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第十二話


「悠。良かったね。本当に良かったね」


――辛かったよね。


家ならわたしが一緒にいてあげられる。

でも学校じゃ一人だものね…わたしは何もできなかった。

それでも、悠はよく頑張ったよ。


「俺…これで良かったんだよね?」


泣きつくし、かすれた声で春子に尋ねた。

しかし春子は答えない。ただ息子のように思っている少年を、強く抱きしめた。


やってないことを“やった”なんて言うのは勇気じゃない。ただの逃げだよ。

逆にやってないことを“やってない”って言い続けるのは心身ともに苦しい。

だけど、そこを我慢し、そこに光が見えたら、それは“やってない”ことを証明するための

“勇気”になり、“希望”になる。

それを春子は伝えてきた。悠がどう思っているかなんて分からない。

でも、彼にその気持ちが届いていると信じている。

彼は、涙ぐんだ目でじっと見ている。

きっとまだまだ不安なのだろう。

事件は解決したが、決していじめが解決したわけではないのだから。




悠は涙を拭い、真剣な眼差しで春子を見た。


「おばさん。俺、この瞳のせいで辛かったし、苦しかった。でも、この瞳のおかげで、おばさんと会えた。だから俺は、この右目を…この右目があって九条…ううん、神崎悠だって思った。だから大切にしたい。そのためなら何でも…」


春子は、自分の答えを見つけた悠にほっとした。

これこそが、彼女が長年願い続けた、夢に見続けたことなのだ。

ずっと蒼い右目を忌み嫌っていた悠が、一つの個性として認めたのだから。


「悠なら、大丈夫。あなたがそう思った時点で一歩進んだの。その一歩でスタートラインに立ったのよ。スタートさえ切ってしまえば、ゴール目指して走るだけなの。そのための一歩を踏み出したことは大きなことなのよ」


ずっと伝えたかった言葉。

伝える日をどれだけ待ちわびたか。


「ありがと――」


そう言うと、張り詰めていた糸が切れたように脱力した悠の身体が寄りかかった。



――今日はゆっくりおやすみ。





なんだか急に話が進んでいる気がします。


へんな文章ですが、ご勘弁を…m(__)m

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