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高橋さんは色が嫌い  作者: ゆきんこ
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部活発足!

 今日は盛大な遅刻をし、教室に着いたのは昼放課のときだった。

「今日は随分と遅い登校だね。もしかして、一人であんなことやこんなことをしてたんじゃないのー」

「そうだよ。一人であんなことやこんなことをしてたよ。あっ! 睡眠ね」

「へーそうなんだー。ふーん。そんなことよりさ、この服どう? チャイナドレスなんだけど似合ってる? でも先生に怒られたからもう着てこれないんだけどね」

「へーそうなんだー。ふーん。すごいすごーい」

「真似するな! そしてさらっと流すな!」

「おっ! どうした。京也、もしかして高橋さんのチャイナドレスに見とれちゃったか?」

 よくよく見てみれば高橋さんはチャイナドレスを着ていた。

 そして、すらりと伸びたなまめかしい太腿ふとももをちらちらと見え隠れさせていて僕は思わず視線を逸らしてしまった。正直に感想を言えばエロイ。

「ばかっ! 見とれてないわ!」

 これは嘘である。こんな服装に欲情しない男子高校生は健全じゃない。

「えっ……それって、私に魅力がないってことじゃ……もう、泣きそう……」

 そう言って、高橋さんは顔を手で覆いかぶせた。

「あー。京也、高橋さん泣かせた。先生に言い付けちゃおっかなー」

 隆司は小学生が茶化すみたいにあおってきた。

「いや、泣かせてないから! 勝手に高橋さんが泣いてるだけだから!!」

「それを泣かせてるって言うんだよ!!」

 ええー。そんなのありかよ。

「とりあえず、高橋さんに謝れよ」

 まあ謝っとくか。

「高橋さん。ごめんね、泣かせちゃって」

「じゃあ、許してあげるから部活メンバーを二人用意してきてくれる?」

「えっと、まあうん」

「じゃあ、がんばってね! 応援してるからー」

 そういって、席に座ったところで始業のチャイムが鳴った。















             次の日。

 とういわけで、僕は二人の部活メンバーを集めなければいけないことになったわけなのだが、さあどうしたものか。とりあえず、バラ配りでも始めようかな。まあ、バラは高橋さんが作ってくれるみたいなので楽っちゃ楽だ。

「すみません。お忙しいところ何なんですが、部活に入りませんか? 我が部の部活では、あなたの過ちや過去の失敗を変えることが出来ますよ」

「すみません。遠慮しときます……」

 ダメだったか。やっぱりバラ配りじゃだめなのかな。まあそりゃそうだよな。これじゃあ、変な勧誘みたいだし。やっぱり、仲の良い人を勧誘したほうがいいのかなあ。







            昼放課。

「あのさあ、隆司。隆司の友達で部活に勧誘できそうな人っていない?」

「うーん。そうだな……あっ! ちょっと連れてくるわ」

 どうやら昨日のことは忘れてたらしい。バカでよかった。

 そして連れてきたのは髪は黒髪ロングで大人しそうで、あとまあ胸も大きい……。

「あっあの……今日から部活に入会した舞川綾芽まいかわあやめです。よろしくお願いします」

 おどおどしながら深々と礼をした。

「こちらこそよろしく。舞川さん」

「よろしくな。舞川」

「よろしくね。綾芽ちゃん」

「その……なんで京香さんはチャイナドレスを着ているのですか」

「そうそう! これどう? 意外と似合ってると思わない?」

「でも校則違反じゃないかなーって思ったりす……」

 高橋さんは舞川さんを睨むようにして萎縮させた。

「いやっなんでもないです! 似合ってると思います。とても可愛いと思います……」

「でしょー! いいよね。これ。それと、あと一人は決まっているから私が連れてくるね」

 どうやら高橋さんも忘れていたらしい。こっちも言っちゃ悪いがバカだ。

 そしてつれてきたのは、金髪ロングで毛先をカールさせていてまさにギャルっぽい感じの人だった。

「えーと。名前は水瀬加奈子みなせかなこだよ。よろしくー」

 全員が舞川さんのときと同じように「よろしく」と挨拶を交わした。

「じゃあ、部活メンバーも五人集まったところだし部活名を発表しようかな」

 よくよく考えてみればまだ部活名決めてなかったな。そういえばビラにも部活名は書いてなかった。普通はメンバー勧誘のときに決めるものだと思うのだが……。

「ダララララララ……どどん! 部活名は……」

 高橋さんは溜めるように間を空けた。

 どんな部活名なのだろうか。やっぱりシンプルで何をする部活なのかが分かる部活名がいいと僕は思う。

「『あなたの人生の失敗、私たちが変えます』にしよう!」

「いいね! なんか凝ってる」と僕意外の皆が言った。

 凝ってる? これがか。なんかそのままなような気がしたが、ここでツッコミを入れるのは雰囲気を壊しそうだったので止めた。

 顧問の先生は同好会を受け持ってくれてた近藤先生に頼むことにした。

 とりあえず同好会としては認められているので部活にしなくてもいいような気がする。しかし高橋さんが「やっぱり部活じゃないとダメでしょ。同好会は会だけど、部活は部だよ! それなら部活がいいに決まってるでしょ!」などと、いまいち理解できないことを言っていたが、雰囲気がそんな感じだったので、部活を作ることになった。

「部活の申請は隆司で誰も異論はないね」

 高橋さんが威圧するように言った。

「…………」

 皆無言だった。

「あっうん。僕で大丈夫……」

 結果、僕が部活の申請をやることになってしまった。

 いつも雑用は僕に任されるんだ。いいんだ。僕は雑用係なんだ。ぐすん。

 でもまあ、部活を作れたのは良かったかな。

 僕の黒歴史も解決できるのは、単純に嬉しいし。他の人の黒歴史を解決できるのは嬉しいし、まあ満足かな。しかし、どうやって黒歴史を解決するのだろうか。

 そもそもそんなことが可能なのだろか。現実的に考えて無理なんではないか。そんなことを思いながら僕は今日も家路に就くのであった。


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