<エピローグ>
季節は巡って、秋の紅葉が見頃になった頃。
海人は桜とのデートを終えて、愛車の軽を走らせていた。桜を自宅に送り届けて帰宅の途中の道の両脇には木々が紅葉し、通りを通る人々を幸せな気分にさせている。海人は桜の提案でお互いの両親を入れての紅葉狩りをする約束を思い出していた。
バルディの別荘の寝室の鏡から次元の間へ戻った海人達は、歓喜や雑談を終えると別れをそれぞれに告げる事となった。
「二人ともよくやってくれた。これで別れとなるが、ワシは二人のことは忘れぬ」
「俺もだよ、ランスゥ」
「ロケットとナナカミ、羽のチカラは不要のため、ここで返してもらうぞ」
「もちろんだよ」
「達者でな」とはナナカミだった。
「ボクのことも忘れないでネ」
ルウィンに「またどこかで会えるといいわね」桜の言葉に「うんうン、でモ、それはこの次元の間に危機が訪れる時だかラ、無い方がいいかもなのネ」
「そうね。でも…ううん。またね、ルウィン」
「またなのネ、桜に海人」
「じゃあ、俺達は行くよ」
「最後はワシが送ってやろう」
「頼むよ」海人がそう言うと、
「どれ」ランスゥが意識を集中させると、その両目に赤い羽が浮かんだ。
「最初の鏡じゃよ」
研究所の鏡だった。
海人は自分と桜の姿が映ったのを確認すると「じゃあね」桜の手を引っ張り、時空の鏡へと入ったのだった。
次元の間の鏡から戻り、研究所は大騒ぎだったが、事は全て海人の父が収めてくれていた。あの階層は、正式に永久封鎖破棄が決定したようでもあった。
帰宅すると母に桜の提案を話すこととなった。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「桜ちゃんがね、紅葉狩りしようだって」
「それはいいわね。是非にって伝えておいて」
「わかった」
「海人」
「何?」
「何だか急に大人の男っぽくなったわね」
「そう?」
「頼もしい顔をしているわ」
「そうかな?」
「そうよ」
「じゃあ、お腹空いたよ」
「そうね、お父さんも直ぐに帰って来るので、晩ご飯にしましょう」
「ルウィン並みにお腹ペコペコだよ」
「何それ?」
「う~ん、ごめん。秘密だからちょっと言えないかも」
「まあ、いいわ」
「お腹空いたよ」
「はいはい」
「お腹が空くのは健康で幸せだからだよね」
「それが一番ね」
「楽しみ」
了
ありがとうございました。




