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異世界人

「それでその人はどういう人物!?」

 私は思わず前のめりになって尋ねる。

「うーん、どうって言われてもね。マントとフードで姿を隠していたからよく分からないな。ただ、魔力で分かる。その人もあなたと同じ世界の人だ」

 クオリアは淡々と恐るべき事実を告げる。彼女にとってそれが異世界人であれば他はどうでもいいらしい。変なこだわりがあったセラとはちょっと違うところだ。


「そ、その人は一体何て言ってここへ!?」

「私は詳しくは知らないけどあなたたちは元の世界では魔法は使えないんだって?」

「うん」

「その人物は最初、魔法を使えるようになったまま元の世界へ帰ることが出来ないか聞いてきたんだ」

「なるほど」

 確かに分からない話ではない。こちらの世界では大なり小なり魔法が使える者は多いが、現代で魔法が使えれば唯一無二の存在となれる。まあ、発覚したら色々面倒くさそうだし私のは代償もあるから特に嬉しくはないけど。


「そう。ただ、私の方法は先ほども言ったように本質的には世界間転移の方法ではない。ただ、世界と世界の間の魔法的障壁を取り去ることで二つの世界の距離が近づけば、お互いの世界の人や物がそのままの性質のまま転移する可能性がある」

「???」

 話についていけていないシアが見るからに困惑している。私は助け船を出すのも兼ねて確認してみる。

「例えば、こちらの世界には魔法があって私の世界には魔法がない。だから魔法が使える人が私の世界に行くと、私の世界に合わせて魔法は使えなくなると?」

「私の仮説ではね。実験も気軽に出来ないから何とも言えないが」


「じゃあ世界と世界の距離が近づくとどうなるの? 私の世界に来ても魔法が使えるままなの?」

「さあね。それも実証してみないと何とも言えないな。向こうの世界がこちらの世界に近づく……例えば向こうの世界にも魔法が発現するか。それともこちらの世界に、向こうの世界にしかないものが発現するのか。それとも両方の世界が均質化するのか……あなたはどうなると思う?」

「世界にも強さとかあるのかな?」

「確かにそういうものがあるかもしれないな。もし存在が確かめられれば是非計測してみたい。ともかく、そういうことなのでそちらの方と協力して進めるのでも構わない」

 研究内容について話している時だけクオリアは早口になった。ちなみに一瞬話についてこられそうだったシアは再び置いてけぼりになっていた。


「ちなみにその人は何で魔法を持ったまま元の世界へ帰りたいと?」

「さあ、訊いてないな」

 それについてはクオリアは興味なさげだった。もうちょっとだけアンテナを広く張ってもいいのではないだろうか。

「ちなみに聞くんだけど、ここ最近、教会以外で異世界人を召喚した人っている?」

「さあ、何分こんな辺鄙なところに住んでいるからな。ただ一応研究に関する情報は収集しているし、何より異世界から人を召喚するなんて自己顕示欲が強い魔術師しかしないのでは? だとすれば、知らぬ間に行われることもないと思うが」

 いや、そんな研究発表みたいなノリで召喚されても困るんだけど。とはいえ、誰かが何かの目的で秘密に召喚しているとしか思えない。全く謎だけど。


「でも、理論上誰かが秘密裡に召喚することは出来るんでしょ? だったらそうとしか思えないけど」

「いや、その可能性は低いだろう。私はもっとシンプルな可能性を考えている。すなわち」

 そこでクオリアは少しだけ言葉を切る。


「あなたの先代か先々代が実は生きていて、ここへ来ているのではないか、と」

先代か先々代の存在を忘れている方は目次→魔王領編→「先代」「先々代」の章へGO!


というようなことを先週書いてしまいました。

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