表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空の羽 Remake  作者: 夢宇希宇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/79

第52話

 頭上高くをスタイールのシルクハットが舞っている。

 スタイールは右手のスティックを一振りさせると、それは先端が針のように尖った剣、レイピアのようになった。

「これでお前の心臓を一突きにして、息の根を止めてくれよう」

 既に勝利を確信したかのような、自信に満ちた言葉だった。

 頭上のシルクハットは、ゆっくりとだが降下を始めている。

「桜ちゃんとバルディに関する情報を吐いてもらうぞ」

 海人は構えたナナカミに気を送った。ナナカミは既に真の姿である、直刀になっている。

 先に動いたのは、スタイールだった。真っ直ぐに海人の心臓を狙っている。そして、一息で海人との距離を詰めた。

 「お前に俺の動きは見えまい。死ね!」

 スタイールの鋭い一突きだった。レイピアとなったスティックが海人の心臓を貫いて…とその直前に右に海人は躱した。スタイールの表情は見えないが、躱されてもその動きが止まる事なく、突きの嵐が海人を襲う。

 突いては躱しを繰り返し、海人はスタイールの隙を伺っていた。あの突きを受けてしまっては、海人でも致命傷になる。

 突いては躱しを繰り返し、一瞬スタイールの動きが鈍ったと思われた時に、海人はナナカミに気を送り一閃した。

 当たる…と思った時に、スタイールの姿が変わる。

「海人君、やめて」それは桜の姿をしていた。

 その時に海人に迷いが生まれ、隙が出来た。海人の動きが止まる。

「止まるでない」ナナカミが叫ぶように言った。

「愚か者め。死ね!」桜の姿をスタイールの一突きが、海人の心臓を貫いた。

 海人の心臓を貫いた瞬間に、海人の心臓辺りが光を放って、何かが砕ける音がした。

 それはディードの守りで、それが海人を救った。

「危なかったな。どうやら助けられたようじゃ」ナナカミの声が遠くのように聞こえた。

 本当に危なかった。ナナカミでの戦いにも慣れた海人であったが、それでも一人の青年である。無敵ではなく、人間であり、人としての心がある。今の海人の最大の弱点は、桜だった。

 そして、海人は怒りの感情に支配された。

「スタイール、許さない。同じ手は通じないからな」

「海人、落ち着け」ナナカミに言われたが、海人は我を忘れた。

 海人の手にある、ナナカミがその姿を変えようとしている。白く輝く長刀のナナカミの色が、段々とそれを鈍く黒光りする黒刀へと姿を変え、黒い負の光を放ち始めた。

「落ち着け、海人。戻って来るのじゃ」

 それを見た、スタイールが面白そうに笑い出した。

「ほう、そのチカラは面白そうだな。我らに近しいものを感じるぞ」

「海人、落ち着け。海人!」

「チカラに身を委ねよ、海人よ」

 海人は苦悶の表情を浮かべていた。

 意識が遠く、遠くへと遠のいて行った。

 そして、海人は深い思考の闇へと沈んで行った。

「しっかりしろ!」

 ナナカミのその言葉を最後に、海人は意識を沈めた。深く、深くへと。

 海人は戻って来るのか。

 意識の中での海人の戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ