足を速くしよう!
マーリン先生が後ろにくる気配がする。
避けないと!
ぽこんと小さな音を立ててげんこつをまたくらってしまった…。
アウチ!
マーリン先生との体術特訓&反射速度特訓も順調に進んでいる…と言いたいところだが、あまり順調に進んでいなかった。
エミリーはマーリン先生の攻撃を避けられない。
何回やってもだ。
今までは努力をすればなんとかなったけど…今回はダメだ。
エミリーは才能がないのかなぁ。
うー…、どうしよう…。
マーリン先生がこちらをジッとみてきた。
「小娘。お主は魔法が使えるな?」
はい。それが何か?
「それならこの魔法を使ってみよ。」
マーリン先生が「ファースト」とつぶやく。
すると、マーリン先生の足元がエメラルドグリーンに光る。
わっ。綺麗。
パッと目の前から先生が消える。
だが、いつもと違って先生の気配が少しも感じない。
え、どうして。
そしたらまたパッと目の前に先生が現れた。
「この魔法は、足を速くする魔法。これなら反応速度がいくら鈍い小娘でも避けられるはだ。」
おお!!
「たぶん…。」
マーリン先生が小声で言う。
「たぶん」ってなんですか!その魔法が使えれば私だって避けられますよ!
「よし。じゃあ小娘。やってみろ。」
はい!あ、でも…魔法って…。
「ファースト…。」
私の足元は小さくエメラルドグリーンに光った。
少し走ってみる。
…少し速度は速くなったと思うが、ほぼいつもと変わらないスピード…。
…わかってはいたが相変わらずしょぼい…。
「…、小娘。お前は魔法が使えなかったのか。」
同情するよ。とばかりの顔をして言ってくる。
ち、違います!少し…魔法が苦手なだけです!