詩 自由恋愛禁止条例とある恋人
「自由恋愛禁止条例が作られた。
それは慎重な議論を通して、施行され、人々の恋愛は形を変えることになった」
決められた世界
定められた輪の中
運命という言葉に隠された
誰かにとって都合のいい世界
「私達の世界を人に決められたくない」
「僕らの愛のカタチは自分で決めたいんだ」
一人一人 違う愛
形も 模様も 大きさも
何もかもが違うから
同じようにはかって 区別して 整理する
なんて事はできないはずだった
「貴族のお嬢様は、不満だった。
同い年の女の子達で集まっても、まったく色恋の話題が出なかったから」
「平民の男性は、不満だった。
身分相応の愛を当たり前の様に思う周囲に」
皆が皆 世界のなすがまま
顔も見えない 何かを恐怖して
毎日 ひっそり すごしている
自分の愛を ごまかしている
このまま こうやって生きていくくらいなら
「逃げ出したい ここから」
「逃げだしてやろう ここから」
遠くへ 遠くへ
どこか 手の届かない場所へ
私達の世界を裏側から操っている
誰かの手の届かない そんな場所へ