第4話:天の声さんとお話ししよう
チュートリアルは平和だと言うフラグは回収されると誰が言った!平和じゃないのは此処からだ!
チュンチュン…サワサワ…
あー、綺麗な自然は最高の癒しだあ〜主に都会民の。
「えっと…あの…?フィールドに出られないのですか?」
「いやあ…綺麗なところだね…最高…」
「ダメだ話が通じてない…」
いや?ちゃんと聞こえてますよ。フィールドね…出てもいいんだけど、さっきから私に目にはきになる物が映ってるんだよね…〈識別〉結果だと…
癒しの泉:レア度:ユニーク
人々に癒しを与える泉。ちょうどのいい冷たさをしている。飲んでも非常に美味しく、涼やかな味がする。
キュアラバード:レア度:ユニーク
人々に癒し効果を与える鳥。その鳴き声は美しく、全ての動物が
聞き惚れる。羽素材は回復、リジェネ効果持ちの道具、装備を製作可能。
この他にも癒し、とかキュア、とか名前の付いているオブジェクトが多数あって…しかもちらっと採取ポイント的な光が見える気がするんだよなあ〜?
ちょっと取ってみるか。私〈採取〉持ってるし。
え〜。結果は…
キュアフラワー:☆3:レア度:レア
癒しの力を持つ花。???の材料になる。この花の近くにいると、自動で体力が回復する。
素材いはとってよかったみたい。
おお!多分そこそこ良いものなんじゃないかな?薬草よりかは効果が高そうだね。(薬草あるのか知らんけど)
「うーん…見つけちゃいましたか…」
「あ、チュートリアルの隠し要素的なやつか…多分」
「ええ、出来るだけ気づかれない様にはしてたんですけど、天晴れですね」
いやいや。たしかに〈採取〉取ってないとわかんないし、フィールドを少し移動しないと見つかんないギミックだけど…情報が出回っちゃえば割と価値は無くなっちゃうんじゃないかな。採取ポイントは〈採取〉持ちでなくても見えるのかな?
「ここで取れた素材に関してはフィールドに持ち運んでも大丈夫です。ただし、モンスターは倒せない仕様にしているので、採取ポイントだけになりますね」
とりあえず、出来るだけ採取してからフィールド行こうかな。
私はそうやってチュートリアルフィールドを移動して、採取ポイントを探しに向かう。
「あれ、一緒に来るの?」
「一緒に?って…私はあなたのチュートリアルAIなんですよ。チュートリアル終了まではあなたのことに対して責任を負ってるので、行くのは当然です」
「………ふふ、なんだか保護者みたい」
「あながち間違ってないですね」
やっぱ根が真面目なんだなあ。
「ほんじゃあ、ガツガツ採取と行きますか!!」
5分後…………
「えーっと、チュートリアルフィールドの端がここだから、そんなに広くないね。そこまでに採取ポイントが5個か…じゃあ、だいたい10分くらいで全部採取できるね」
今まで取れたのはさっきのキュアフラワーに加えて、
薬草(正式名ヒーリングラス):☆5:レア度:ノーマル
一般的に「薬草」と呼ばれる素材。???の材料で、〈??〉〈練金術〉で使用可能。魔素の濃いところで育ったため、回復効果が高い。
癒睡蓮:☆1:レア度:レア
癒しの泉に浸かることで変質した睡蓮。特に珍しい???や???を作る材料となり、魔素が濃く、水が綺麗でないと育たない。???地方の特産品。
この三種類を採取することができた。
多分???の部分は私がスキルを取ってなかったり、知識が足りてないから埋まってないんだろう。
ただ、薬草については自分のゲーム知識と組み合わせると、「ポーション」を作る材料で、〈調薬〉でも作れるってことだろう。初期スキルで〈調薬〉があるのは見たし。
で、多分レア度が「珍しさ」☆が「品質」を表しているんだろう。レア度が高いと☆が下がるんじゃないかな。同じフィールドの時は。
そうなると、癒睡蓮がレア度が高めってことになるのかな。表記は変わらないんだけどね。
「よし、じゃあ目印をつけながらぐるぐる回って中心の泉に戻って来れば網羅できるから、出発!」
「あなた、がっつり網羅してく気ですね?」
「もち!もらえるもんもらえるときに貰っとかないと損するだけだし、こういうのは遠慮してはいけない!」
がめつく行くのは生存の第一歩!
だって、気づいた人には運営が〈採取〉していいって言ってる様なもんでしょ。やっぱいい性格してると思う。運営。そういうの嫌いじゃないけど。
「…そういえば、私以外の人はあなたじゃないAIがチュートリアルをしてるの?」
「いや、流石にそのためだけに大量のAIを作成するわけにはいきませんから、何体かで分担してやっているんですよ。それに、私はGMとしても活動しますから、かなり時間をかけて作られたAIなんです(ドヤ)」
「ほえ〜。じゃあ、GMとしてどこかフィールドで会える時が来るかもね」
まあ、GMが呼ばれるって時点で厄介ごと確定でもあるけど。
「そうですね…ふふ、あなたは私と会うのが楽しみ、と言ってくれたんですか?」
「楽しみ…かな。なんせ、このフィラワリアで、一番最初に出会った人だもん。記念すべき出会い、じゃない?あなたにとっては大勢のうちの1人でしかないんだろうけどさ」
「いえ、私も覚えていると思いますよ。ここまでのんびりしたチュートリアルしてる方なんてあなただけですし。それに、他のAIは結構せっかちなのが多いんですよね…」
「へえ〜。ま、今日は忙しいんだろうし、AIにも有給とかあればいいのにね」
体力的な問題というよりかは、精神的な問題で辛いんじゃなかろうか?みんながみんな、マナーの守れるプレイヤーってわけでもないと思うし。
「そうですね…一応疲れ知らずなもので、休む、という感覚が未だに掴めずにいることもあるんですよ。だからせっかちになるのかもしれませんね」
「私のキャラクタークリエイトは初めの一歩、だから。そこにいてくれた貴方は、きっと、ここで紡ぐ思い出の最初の1人になるの。他の人でもそうだけど。そこにある無限の可能性を、AIじゃない、ひとりの人間として感じて欲しい………な〜んてね」
ちょっとカッコつけすぎたかな?
(それに貴方は…)
っピピッーーーーーーーーーー
『おめでとうございます。AI No.『祝福されし7番目、blessing seventhの友好度がMAXになりました。これにより隠し要素、パートナー機能が起動します。なお、この放送はblessing seventh により、秘匿されました』
うえええええええっ!?
これはもしかして私、やらかしちゃった系女子ですかっ!?
『これよりプレイヤー、セインはAI No.7と友の友誼もとい《パートナーの誓い》を結ぶことが可能です。結びますか?なお、ここで友誼を結ばない限り、二度と結ぶことができなくなります』
「「………………………」」
「え〜。はい。プリーズ説明!」
「えっ!?私に投げないでください!私のデータの中にも入ってないんですよ!?」
「だよね〜。多分AIの貴方にも伝えられてない隠し要素だったみたいだね。取り敢えず状況を整理しようよ。2人で」
「はあ…。ええ、そうしましょう。恐らく、私のセインさんに対する[好感度]なるものがプログラムされていた様ですね。それがMAXになると発動する特殊なイベントみたいですね」
平然と信頼してますよ、みたいな発言したよこの人…
「うん、そこまでは私も分かったんだけど…。《パートナーの誓い》ってなんなの?」
「私にもわかりませんが、要素的には、なんらかの繋がりを私とセインさんの間に持たせる儀式の様なもの、と推測できます」
仕事が早くていらっしゃる。
「うーむ、でも、ここで結ばないと、この先絶対に結べないんだよね?なら、私は結びたいんだけど…でも、天の声さんが嫌ならやらないよ。」
イケメンとの繋がりが欲しいかといえば欲しくないわけじゃないけど、人の嫌がることをわざわざしても楽しくないしな。今回の場合。
「………いいえ。嫌じゃないですよ」
「ホントに?どんなデメリットがあるかもわかんないじゃん」
内容もわからないし、不確定すぎるから、相手をよほど信頼していないとやれないと思う。リスクが高すぎるもん。私だったらやらないんじゃないかな?
「私は今同時に沢山の人のチュートリアルをしているように、意識を分裂させられますし、本体が危険な目にあうわけじゃないですから。そこまで警戒する必要もないんですよね」
成る程…
「でもさ、私より後に、もっと相性のいい人に会うかもしれないじゃん。後悔するんじゃない?そうなった時」
「現れない確率の方が圧倒的に高いんですよ。それに、一度そうしたいと思ったことに、いちいち後悔はしない質です。」
「……じゃあ、いいの?ホントに。結んじゃうよ?」
「ええ、是非。これからよろしくお願いします。セインさん」
「いいの?」
「…だからいいって言ってるんでしょうが。私が心変わりしないうちにして下さい」
「キレないでえ…。分かったよ。じゃあ、YESっと」
急に怖くなると心臓に悪い。ちょっと口調も崩れたしね。
『〈誓いの宣誓〉をしてください。(なんでもいいです!なんかかっこいいセリフお願いします! GMより)』
「…………………………」
GMの楽しそ〜な感じがめちゃくちゃ伝わってくる…。これは確信犯というか、ネタというか。
にしても、〈誓いの宣誓〉ねえ…。そんなもん思いつくわけないだろっ!あれか?「オレ(私か)の仲間になれ」みたいなクソ恥ずかしいこと言わにゃならんのか!?
「あ〜。う〜こういうのは苦手なんだけど…言わなきゃダメだよね。区切りはつけなくては」
「上(運営)がご迷惑おかけしてます…」
なんか察してくれた。まあ、こういうのも込みでこのゲームの魅力って思わないと多分ついていけなくなるよね…w
行けっ!セイン!恥は捨てるんだ!
「………私はあなたと共にあることを誓おう。私とこの世界が貴方になにかをもたらせる様に、後悔させないために。…ありがとう私を選んでくれて。私は貴方の友達、貴方のたった1人のパートナー。友の友誼、パートナーの誓いを今ここに捧げる!」
「私は…貴方と共にあることを誓いましょう。私が貴方とこの世界の道標となれる様に。1人の人として貴方といられる様に。…私は貴方の盾、貴方の矛。物語の始まりを告げるもの。『blessing seventh 』の名において貴方を祝福しましょう。友の友誼、パートナーの誓いを今ここに捧げる!」
「おお…おお!?」
天の声さんが宣誓を返してくれた途端、私と彼の手から金色の光が溢れ出し、中央で繋がった。こんなに神秘的な演出が隠し演出とはなんとも勿体ない…。運営は妙なとこに力を入れる才能があると思う。
『…これで《パートナーの誓い》は結ばれました。貴方とNo7に旅の加護があらんことを』
「「ありがとうございます」」
くだらんこと考えたら終わった!
「はあ…。なんか凄いことになっちゃったね」
「ええ。流石に予想外でしたよ。これ…」
「でもさ、これでようやくフィールドいけるかな!」
「そうですね。そろそろフィールドに出てもらえないと流石に運営に怒られてしまいそうですしね…」
おっと、じゃあ早くでないとね。フィールドに出ますか?のウィンドウでYESを押して…!
私の体が光に包まれた。
「じゃあ、私は行くね」
「ええ。良い旅を。私はいつでも貴方を見守っています」
天の声さんはいつも通りのイケボ…いや、少し寂しそうに、困った様に笑って見送ってくれた。
…それに見とれてたらフィールドに出るときの演出を見逃したのは気にしないでおこう。
予想外なことが起こりまくりだったけど、何はともあれ、ここから私の冒険が始まるのだ!嗚呼、楽しみだな!
AIさん達とパートナーになる条件はAIさんによって違いますが、No7の場合は
チュートリアル開始時点で好感度が40越え(MAX100)
チュートリアルでフィールドに20分以上止まる。
フィールドギミックの採取を全制覇。
AIではなく「人」として見ること
これらの条件をクリアした上で好感度がMAX100であると《パートナーの誓い》が発生します
デイリー44位!びっくり!
ブクマや評価有難うございます。