなものだと。
でも甘いシーンで糖尿病を持ち出すのはどうかと思うんだけど。
「お前はさ」
彼の舌が肌を這う。
「甘いっつーより、美味い? なんかやみつきになるっていうか、なんだろうな。ずっと味わっていたくなる」
「嬉しい」
私は彼に抱きついた。
「ね、結婚しようよ。そしたら、私毎日あなたに料理作ってあげられるし」
「ああ、結婚しよう」
即答するあなた。
だって。
彼が食べた特別なお肉は、私の肉だもの。
あの日、自動車に轢かれそうになった黒猫を助けた私は、プレゼントを貰ったの。
好きな相手に食べて欲しいと思って差し出す場合には、怪我をしても欠損しても再生するの。
そしてね。
とっても美味しく感じられる上に、強い習慣性があるのよ。
だから。
もう、あなたは私じゃないと満足できないの。
これからは、毎日私を食べさせてあげる。
ね。
これが私からのクリスマスプレゼント。
夜月 瑠璃さまのヤンデレマス企画参加作品。
仕事中に、プレゼントはわ・た・しというのが浮かんで急ぎ仕上げました。
勿論、私はクリスマスイブに特別な予定なんてなんにもないですよ。
前回に引き続きカニさんなのはご容赦を。