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一般人

とある一般人のお話

作者: 月下氷人

ノリと勢いで初投稿してしまった(´・ω・`)

僕は主人公ではない。絶対にだ。


……多分。


自信はなくしたけれど、自分のことは1番自分が分かっている。自己分析的には主人公キャラなんて柄じゃない。


というか僕のクラスには他に主人公っぽいやつがいるし。


そいつの名前は桐生(きりゅう)総司(そうし)

成績優秀、運動神経バツグン、品行方正、ファンクラブだって存在する正にハイスペック爽やかイケメンだ。



更には最近よくあるような地味だけど能力高い系の主人公も他にいる。


そいつは鷹野(たかの)(まこと)

一見根暗な印象は受けるが、能力は低くない。顔は整っているし世話焼きな妹もいて、しかもクラス1の美少女と名高い植村(うえむら)鈴乃(すずの)とも仲良い。というか惚れられてる。



それに比べると僕なんかただのモブだ。

僕、綾野(あやの)良純(よしずみ)はただの凡人だ。テストは勉強しないと中の下、頑張っても中の中くらい。運動神経は悪かないと自分では思うけど、素人にしては良く出来てる程度のことしかできない。友達は少なくないけど、ちょっと話す程度の友達が多く、一緒に遊びに行くほどの友達はそれほど多くない。コミュ力が低く、女子の友達なんかはいない。


こんな僕なんかは主人公の訳がないと()()()()



▲▲▲



暖かな日差しはあれど、布団から出るのは億劫に感じてしまうようなある日のこと。


特に違和感を感じるような出来事はなかった。

強いて言うなら、普段は遅刻しないように家を出る前に一言かけてくれる父親が起こしてくれなかった事だろうか。


「完全に寝坊だ」


今からどう急いだ所で1限の授業には間に合わない。と言うか既に始まっているだろう。


手元にはサイレントマナーにしていて気付かなかった友人達の不安を知らせる携帯電話。授業の始まる数分前まで心配をしてくれていることが如実に分かって申し訳ない。



これからどうすべきか?


「今から行くか、もうサボってしまうか……」


自分で言うのも何だが、僕は真面目なほうだ。サボりなんかはした事がなかった。まぁ、怒られるのが嫌なだけだったが。


「良い言い訳も思いつかないし、正直に言って怒られるか……。それが一番マシな気がする」


僕は怒られる事を覚悟し、学校に向かうことにした。



そこでも別段おかしな所はなかったはずだ。人通りが少ないのは時間帯がずれてるせいだと思っていたし、何より急いでいたので周りを見ることもできていなかった。



学校に着いた僕を出迎えたのは人の気配を感じさせない校舎と誰もいない教室であった。



▲▼▲



何があったのか考えてみた。しかし、思いつかない。頭が上手く働いてくれない。


良くある主人公が一瞬の出来事に対して対策を練るが、そんなものは実際にはありえないと思った。


そんなどうでも良いようなことに気が向けられているせいか纏まらない考え。何よりも人がいないという事が僕に恐怖を覚えさせた。



実際にクラスのみんなが一斉に居なくなるという事が起きるのだろうか?そう考えた僕にふと思いつく事があった。それは最近みたネット小説のことだった。


「まさか……クラスごと異世界転移……?」



そんなまさか。ありえない。


そんな心とは裏腹に、僕は勝手にネット小説を思い出していってしまう。その度にありえない……、しかし……、いやでも……、だって……、とどんどんそんな気がしてくる。



だというのなら。



「どうしてこんな時に……」


正にその一言だった。遅刻した時に起きるだなんてあんまりではないか。今まで夢にまで見て、ありえないからと現実を見据え、それでももしかしたらと僅かな希望を抱いていた僕に対する最低な仕打ちではないだろうか。


やりたいことがいっぱいあった。

なりたいものもいっぱいあった。


確かに主人公キャラではないだろうと諦めていた。しかし、それでも新しい人生、生き方、世界に憧れていた。もしかしたら大逆転があって、なんだかんだで主人公になれるかもと期待していた。


僕は人生に絶望した。



しかし、思い返すと出会った人が殆どいない事に気づいた。確かに田舎の方で元々の人口的にも少ないことはあるだろう。しかしこれほどまでに少ないという事には意味があるとしたら?


人類は何故か未曾有の危機に晒されていて、それを救えるのは僕だけだとしたら?



今まで下がっていたテンションが急激に上がっていくのが分かった。


しかし、何が原因なのか、どうすれば良いのかが分からなければ人類を救うことは出来ない。


しかも、僕は運動神経が飛び抜けているようなリアルチーターではないのだ。油断すれば一瞬でゲームオーバーするような一般人なのだ。言うなれば縛りプレイみたいなものだ。


これがゲームならば別だ。


楽しみ、怒り、自分とは別のことと割り切って安心していられる。装備が酷かろうと、能力が低かろうとプレイヤースキルの高さで補えばいいと考えられる。



しかしこれは()()()


動かすのは自分自身、能力値がそのまま反映される。失敗はそのまま死に直結する。


これでもスリルを楽しめる程のメンタルは僕に持ち合わせていない。僕は元々臆病者なのだ。だからこそこれまで大きな失敗も無ければ刺激も少ない人生だったのだ。いきなりこれはハードモードすぎる。



僕はそのまま思考の海に沈んでいった。



▼▼▲



僕は閉じていた目を開ける。

どうやら眠ってしまっていたようだ。


どれぐらい時間が過ぎたのだろうか。


まだ明るいから日中ではあるが、それほど短い時間ではないだろう。



色々と思考を重ねたがどうにも纏まらない。

僕はどうやら妄想癖でもあるようで、すぐに思考が彼方此方へと散ってしまい、考えていたことが何処かにいってしまうのだ。



このままでは拉致があかない。

しかし実行するにも何をすべきか分からない。



そんなループに陥ってしまった僕はいつの間にか睡眠と言う名の休息を取っていたようだが、しっかりと寝たお陰で頭もスッキリし、気力に満ち溢れている。


まず一番にすべきは情報収集だろう。

その後に方針を決めればいい。


そうと決まれば実行に移すだけ。


二、三度深呼吸して気合を入れると何気なしに携帯を開いた。




今思えばその時に携帯を開いていなければまた結果は変わっていただろうと思う。



そこにはいつ書いたのか分からないメモ書きで



《振替休日》



つまりそう言うことだ。


僕は勝手にみんなが異世界転移し、人類に危機が及び、なんだかんだ考えていたが、ただの僕の勘違いと不注意の結果だと言うことだ。



僕は膝から崩れ落ちた。

恥ずかしくて顔から火が出そうだった。


周りに誰もいないことが不幸中の幸いであった。



どうやら僕には()()()()()()らしい。


そんな気はしていたが、いざこうやって直視させられると辛いと言う他なかった。


といってもみんなが無事であると分かりホッとした。



安心した僕は深呼吸して、気持ちを落ち着けてから帰路に着いた。



▼▼▼



散々だった(と思う)1日が過ぎるのをぼんやりと夕陽を見ながら考えていた。


何故こんなにも焦っていたのかと終わってみると不思議でしかない。そうなった原因は何だっただろうか?



不意に携帯が鳴った。親友(僕的には)からだ。



「今日はどうした?来なかったけど」


「何を言ってるんだ?今日は振替休日だろ?」


「そうだけど補習っていうか特別講習あっただろ?図書室で」


「」



どうやら僕は思い違いしてたらしい。

学校に行くことは合ってた。場所はともかく。


今から行って先生はまだいるだろうか?

謝ったら許してくれるだろうか?


そもそもなんで僕のメモには勘違いするような書き方したあったのだ。恨むぞ。マジで。



色々考えながらもう一度学校へと走った。

今日は散々だと再認識しながら。



それでも世界は大きく変わらない。

明日は明日の風が吹く。



あくまでも一般人のお話。


適当にぶっ叩いてください。参考にしますんで。

あ、因みにフィクションです。作者こんなにバカじゃないです(´・ω・`)

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