戦いの果てに
「くそっ!くそっぉおお!!」
勇者はあまりにどうしようもない状況に乱心したのか、地面をこぶしで何度も殴り付けている。
『…フン、つまらんやつだ…お前の力はこの程度か?』
辺りには勇者のパーティーらしき人間が3人。
ただそのどれもがもう闘える状況でないことはだれが見てもわかる。
それほどこのパーティーは窮地に陥っていた。
『さぁ、どうする勇者ライド…
…一度「…どうやら俺はここまでのようだな…」
そう小さく呟くと勇者は力なき腕を頭上にかざした。
『…!!』
何かに気づいたのか魔王の顔が歪む。
「…ふっ、さすがは2万年を生き抜いたと噂されるだけある…
…この構えの意味がわかるみたいだな…」
勇者の右腕に柔らかくも力強い光が集まり、どんどん膨れあがってゆく。
『…ま、まて!早まるんじゃない!!』
「もう遅い…道連れってのが気に食わねぇが世界の為だ…
一緒に逝ってくれや…」
『やめろぉおおおお!!』
焦る魔王の言葉をかき消すようにその光は爆音と共に勇者もろとも周囲のすべてを飲み込み跡形もなく消し去ったのであった。
…そう、呆気にとられた表情をしているワシ、魔王ゾルディを除いて。