第42話
残り1体になって、シャフトの様子が変わった。正確に言うと、新たにその姿を変えたのである。
動かなくなったそれは、1mくらいの大きなガマガエルであった。
「グゲゲ、オマエゴトキニ、ヤラレルトハ、バルディサマニナントオワビヲシタライイノカ。シカシ、コノセカイハ、ワレワレノモノダ。オマエゴトキ、バルディサマノアシモトニモトオクオヨバヌ」
「海人、こ奴の言うのは本当のようじゃ。お前がバルディに敵わぬということ以外はな」
「ナナカミ、どういうことなんだ?」
ナナカミは何かを感じているらしい。
「この世界にはバルディの魔力が未だに残っておる。そして、その力の中心は…こいつだ。このガマガエルに強い力を感じる。海人、確かバルディは球に魔法を掛けておったな。どうやら、こ奴がその球を飲み込んでいるようじゃ」
確かに、バルディは球…透明な水晶玉みたいなものに魔法を掛けていた。
それが、シャフト…このガマガエルの中にあるだって?
「海人、こ奴の口から手を突っ込み、その球を取り出してみるといい」
「ナ、ナナカミ、何言ってるんだよ?その手には乗らないよ。うっ」
「お前さん、実は…カエルが苦手なようじゃな。先程から、頬が引きつっておるし、態度が変じゃ」
バレた?海人は自身が唯一苦手とする『カエル』の存在をナナカミに知られてしまった。
「海人、早く球を取り出し、この国を解放せねばならぬ。そして、こ奴をロケットに封じることを忘れるではないぞ」
どうやら、ナナカミは海人の弱点を知り、この緊張する場面で楽しんでいるようだ。
「球はこのままナナカミで打ち砕くことにするよ。ロケットへの封印は…ナナカミがやってくれないかい?」
「情けない。一先ず、球を打ち砕くのは手伝ってやろう。しかし、ロケットへの封印は、海人、お前さんにしか出来ぬぞ。手じゃ。素手でこ奴を封じるのじゃ」
ナナカミは完全に楽しんでいる。
海人はナナカミに気を送り、このガマガエルの球があるところ目掛け、思いっきり斬りつけた。
「グゲェェェェ!」
ガマガエルが絶叫している。
その鳴き声と手に伝わった感触が海人の背筋を凍らせた。
ガマガエルの口から球が飛び出し、空中で砕け散る。
「よかろう。次はロケットに封じるのじゃ。素手でな」
くっ!で、出来ない…。
「どうした?顔色が悪いぞ」
意識が集中出来ない。
あのガマガエルを素手で掴むのか?
「海人、急げ!」
ナナカミが…絶対に楽しんでいるであろう声を掛けて来る。
仕方ない。他に方法も道も無い。
全ては桜を助け出すためだ。
海人はロケットを開き、意識を集中させた。
出来た!
ロケットの鏡は波紋を見せている。
ガマガエルの首の辺りを掴む。
「グゲェェェ!」
「うっっ!」
ガマガエルの鳴き声で集中が切れると思ったが、思いっ切りガマガエルを持ち上げ、ロケットの中へ放り込んだ。
「グゲゲゲゲェェ!」
ガマガエルは悲鳴ともとれる鳴き声を発しながら、ロケットに吸い込まれた。
海人は急いでロケットを閉じた。
どうやら、成功したらしい。
「海人さん、災難でしたね。そして、ありがとうございました。バルディの呪縛も解け、国の軍隊も解放されました」
そう言い、海人に話しかけて来たのは、レジスタンスのダラスであった。




