第47話<有事>
続編の完全新作になります。
日本中のテレビ画面が緊急速報を流していた。
テレビ画面には、初老の男性が大きく映し出されている。そう、日本の現在の総理大臣である、海林剛首相その人だった。そして、首相は緊張感を持って話し始めた。
「皆さん、海林です。本日は今現在起きている非常に緊急性の高いある件について報告させていただきます。現在、東京上空に現れた謎の黒い光ですが…な、何?黒い光は存在しない?何だ?君は何を…現に見えるではないか?し、失礼、皆さん、取り乱し失礼しました。まずこれは真実でドラマや映画とは違い、真実です。その謎の光ですが、どこから現れて何なのかは不明であり、現在、専門家で構成される特殊対策チームにより鋭意解析中です。その光に敵対性は現在見られませんが、国民の皆さんにおかれましては、不用意に近づくことはお控え下さい。繰り返しお伝えし…」
途中でカメラが切り替わった。女性レポーターが叫ぶように伝えようとしていた。
「謎の黒い光付近です。存在しないと言われる黒い光が…私には見えて存在しています。信じられません。只今、光に変化がありました。光から何かが…人のようなものが現れたようです。お伝えします。只今…その姿を捉えられたようです。あ、人です。人と思われる…大きな人らしきものが、今目の前に降りて来ました。お伝えします」
テレビカメラは映していた。光から現れた人らしきものが、男であり、黒衣を纏い2m近くの大男だということを。
その瞬間、画面が暗転したかと思うと、その男を映した。
女性レポーターの絶叫に近い声が届く。
「ご覧下さい…今目の前に…」その瞬間に大男により日本中のテレビカメラが乗っ取られていた。
そして、映し出された画面の中で、男が話し始めた。
「よく聞け、愚民どもよ。我が名はバルディ。全ての次元を支配し、時を超越する王なるぞ。お前たちに宣言する。我の支配を受け入れよ。逆らう愚か者は、その命と引き換えにして裁きを下す。死という裁きをな」
テレビ画面が暗転したかと思うと首相が映る。
「海林です。只今、警察の特殊班を派遣しました。国民の皆さん、安心して下さい。特殊班は有事における警察組織のエリートとも言える組織です。バルディと名乗る男の排除要請を出しましたので、事は直ぐに解決しましょう」
次にバルディが映ると思うと、特殊班らしき姿がテレビに映し出された。
「バルディと名乗る男に次ぐ。直ちに日本の支配下に入れ…」特殊班の言葉は途中で途切れ「つまらんな」バルディが指をパチリと鳴らすと、特殊班の面々は弾けるように消えた。
テレビ画面には再び首相が映し出され「く、只今、陸上自衛隊に緊急派遣要請を出しました。国民の皆さんにおかれましては、今少しお待ち下さい」
「わからんようだな。面倒だ」バルディは、そう言うと、その場から飛び立った。高く高く。
日本の上空2万m。バルディの足元には、日本列島があった。
「あれか」そう呟くと両手を合わせて、次に大きく開いた。その瞬間に手と手の間に黒い光が出現し、「大人しくしておれ」そう言うと黒い光は日本列島のある地点、自衛隊基地全てだけではなく、在日米軍基地全てに降り注いだ。それだけではなく、海上の艦隊や深海の潜水艦にも降り注ぎ、日本における全ての軍事力が無効化された。
「こんなものか」バルディは納得すると、降下を始めた。その先は日本の首相官邸だった。
緊急放送は警告を出し続け、首相官邸のカメラに画面が変わると、首相の海林と驚くことに、その隣には黒衣を纏ったバルディの姿があった。首相の目は虚ろで何色も映していないような表情で、そして、話し始めた。
「引き続き、緊急速報で…す。え~あ、我が日本は、バ、バルディ陛下の支配下となる事を決定致しました。く…くり…繰り返します…日本は…バルディ陛下の支配下に入ります…以上です」
首相の隣のバルディは納得したようで「よろしい」その最後の一言で放送は終わった。




