都市の充足
絶妙な距離感を持った木漏れ日が部屋を染め、
ゆらゆらしているカーテンが
心に強烈な淡い刻印を彫り込んでいく。
痛い。もう、とうに忘れたのに、痛い。
幻想なのに見覚えのある影は?
聞いたことがないのに答えそうになる声は?
触れてもいないのに包まれるような充足感は?
穏やかな町の夕暮れに、
見覚えのある幻想が知らないはずのこの町の商店街や河原の散歩道で、
もしその慈愛に満ちた佇まいを見つけたらどうしたら良い?
分かち合うはずだった愛情に何て言えば良い?
このまま放っておいて全ての時が止まったのか
狂ったのか分からなくなってしまって、
終わったのか無くなったのかどうにでも良くなってしまえば、
無くした心も楽になれるのに。




