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第八話


「九条君!」


春山が叫んだ。

それもそのはず。

彼は満身創痍だった。


春山をかばったんじゃない。

ただ春山は関係ない人間なんだ。

そう思ったから須藤の前に立った。

それだけだ。

後悔はしていない。もう逃げたりなんてしない。


そう今決めた。


"傷ついていい人なんて1人もいないの。もちろん悠もね"


悠は昔春子にそう教わった。


彼は昔とは違う。


「昔のように傷つくのを恐れて人を遠ざけたり、おばさんに悲しい思いはさせない!」


「わけわかんねーコトぬかしてんじゃねぇよ!」


須藤の拳が振り上げられた。

それをみて悠は目をぎゅっとつむり、ぐっと歯を食いしばった。


「――っ!!」


しかし拳は振り下ろされなかった。

ゆっくり目をあけると、拳を下ろし、鬼の形相で悠を睨んだ須藤の姿があった。


「クジョー。やり返すぐれぇしてみやがれ!!」


須藤は悠を挑発するように言った。


すると悠の拳が振り上げられた。

彼の挑発に乗ったわけではない。

ただ自分の力でどんな空も羽ばたいてみたいと思った。

この蒼い瞳だっておばさんのほかに受け入れてくれる人がきっと居る。

もしかしたら目の前に居るかも知れない。


春子にそう思う夕勇気をもらい、目の前の春山と須藤にキッカケをもらったのかも知れない。


だったら俺はそれを逃さない。


「俺は負けない!!」


そう叫ぶと同時に拳を思いっきり振り下ろした。




「――ってぇな」


悠の拳は振り下ろされた。

手ごたえはあった。

しかし拳は須藤に当たる直前に止められていた。

だが須藤は顔を強張らせていた。

悠に魔法や超能力などの特殊な力はない。

ごく普通の男子高校生だ。


「誰だてめぇ」


拳は男に止められていた。

悠は恥ずかしかった。

大声で叫んでまで拳を振り下げたのに止められてしまった。


「警察だ」


「――!?」


動揺していた。

警察にこれを見られた。

そんな中、ふとこちらを向いた警官の顔をみてほっとしてしまった。


「悠君、よく頑張ったね」


そこには杉田がいた。

そして後ろには――


「け 警察が何の用だよ」


須藤は明らかに動揺していた。


「ちょっ――困ります勝手に…」


騒ぎを聞きつけたが女教師が困惑した様子で教室に入ってきた。


「悠君、君は何も悪くないんだよ」


杉田はそんなことに気を止めず続けた。

すると女教師が警察を呼びますよと言い出したため、杉田は面倒そうに警察手帳を出した。


「警察の方がどうして…」


「ちょっと彼らに用がありましてね」


そう言って後ろにいる小鷹と目の前の須藤を見た。

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