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「つか、藍はなんでここんとこ顔見せなかったんだ?」
記憶が確かだったら最後に生徒会室に来たのは一週間前くらいだったはずだ
俺らと入れ違いに顔を出していたのだろうか
「ああ、それは僕がちょっと手のかかる作業を藍くんに任せたからだよ」
と横(正確には真っ正面)から碧空が口を挟む
「去年の行事予定を見直して、まとめてもらったんだ。本当は翠にも任せようと思ったんだけど、なんか様子が可笑しかったから藍くんに任せたんだ」
…一週間前は確かに可笑しかったな
目に見えて動揺してたのか俺
と、横目で蒼海を見るとにやけた顔で俺を見ていた
こっち向くなよ。誰のせいだと
「作業自体は昨日終わってたんやけど、頼まれてた書類の部数が何枚か足りんやったんや」
で、今日朝一で先生とこ行ってきて枚数揃えて貰ったってわけ
藍は碧空が座っている席の左側に置かれたファイルにまとめられている山積みの書類を指差す
「…この量を一週間で処理できるとか」
俺だったら最低半月かかる
改めて藍の有能さを知った気がする
「神だなお前。見直した」
蒼海が藍の頭をぽんぽんと叩く
「蒼海に言われても嬉しくないわ」
「なんやて」
「おい、変に方言移ってるぞ」
おっといけない。とか言って蒼海が口を覆う
つか本当
「藍、全部仕事任せてごめんな」
不本意とはいえ、藍に仕事を押し付けてしまったのには変わりないしな
「いや全然大丈夫やで。翠は俺の仕事片してくれてるし」
こういう時に書記が二人居る事のありがたさを実感するよな、と藍は笑う
「まあ、もしまたなんかあったら今度は手伝ってもらうわ」
「お前は有能過ぎて頼られると逆に怖いけどな」
「そんなことありゃせんわ」
「ちょっとお二人さん、俺の存在忘れてませんかー?」
と会話の間に蒼海が割り込んでくる