鳩と猫と私
肥えて飛べない鳩が手の指にとまっている。
鳩特有のいい香りがして、ふわふわの羽毛が手に触れている。
肥えて裕福そうな平和の象徴のようだ。
すると黒猫が右と左とにいて、どうやらこの鳩をねらってるようだ。
今、学校の3階以上にあるベランダに立っている。
始めはこの猫たちに近づかないように手で制止したり、鳩がいる方の手を遠ざけたりした。
それでも、諦めてはくれなさそうだ。
猫の目がぎらついている。
空腹なのか、本能なのか、もし、この鳩が襲われたら、食べられてしまうのだろうか、遊ばれてしまうのだろうか。
焦った私は、2匹の黒猫に襲わせるのは嫌だから、そのままベランダからその鳩を飛ばしてしまった。
肥えて自ら飛ぶこともできないことを知っててベランダから落としたのだ。
鳩は地に落ち、死んだ。
振り返り、教室に入ると、一羽のカラスがいた。
どうやら教室内に侵入してきたようだ。
誰もいない教室で、カラスは一声鳴き、飛び去ってしまった。
最後に自分だけが教室に取り残された。