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12. 幼馴染兼元カレ(2)


「こっちは幼なじみの中西修司。そんで遠い親戚のランバート」


 会計が終わったにも関わらず何故か居座る気満々の修司と、その隣に座り困惑気味のランバートにそれぞれ紹介する。

 親戚云々の話は完全に疑われているがそのまま押し通すことにしたらしい。

 修司は隣に座る男の体格の良さに感激したのか、その逞しい二の腕に時折羨望の眼差しを向けている。


「はぁ〜。外国人はいいよな。どんな服着ても似合うんだからさ」

「む……? そうか……?」


(……確かに)


 ランバートは今鎧の下に着ていた白シャツに黒い長ズボンといったラフな格好をしているのだが、何故か野暮ったくならず、むしろそれがお洒落に見えてくるから不思議だ。


「修司といったか? 先程は手荒な真似をしてすまなかった。だが何故あんな真似を?」

「んー? いやぁ、ゆかりはあんたに会わせる気ねぇみてーだったし、ここん家ん中にはいるみてーだったから怒鳴ったら出てくっかなって」

「まじ迷惑。意味分からんし」


 その勝手な言い分に、ゆかりが半目で睨み付ける。

 ランバートもそれに何の意味があるのかと不思議そうだ。


「だってさぁ、元彼の俺としちゃあ心配じゃん? 変なのに捕まってんじゃねーかとか」

「いや関係ないし。親戚だし」

「……元彼?」

「そそ。三年……いや四年か? そんくらい前まで付き合ってたの、俺たち」


 ランバートの問いに修司が説明するが、多分「元彼」って言葉自体が分からないんだろうなぁとゆかりは苦笑する。

 修司の手前、詳しく追及してこないことに胸を撫で下ろしながら、ゆかりは話の片手間に閉店作業を進めていく。


「そんでランバートは何でこんな辺鄙な町に来たんだ? 観光ならフツー東京とかじゃね?」

「それは――」

「日本について勉強しに。ね?」

「あ、ああ。そうだ」


 ゆかりが目配せすると、ランバートが頷いた。

 勉強だと聞いて「うげぇ」とあからさまに顔を顰める修司。これなら深く追及してこないだろう。


「ていうか修司いつまでいるわけ? もうすぐ閉店だからいい加減帰ってほしいんだけど」


 時計を見るともうすぐ五時を指そうとしていた。

 この後予定があるというのは嘘だけど、修司のために時間外労働するのも癪に障る。

 早く話を切り上げたいゆかりが帰るように催促すると、修司も今度こそ帰る気になったらしく重い腰を上げた。


「もうそんな時間か。……あ。なぁランバート、いつまでいんの? 一週間くらい?」

「まだ分からん。迎えが来次第なのだが」

「ふぅん? ま、明日はいるんだろ? ならまた明日来るわ」


 何故か明日も来ると言い残して去って行った修司を見送り、すぐさま閉店作業にかかる。

 看板を軽々と店の中に移動させるランバートに指示しながら、ゆかりはテーブルを拭いていく。

 鍵を閉めて音楽も止めるとこれで仕事は終わりだ。


 今日は予想外の客が来て空き時間が少なかったため、ゆかりの昼食は軽めにパンを食べただけだった。

 ランバートも途中ケーキを食べてはいたが、それだけじゃあきっと足りていないことだろう。


(ハンバーグ……いや面倒くさい。パスタでいっかなあ)


 簡単に出来る献立を考えて、トマトソースの缶詰を一つ棚から取り出しておく。


「上戻ってご飯にしよっか」

「おお! 楽しみだ」


 軽食を出すため喫茶店にも厨房はあるのだが、その後のことを考えて上で食べることにした。

 二階に上がり、早めの夜ご飯を食べた二人はお互い慣れないことをしたからか疲れていたらしく、割と早い時間に眠りについた。




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