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『その日届いた一通の手紙の送り主は』

 幼馴染の彼女と疎遠になってしまったのは今から四年ほど前だ。


 ——『また会おうね。約束だよ……』


 その言葉を最後に、彼女は姿を消してしまい会えなくなってしまった。


 *


「……なんだこれ?」


 その日、伊佐木周いさぎあまねは自室の机の上に置かれた謎の封筒を見付けた。


 周はその封筒に手を伸ばし、表面に書かれた文字を確認する。中央に大きく『伊佐木周へ』と自分のフルネームが書かれ、その少し上の場所には周の住む家の住所が記載され、右上には切手が貼付けられてある。


 そして、裏側にはまた違ったマンションの住所に加え『千代田千春ちよだちはる』と、周としては懐かしい見覚えのある名前が書かれてあった。


「千春……」


 千春とは、今から四年ほど前に親の転勤で遠くの街へ姿を消してしまい疎遠になってしまった、周と同い年の女の子だ。


 そんな彼女からの突然の手紙。


 周はすぐさま封筒を開封し、そっと中身を取り出す。封筒の中には、便箋が一枚のみ。裏向き状態なため手紙の内容は見えない。周はそれを表に返し、その内容を確認する。


『久しぶりだね、周。君にとって、たったひとりの幼馴染である千春です。

 突然だけど、帰任でそっちに戻れることになりました。

 それを伝えるために手紙を書いたんだけど、伝えたい事はそれだけじゃないの。

 実は事情があって、四月六日には私だけが先に帰るんだよね。

 周はどうせその日暇でしょ? だから、その日の十三時に

 星海駅北口前の広場に集合ってことで。約束だよ。』


 そんな昔と変わらない調子で綴られた文章を目の前に、周は自然と「ふっ」と笑みを零した。それと同時に、千春との昔の思い出がよみがえる。


 その時ふと周は、ベットの枕元に置いてあったスマホを手に取った。充電のケーブルはそのままに、そのスマホで今日の日付を確認する。大きく画面中央上に『四月四日』と表示されたのを周はその目でしっかりと確認したあと、再び手紙に視線を戻した。


 ——『実は事情があって、四月六日には私だけが先に帰るんだよね』


 千春がこっちに帰ってくるのは明後日——春休み最終日だ。


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