第一話「備えなければならない」
気が付くと俺は夜空の中にいた。
なぜこんな場所にいるのか、全くわからない。
見渡す限り夜空が広がっており、この場所に果てはあるのかと思い目を凝らした。
すると、ある一か所が気になった。
黒い点があり、くり抜いた様に、星が無かったのだ。
しばらく黒い点を見ていると、どんどん大きくなっているのが分かった。
その速度は凄まじく、もうすぐ俺の視界を覆いつくそうとしていた。
そして、黒い点の中に一つの赤い穴が現れた。
ギュル・・・ジュル・・・ドリュリュリュリュリュリュ
赤い穴から何かが溢れ出した。
グチョギュル・・・ドリュグリュ・・・ブリュリュリュリュリュ
あっという間にそれは、俺の目の前まで迫った。
異臭が鼻を突いたと同時に俺は何かの正体が分かった。
肉だ・・・その肉は蠢いており、まるで生きているようだった。
その事実に気付いた瞬間、本能が逃げろと言った。
だが、理性がもう逃げられないと悟った。
今や肉は俺を飲み込もうとしていた。
本能も諦めたようだった。
ドリュウウウウウ・・・ギチ・・ギチ・・
肉に飲み込まれた。
ギチギチと音を立てるごとに圧迫される強さが増す。
数分も経てば俺は肉にすりつぶされるのだろう。
・・・臭い・・・苦しい。
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
自分の穴という穴から液が飛び出るのを感じた。
意識も途絶えそうだ。
今更ながらに本能と理性は言った、死にたくないと。
「ジ・・ニ・・ダグ・・ナイ・・」
気付けば呟いていた。
その瞬間、何かが手に触れるのを感じた。
朦朧とする意識の中、手に何かの温度を感じたまま。
俺は死んだ。
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「・・・お・・・カロ・・・・おい・・・ロル・・・」
「・・・おい・・・カロル・・・おい!カロル!」
俺は驚きながら身を起こした。
目の前には女が立っていた。
「やっと起きたか、ご飯だぞ」
「・・・・・・」
何も言わない俺に怪訝な顔をしながら、女は立ち去った。
周りを見渡すと、そこはだだっ広い草原だった。
良く見知った光景だった。
その瞬間、自分が『カロル』という5歳の男だと思い出した。
「そうだ・・・俺は昼寝してたんだった・・・そのあとに・・・」
そう呟くと俺は慌てて空を見上げた。
そこには青空が広がっており、その隅々まで目をやり、
黒い点が無いことを確認できた。
俺はその場に倒れ込んだ。
「・・・まだ大丈夫か」
そう呟いて先ほどの体験を思い返してみる。
・・・あれは夢じゃない。
何故か俺は確信していた。
あれは必ず来る未来だと。
逃げるのは無理だ。
なら、どんな手段を使ってでも俺は強くなる。
最速で、最強に。
いずれ来る、あの『大いなるもの』に
「備えなければならない」
初めまして、「りのとわ」と申します。
「今を継ぐもの」を読んでいただきありがとうございます。
小説を書くのはこれが初めてになります。
文章は感で書いているので、変な部分もあるかと思いますが、温かい目で読んでもらえたら助かります。
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