第8話:デメリットと、初めての会合
リアルの用事がかなり立て込みまして、1ヶ月ほど報告もなしに更新停止しておりました。今後も少しづつ投稿していきます!
…今まで一ミリも主人公活躍してなくねこれ
あう…ちょみかんストップ…そのあだ名は無いって…う〜ん。
「あの〜?起きてください!ここにい続けるとモンスターに襲われるかもしれませんよ!ここセーフティエリアじゃ無いんですからね!」
う〜ん。もうちょっとお…
「い・い・か・げ・んに起きてください!」
ぺシーンッ!
ハッ!?
「えっと…オハヨウゴザイマスホンジツハオヒガラモヨロシク…?」
「何寝ぼけたことほざいてんですか。いきなり倒れたんで心配したんですよ?」
叩いて起こす必要性は無いと思う。うちの初テイムモンスターはわりかし暴力的らしい。
「あ〜そっか。ここはゲームの中で、私気絶してたのか…。私どんくらい寝てた?」
「かれこれ二十分ほど。全く色々と心臓に悪いんですよ?」
「あ〜。それについては本当すみませんでした。なんか急に視界がおかしくなってクラクラしただけ。今も若干気持ち悪いんだけど、じきに慣れる。というか慣らす」
常に気持ち悪い状態とか耐えられるわけがない。今もさまざまな色と線が混ざり合い、この世のものとは思えない光景が私の前には広がっているが。
「まあ、なんとか上手くやって下さい。取り敢えず、安全なエリアを探しませんか?流石にセーフティエリアの無いステージ何てよほどでなければ作らないと思うんですけど…そのよほどをやりそうなんですよね…。うちの人たち」
「うん。そうしよっか。いつまでもここにいても仕方がないし」
取り敢えず安全なエリアでスキルの確認を済ませたい。色々やりたいこともそこで整理することにしようかな。
う〜ん。どうも視界がこの状態だから色々と見えづらいな。ここは全体的に緑色が多いけど、私は黄色と紫と虹色みたいなのが混ざり合ってるし、天の声さんは白い。色彩感覚が変になりそうだわこれ…。
「じゃあ、移動する?あてがあるわけでもないから、取り敢えずマップを埋めていくことを目標に進むか」
このマップ、マーキング機能が付いているようで、マーキングしたところからの向きを表示できるようになっている。マップを視界の端に設定すれば、常に確認できる。よし、これで探索の準備は万全かな?
「というか、貴方その体だとどれくらいのスピード何ですか?私は飛べるので結構速く移動することも可能ですが…」
「う〜ん。私は飛べないし、速度は普通の人間よりかは速いけど、そこまでじゃないかな」
「わかりました。貴方に合わせますね」
彼氏力が高い。あの容姿だったらさぞモテるだろうに…ま、自分で考えたんだけど。
「ああ!忘れてました!セインさん、インベントリ確認しましたか?一応初心者用特典と、冒険に役立つアイテムが一通り届けられるんですけど…あ、あとはサモナー用のアイテムも届いてるはずです」
…そっか。すっかり忘れてたけど、所持品確認せずに行くとか自殺行為じゃん。ていうか、アイテムを手に入れてもアナウンスないから全然気付かないんだよね。
え〜インベインベ…
うん。取り敢えず初心者用装備、初級HP回復薬×5、あとは魔物の餌、あとは初心者用練金台、食料、…あ、チュートリアルフィールドの採取アイテムも入ってるね。良かった良かった。
……うん?なんじゃこりゃ。
神界の聖気:レア度:ゴッド:☆1
神界の空気。凄まじい浄化作用を持つ。その空気を浴びたものは神の加護を受け、格段に強さが増すという伝承がある。
…………見なかったことにしておこう。いつかきっと扱える日が来る…よな?
それより、さっきあった初心者装備を装備しよっと。あれ?そういえば、初心者装備って最初っから装備してるもんなんじゃ…
初心者の杖(サモナー専用)
初心者の上着
初心者のズボン
初心者の靴
初心者のローブ
※これらの装備は装備条件を満たさないため装備できません
………嫌な予感が当たったあああああああ!!!!
マジですか、人型ですら無いから装備すらできませんか。かなり不利だな…。
「あの…何やら打ちひしがれてるようですけど、大丈夫ですか?」
「うん…これ見て見てよ…私のインベ…」
「ああ…」
うん。一瞬で全てを理解して哀れみの目を送らないでくれ。悲しくなる。
杖ぐらいは持てるんじゃないかと試しにインベから初心者の杖を出してみる。
インベントリから杖が具現化したかと思うと…
ドスッ
地面に落ちた。拾い上げてみようと自分の感覚に頼り霧の部分を動かすが、なかなか操作が難しく、そもそも霧状であるために自分の体をすり抜けてしまう。
…………期待した私がばかだったかもしれん。
「うん。これくらいのことで凹んでたら強くわなれないね。行こう、ゼロ」
「はい!立ち直りの早い方で良かったです!」
装備が無いのが若干心配だが、ここにいてもつまらないし、何も変わらないので、進むとしますか!
草むらの中をゴソゴソと進む。今のところ何にも会わずにすんでいるが、いつ現れるかわからない。………怖い!
そもそも此処がどこかわからないからLv帯すら分からないし!急に理不尽なところに飛ばされてるとか十分あるし!
「あ、あれ採取ポイントじゃない?ゼロ」
「そうなんですか?私にはあんまり見えないんですよ。光って見えます?」
「う〜ん、このよくわかんない視界に慣れてきたけど、所々光ってるから多分採取ポイントだよ」
「よくわかんない性能してますね貴方の視界…」
まあ、見えやすいならば良いことだ。それ〈採取〉!
薬草:レア度:ノーマル:☆4
一般的な薬草。ポーションの材料になる。???の森で採取したため品質が高い。(現在〈錬金〉で使用可能)
ほうほう。まあ、ね。普通の薬草だし…☆4て、品質が高いんだろうか?後この???の森がフィールド名だよね。誰かから教えてもらったりしないとわかんないのかな。
「あ、薬草ですね。錬金で使えるので出来るだけ取っときましょう」
「ねえ、チュートリアルの時に採取したやつって☆5だったよね?じゃあ、そこまでのものじゃないかな」
「さあ…。序盤で進めてる人達の基準がわかんないですしね」
「というかむしろ錬金に失敗しても損失の少ない☆1とかの方が最初はいいかも。品質の高いもので失敗すると泣ける」
「確かに」
「あ、また採取ポイントあるよ〜」
《〈採取〉のLvが上がりました。現在〈採取〉Lv2です》
お、成長した〜。各スキル毎にLv設定があって、それが成長していく形なんだよね。管理メンドくさそうだけど、やっていくたびに成長が実感できるのは嬉しいことかも。
しばらくチマチマ採取しながらフィールドを直進する。採取物にもいくつか違うものが混じり始めた。
魔素草:特殊:☆1
魔素が潤沢に宿った植物。通常では採取ができない特殊な物で、採取できる条件を満たしていなければ扱えない。〈現在の〈錬金〉で使用可能。但し、その特性を活かしきることはできないだろう〉魔力草とは似て非なるものである。
へえ〜。明らかに普通じゃないのが取れた…
「ちょっとゼロ見てよこれ。こんなレアリティあったんだ…」
「え?ちょっと見せてください。…むむ、これは確かに、最初の方のエリアで取れるものでは無いですよね…」
ここ何処なんだろマジで。モンスターに遭遇したら死にゲーとか無いだろうな…?
「因みにこの魔力草とやらが一般的なMP回復薬を作る素材っぽいよね。名前的に」
「そうですね…」
「まあ、あまり深く考えてもわからんし、取り敢えず次に育つ若そうなのだけは残して、ガンガン採取しますか!」
実害がないならそれでよし。(脳筋思考)
さてさてそんなこんなでなんと〈採取〉がLv5に。凄く育ちまくった。今のところ〈気配察知〉の反応があるところは避けて通っているからか、何か危険なものに出くわしている事はない。一回すごく近くに行くまで反応しなくて超目の前をヤバそうな(識別できない=断然モンスターLvが高いか識別のLvが低いか)目を4つ持ったイノシシが通り過ぎてった時は肝を冷やした。この時のお陰で〈識別〉がLv2、更に取得できるスキルリストに〈隠蔽〉が出てきていた。
「……あれはヤバそうじゃない?ていうかやばいよね。ゼロ」
「私は〈識別〉は持ってないですけど、なんとなくオーラで察しましたね…気付かれなくてよかった」
多分気づかれたらお亡くなりになっていたと思う。〈隠蔽〉はLvが上がってなくてSP持ってないから後で取ろう。この場所では必要になりそうだし。というか後々まで役に立つ超いいスキルだと思うし。
「あんなのがいるってわかった以上、露骨に動きたくないけど、すぐここを離れないと」
「そうですね。安全地帯を探しに危険地帯に踏み入って死ぬとかミイラ取りがミイラですし」
そうやって2人で小走りしながら移動していると…
「あれ?」
「どうかしましたか?また何か変なことでも?」
「いや、動いてるからSPが減るのは分かるんだけど、なんもしてないのにMP減ってる」
「…MPは魔法か、それに準ずるスキル等を使っていないと消費しませんよ。可能性としてはSPが切れるとMPが減り出すということですが、あなたまだHGありますよね?」
「うん、あと7割くらいはHGあるけど…おかしいな、なんも魔法とか使ってないよ?」
「う〜ん。今MPどれくらい減ってます?」
「全体の15分の1ぐらい」
「結構減ってますね…安全地帯を見つける前にMPが無くなるのはマズイですから、一応原因確認します?何かしらのスキルが勝手に発動して、それが原因の場合もあります。パッシブスキルの類が無いかを確認しときましょう」
「了解。う〜ん、パッシブって事は常時発動って事だよね?えっと、これがそうかな」
〈魔色視〉
魔素を色で視認できる能力。視認の判断要素は以下の通り。
1 :魔素の多い所は色が濃く、より光って見える
2:魔素はそれぞれ、属性によって違う色を持つ。何の属性でも無い場合は白。
3:この眼は、物質に邪魔される事なく、感知範囲の魔素を視認できる。
注:ON/OFFが可能なパッシブスキル
常時MPを消費し、1時間で10ほど消費するが、感知範囲を広げればそれ以上のMPを消費する。
さっきの目眩もMPの謎も全部これか!創造者で、絵師を選んで出てきたやつか。その他も特に確認してないから急いで安全地帯行って、そこで見たいな。
「ていうか、これ一応OFFにしとこ…」
ようやく視界が通常モードに。ホントにやばかった。慣れないと倒れるスキルってクセ強すぎでしょ。
私にはまだ扱いきれない。無理はしないでおこう。
そんなこんなでスキルを確認して出発しようとすると…
「ブルルルルルルルッ!」
目の前に表れたのは先程会った四つ眼のイノシシだった。…しかもそれだけでは無い。美味しい獲物がいると仲間に伝えでもしたのか集団である。その数10匹。
「「………………………」」
沈黙する私とゼロ。
けたたましく唸るイノシシ10匹。
そして…
「「に、逃げろおおおおおお!!!!!!!」」
「「「「「「「「「「ブルルルモッ!!!!!」」」」」」」」」」
そして始まる地獄の鬼ごっこ。
木の根が生い茂る森の中を走る 、走る、走る。時々コケる。
「ヤバイって!アレはヤバイって!今んとこギリギリ逃げてるけど、このままだといずれ追いつかれる!」
チラと後ろを見ると、山道を物ともせず走ってくるイノシシズ。地の利が不利すぎる。良かったAGIに振っといて…って、そんなこと言ってる場合じゃ無いんじゃああああああ!ていうかか下手するとHGが保たないッ!
「不味いですねこれ…」
「言ってるそばから来てるっ!」
どうにか一瞬足止めして時間を稼がないと…戦うにしてもかなりヤバイ。というか、戦ったら確実にデスする未来が見える。私は初見ゲームで無双できるタイプのPS人外勢でも、一種のチートとかもないんだぞ!理不尽に文句を言っても何も帰ってこないし意味ないけど!1番は隠れることだけど、それ系能力は持ってない。〈隠蔽〉取りたいけど、Lv上げてないしクエストもやってないからSPもない!
よって八方塞がり。逃げるのみ。
草と木の生い茂る道無き道を走っていると、この日1番の大木が前方に。
「よしゼロ!あれに引きつけてギリで避けてまた逃げるよ!」
「はい!右に行きましょう」
〈回避〉は持ってるから、補正かかるはず!
そう言いながら木に近づく。そしてくるりと振り返り、イノシシたちが向かってくるのを待つ。
ギリギリまで引きつけて…もっと…もっと…もっと………
「今だっ!!!!」
ギリギリで真横に飛んで避ける。〈回避〉の補正のおかげかギリギリイノシシ10匹の突進から逃れた…のに…!?
「ゼロ!!」
「うわああ!」
ゼロがどうやら逃げ遅れたらしい。何で私よりAGI高いのに逃げ遅れんのよ!ってそんなことはどうでもいい!助けないと!
私は何回死んでも大丈夫って言う保証があるけど、ゼロにはその保証はない。なら、今取るべき行動は…
「こんなところで…死なせてたまるかっての!」
必死でゼロの所へ手を伸ばし(手はないんだった!)…ゼロに覆いかぶさるようにして体を割り込ませる。
せめてもの抵抗でライトボールを打つが、恐らく大した効果はないだろう。
「セイン!やめなさい!」
しかしそれによって私の体はイノシシに対し無防備になり………盛大に攻撃を受けた。
体に走る強烈な衝撃と痛み。痛覚設定70パーでもイノシシ10匹の痛みは重すぎた。
あ、死んだ。そう思った刹那…突如足元が崩れ、浮遊感に襲われる。
絶対に放すもんかとゼロを霧状の体で包み、私の意識は暗転するのだった…
ブクマ100件突破ありがとうございます!感謝しかありません!
ちなみにぺキュリアは特殊の英語です!わざわざ辞書使いましたw