第11話<ある男の野望>
暗闇の中、一人の大男が歓喜の声を上げている。その身の丈は、2mを優に越していた。
その男は全身黒ずくめで、外套を羽織り、その姿は見る者に恐怖を与えそうな衣装だった。
そして、良く見ると暖炉があり、薪がくべられ、その灯が周囲を照らしていた。
その男は大きな笑い声とも取れる会話を一人で言い、それは独り言のようであった。
「グハハハハハ、ついに戻ったぞ、我がチカラ。これでこの古びた城に閉じ込められることもあるまい」
その時に夜の目を持つ者が見れば、男が大きな部屋にいることがわかるだろう。
そして、飾りなのであろうか。壁には大剣が飾られ、西洋式の鎧もまた静かに飾られている。
男がパチリと指を鳴らすと、部屋全体に明かりが灯った。ランプや電気機器のたぐいが見当たらないので、男のチカラによって、もたらされた明かりなのだろうか。
男はここを古城と言っていたがその通りで、男の部屋は古城のイメージそのものでもあった。
その古城に似つかわしくないもの。暖炉のすぐ右側にあるカプセルのようなもの。そのカプセルらしきものは、透明なガラスのような材質で出来ていた。
カプセルは床に横たわり、淡い光を放っている。そして、その中には一人の女性が眠っているのか、死んでいるのか、静かに横たわっていた。
男はカプセルに近づくと、もう一度大きな笑い声をあげた。その笑い声を聞いた者がいれば、恐怖に陥れられるだろう。
「これぞ、我が力が蘇った証。二度とあのような過ちは犯すまいぞ」
男はそう言い、もう一度パチリと指を鳴らした。
その瞬間、男の背後に淡い青白い13の光が現れた。
その光の中には、人の形を成す者、人の形を成さぬ者もいた。
男の前に現れた者たちは、声を合わせてこう言った。
「ご復活おめでとうございます、バルディ様。我ら一同ご復活を心からお待ちしておりました」
その男、バルディは現れた者たちに声を返した。
「うむ、永く待たせたな。そなたたちには、また我のために存分に働いてもらうぞ」
声を合わせた言葉が返ってきた。
「お任せ下さい、バルディ様。バルディ様の命あれば、我らどんなことでも致します」
バルディは「うむ」と頷くと少し遠い目をした。どうやら、何やら考えを巡らせているようである。
そして、こう宣言した。
「皆の者、我が次元の世界の主になる時がついに来た。まず、我に仇なした者たちに、我の復活を知らしめてやろうぞ」
揃った声が返って来た。
「かしこまりました。全てはバルディ様の仰せの通りに」
そう発すると、淡い光の者たちは一つずつ姿を消して行った。
バルディは、また一人になった。
そして、呟いた。
「さて、どこから始めるとするかのう」
そう言うと、今までで一番大きな笑い声を上げた。その顔その眼光は、見る者を恐怖させるには十分なものを醸し出していた。
そして、バルディが右手に持っている杖のようなものを掲げると、地図と言っていいのだろうか。天体図みたいなものが、バルディの眼前の空中に現れた。
「まずは、ここじゃな。ここには憎きあやつがおったのう」
悪意に満ちたバルディの声が古城に響き渡った。




