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「翠ー.行こうぜー」
放課後、いつも通りに蒼海が教室まで迎えに来た
「おー」
俺はほとんど何も入っていない軽い鞄を肩に掛け、教室の出入り口へと向かった
告白から、一週間
俺と蒼海はというと告白する前とは変わらず、平々凡々な日々を送っている
あの日の翌日
俺は平常心を装いながら内心蒼海との接し方が解らず、柄にもなく滅茶苦茶不安だった
けれど
『翠、おっはおー』
…あんな欠伸まじりの間抜けな挨拶をされたら、接し方とかどうでもよくなった
「こんにちはー」
扉を開きながら挨拶をすると、部屋の一番奥のやたらとでかい椅子に腰をかけた人物と視線があう
「あ、もう来たんだ。今日は早いね」
「担任が休みだったんだ」
「なるほどね」
桐谷先生はホームルーム長いからねー、と彼―碧空は眼鏡を外した
蒼海と双子の碧空は、3/31生まれで年的には俺と蒼海より学年は上になる
そして
「せーとかいちょー、頼まれたもの買ってきましたよー」
「あ、藍くん.ありがとう、ご苦労様」
この暁桜第一高等学校の(仮)生徒会長をやっていたりする
「あ、翠と蒼海やん」
と、藍くんこと飯田藍人が俺等の方を見て「お久ー」 と声を掛けた
藍は俺らと同級でこいつの兄ちゃんの飯田紅先輩が正規の生徒会長なんだけど…
「藍くん、紅先輩は…」
「すいません.多分今日も来ませんわ」
「だらしない兄ですいません」と藍は苦笑する.
とまあ、こんな感じで生徒会室に顔を出さない
つか
「なんで藍はこんなにきっちりしてんのに、紅先輩はあんなだらしないんだろ」
「おい蒼海、心の声が漏れてるぞ」
真横から俺が思ってた事と同じ事を蒼海が代弁する
やっぱそう思うよな
「でも本当、碧空先輩すいませんね.実質紅兄ちゃん何もしないから、仕事を全部任せてしまって」
「まあ、生徒会集会とかはちゃんと仕切ってくれるから、僕は全然構わないよ」
そう言って碧空は笑った