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「104回目で、また君と」  作者: 朝焼け
第一章
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9.世界の果て

 真っ黒な空間に、ティアは座り込んでいた。


 先程までの騒々しさや痛みが嘘のように消え失せ、辺りには静寂が広がっており耳を澄ましても物音ひとつしなかった。


 周りに何があるのか見えないどこまでも暗い空間で、自分の身体だけが、ほのかに光を帯びており、ひとまず怪我などがないことだけが確認できる。


 辺りにそっと手を伸ばすがその手がなにかに触れることはなく、虚空をそっと撫でただけだった。座り込んでいる事から地面らしきものがあることは分かっていたので、試しに触れてみる。

 すると、手が触れたところを中心に同心円状に光の波が広がってき、その光が触れたところからゆっくりと景色が浮かび上がってくる。


 慌てて手を離すが、光の波は止まらずにどこまでも、上にも横にも下にも、四方へ広がっていき、周りが白色一色に染まっていく。波が闇を押し流し、下に風景が隠れていたようにも見えた。

 徐々に地面から見えてくる。そこは一面の草原。青々とした草はどこまでも続いている。

 次に上を見上げて目を見開く。


「綺麗...」


 ティアは上を見上げながらほぼ無意識的にそう呟いていた。


 そこは、一面の星空が広がっていた。七色に輝く無数の星々の光が優しくティアを照らし、チカチカと瞬く。

 その、どこまでも美しく神秘的な夜空は思わず息を飲んでしまうほどに眩く輝きティアは心を奪われてしまいそうなほどにただただ魅せられていた。


 星を眺めるように辺りを見回すとある惑星がティアの目に飛び込んできた。


「なんで、こんなところに...」


 ティアの目に飛び込んできたもの、それは________地球。


 青い宝石のような、その水に覆われた惑星は圧倒的な存在感を放っていた。

 ちょうど、宇宙から見た地球はこんな感じなのだろうと思えるような景色にティアはただ呆然としていた。


 そうすると、ひとつの疑問が必然的に浮かびあがってくる。


「ここ、どこ?」


 少なくとも、景色のいい地球のどこかという訳では無いのだろう。なんたって、目の前に地球があるのだから。


「まるで、世界の果てみたいなところね。」


 苦笑しながら辺りを見回すが、目に入るのはどこまでも続く美しい景色と地球のみ。ここがどこかを特定できる要素はほとんど無い。

 とりあえず、ここを抜け出すためにも辺りを散策してみようとティアは手を地面に着き立ち上がった__________否、立ち上がろうとした。


「へっ!」


 突如、体が傾いた。

 地面に着いたはずの手が、沈むように地面を突き抜けた。


 右前に着いたはずの手が地面に吸い込まれるようにして体が傾いていくことにティアは驚きながらも何とか体勢を立て直し、バッとそちらへ視線を向ける。


「え...?」

 

 そこに、地面はなかった。


 視線の先、そこにあるのは__________水面。

 底まではざっと3メートルぐらいだろうか。

 底がはっきりと見える程に透き通った水の中には大小、種類様々な魚や亀などの海の生き物や、とっくの昔に地球では滅んだはずの三葉虫やオウムガイなど、ありとあらゆる海の生物がそこに共存していた。


 そして、ティアはその水面にペタンと座っていた。

 確かに、先程までは一面の草原が星空同様にどこまでも広がっていたはずだ。

 だが、目の前に今見えているのは間違いなく美しく透き通った水と生き物たち。


 先程から相次ぐ不思議な出来事や光景にティアの頭は混乱していた。


「まじでここは何なのよ...!」


 脱出するための手掛かりどころか、さらに状況は奇妙になり不可解を極めていた。


「座っていられるということは、手だけつかなければいいのかな?」


 試しに、手を水面に触れないようにしながらゆっくりと立ち上がってみる。これで落ちたらもうどうする事も出来なくなってしまう。

 慎重に、片膝を立てるようにしながら足裏を水面へ近づけそっと触れる。

 冷たい水の感触が足裏から伝わってくる。


そっと体重をかけてみると、足は沈まず、僅かな弾力を残しながらも水はティアの体重を受け止めた。

 ほっ、と安堵の息が漏れる。

 そのままもう片方の足も水面へ乗せることが出来、何とか立ち上がることが出来た。


「ふぅー。危なかったわ。それにしても、ほんとに星空と水と生き物しかないわね。」


 立ち上がって周囲を眺めてみるが、先程の光景と何ら変わらない。


「...ん?そういえば、私何してたんだっけ。」


 ふと疑問に思う。今までの不思議体験をする前、自分は何をしていたんだったのか。

 記憶を探るが、頭に靄がかかったように何も思い出せない。そも、何故それを今さら思い出したのか。

 今まで、自分がこの場所がどこかを不思議には思いはしたけれど、何故ここにいるのかを疑問に思いはしなかったのだ。


「なんで、何も思い出せないの...?」


 分かるのは自分の名前だけ。それ以外は、どうしても何も思い出せない。


 突如、視界が白く染まる。まるで大きな光を浴びたかのような感覚に、ぎゅと目を閉じる。

 どのくらいだっただろうか。そっと目を開けると先程と変わらない美しい景色が目に入る。


 その事に少し安堵してほっと息を吐こうとして気づく。


「え...?」


 目の前に誰かがいた。


 ばっと視線を向ける。

 2メートル程離れたところに一人の少女が佇んでいた。


「私...?」


 その少女は自分と瓜二つだった。


ご覧頂きありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)

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