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地獄の特訓

「はあ…、はあ…。」


やっと、屋敷を一周した。もうへとへとだ。


「飲み物を飲んで続きをやるぞー!」


「は、はい~。」


「返事はイエッサ!」


「イエッサ~~!!」


威勢良く私は叫んだ。

木陰に置いてある水筒を手に取る。水筒の蓋を取り、中に入っている麦茶を飲む。美味しい。

紅茶でもよかったが、私は運動のときの飲み物は冷たいもの。と、謎のプライドを持っている。だから、麦茶。

実は、マーリン先生も私と一緒に屋敷の周りを走っていてすこし動きが遅くなっただけでも「もっと速く!」と、急かす。

普段から運動をしていないメアリーにとってこれはとてもつらかった。


「次は体術だ!」


「イエッサ。」


まだやるの~。もう心も体もへとへとなのだが。

マーリン先生と対等に立ち、構えのポーズをする。

構えだけは前本で調べたのだ。


「まずは、一回戦ってみる。我は手加減はしないぞ。」


いや、手加減してください。体術なんてまったくできないんで。そのムキムキな体で殴る蹴るされたら死んでしまいます。


「いくぞ!」


改めて気を引き締める。よし!

ふいにヒュッと音がすると前からマーリン先生が消えていた。

は?どこ行った!?周りを一周見回す。

どこにもいない!?奴はどこに行った!?

(…これ、漫画のシーンで見たことある気がする。)

すると、マーリン先生が前に現れる。


「えええ!?」


私がその場で固まっていると、マーリン先生は私の真上に手を振りかざした。


「チョップ!」


「わあああ!」


ポスンと頭に小さな衝撃が走る。

ぎゃー、痛い!痛い!…って、あれ?痛くない?


「これが、戦場だったら小娘はもう1回死んでいる。」


手加減しないって言ってたのになんで弱いチョップで?


「そりゃ、もう解雇されたくないからな。生きていけなくなる。」


あ、1回本気でやって解雇になったのね。

マーリン先生はやれやれといった風に首を振る。


「固まる時間が長すぎだ。目の前に現れたら、普通相手に飛び蹴りをくらわして、顔面にパンチしたりするだろう。」


いや、普通する?それ。前者の飛び蹴りなんて助走つけるから少し時間かかるよね。

その間にもうやられてるんじゃないの?自分。


「小娘。本気でやっているのか?戦場はそう甘いものじゃないぞ!」


確かにそうだ。こんなんで戦場で戦える気がしない。こんな化け物(マーリン先生)みたいなのがざらにいるのだろうから。


…でも!私は絶対ハッピーエンドを遂げるんだ!死刑や国外追放になったりは絶対しない!

もう一回マーリン先生のほうへ向き直る。


「もう一回お手合わせをお願いします。」


マーリン先生は悪役のそれの笑みを浮かべると


「いい目つきだ。かかってこい。」


と、言った。



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