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闇属性ラノベ作家志望JKの異世界召喚  作者: 今川幸乃
セラ編(旧魔王領編)
30/64

決着

文字通り、決着回

 私はガルーザを見ると彼を倒す最適な魔法を考える。先ほどは扉相手だったので闇に閉ざしたが、もしガルーザに移動系の魔法があれば回避される可能性がある。


「アイスコフィン」

 その間にもガルーザの呪文で私とセラの周りが氷に包まれる。

「ディストラクション……っ!」

 間一髪で私たちを包み込んだ氷が砕け散るが、破片のうちの一つがセラに突き刺さる。軽傷とはいえ初のダメージだ。そしてディストラクション万能だな。


 闇属性魔法は原理は不明だが、相手の心にも干渉することが出来る。ならばガルーザを廃人にするのが一番手っ取り早い。


「まだやるのか?」

 ガルーザは果断なく氷の槍を降らせる。セラは疲労のせいか、自分に当たりそうな槍を防ぐことしか出来ない。

「はあ、はあ……戦闘で勝つことしか考えていない単細胞に魔石はやれないわ」

 それでもその目から闘志が消えることはなかった。この二人はどちらかが死ぬまでいがみ合い続ける関係なのだろう。

「何言ってんだ。結局世の中は力だろうが。勝利っていうのは一番手っ取り早く力を証明する方法なんだよ」


 私はガルーザの心を破壊するイメージを思い浮かべる。そして魔導書を経由して魔力を集める。私の中に黒い魔力が集まってくるのを感じる。それと比例するように魔導書が黒ずんでいく。大丈夫? でもあいつを葬るまでは頑張れ。私は体内に集まって来た魔力をガルーザにぶつけるようにイメージして叫ぶ。


「マインドクラッシュ」

「アイスシールド」


 セラ戦で余裕を見せていたガルーザは余裕、といった面持ちで氷の盾を作り出す。私の身体から奔流のように流れ出た魔力がガルーザに迫る。そして氷の盾にぶつかる。が、その瞬間ガルーザの表情は凍り付いた……氷の魔術師だけに。

「闇魔法が氷で防げる訳ないのに」

 闇は軽くガルーザの盾を包み込み、なお衰えぬ勢いでそのままガルーザの頭を包み込む。


「うがああああああああああああ」


 ガルーザは頭を抱えて悲鳴を上げる。魔力が暴走しているのか、周囲一面に吹雪が吹き荒れている。

「うっ」

 やがてガルーザはその場に膝を突くと、そのままその場にうずくまった。そして小声で何事かをぶつぶつと繰り返している。


「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌」

「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い……」


「あれ、やりすぎた……?」

「いや、それよりも」

 セラが魔導書を指さす。夢中になっていて気が付かなかったが、魔導書はいつの間にか真っ黒に染まっており、さらに内部では高速で魔力が循環していた。特に熱いとか痛いとかそういうのはないが、例えるなら中に大量の虫がいる箱を抱えているような気持ち悪さに襲われる。

「え。これどうすれば」

「あいつしか分からないわよそんなもの。ディスペル」

 セラが初歩的な魔法の解除呪文を魔導書にかけようとする。が、それが結果的にまずかった。セラの魔法が命中した瞬間、魔導書の中を循環していた魔力が出口を見つけた雪崩のように奔流となって決壊した。原理は分からないが沸騰した油に水をすすぐようなことをしてしまったのだろうか。


バアアアアアアアン!


 鈍い音とともに魔導書は爆発し、魔力が外に飛び出す。私はその爆風で吹き飛ばされ、魔力は壊れた魔導書に代わる新しいエネルギー源を求めて飛び出していく。

 そして運の悪いことに私たちの近くには魔導書に代わる新しいエネルギー源があった。

「嫌ああああああ」

 悲鳴を上げるセラだったが、魔力の奔流はセラが護ろうとする魔石に向かっていく。

「バリア!」

 セラが魔法を使おうとするがその魔力も奔流に取り込まれてセラが大事に抱える魔石を飲み込んでいく。魔力の奔流に対して魔法は何の意味もなさなかった。


「セラ!」

 とっさに彼女の危機を察した私はセラの手から魔石を奪い取ると宙へ放り投げる。上空に投げ上げられた魔石に魔力の流れが迫っていく。

 そして。空中で魔石を取り込んだ魔力は大量のエネルギーを得て、再び爆発した。


ドカーン!!


 私たちは爆発の衝撃で吹き飛ばされ、意識を失った。それでも元の魔力が私の由来のものだったからだろうか。私を吹き飛ばした魔力の衝撃はどこかここちよく感じた。

次回からまた新しい話になります。

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