プロローグ※恵麻視点
書いてみました。すごくこじれてる双子たちのお話です。
不幸、だろうか。思えば私、深瀬恵麻の人生はその一言で表せるかもしれない。その不幸の始まりは生まれたときからだ。
~16年前~
「おぎゃぁおぎゃぁ」
「おぎゃぁおぎゃぁ」
私「達」の産声は二つだった。なぜかって?双子だからだ。先に生まれた姉の夏夕あとから生まれた私。その時の両親はたいそう驚いたそうだ。事前の検査では双子ではなく1人だと言われていたらしいから。
~12年前~
「なゆ、かみひっぱるのやめてよー」
「やだ。たかしくんがえまのことすきだから、やだ。」
今思えば何言ってんだこいつ状態だと思う。だけど幼稚園のころってのはそんな荒唐無稽な感じでもケンカする原因になった。この頃から私達の顔はソックリで、夏夕は黒髪ポニーテール、パッチりな目に二重まぶた。顔はどこか元気な感じを彷彿とさせる。対する私は黒髪ロング、夏夕とまではいかないものの、パッチり目に二重まぶたで顔はなんだか見たものを落ち着かせる様な子でら双子で系統が違うけどそっくりさん。という感じだった。
「たかしくんわたしのことすきじゃないよ。」
「うそ。だってたかしくんいつもわたしじゃなくてえまのことずっとみてるんだもん。」
女の観察眼ってのは恐ろしい。それとも恋する乙女の観察眼か?そんなことはどうでもいいのだけれど。この頃から夏夕や夏夕の友達にちょっとしたイジメをうけるようになっていた。
~6年前~
「ちょっと、どいてよ。」
「ご、ごめん。夏夕。」
小4の時だ。この頃には私には友達、と言える存在は1人しかいなかった。ほとんどの友達が夏夕にとられていったからだ。双子ってのは同じクラスにならない。だけど、違うクラスからでも夏夕は容赦なく虐めてくる。
「はぁ~あ、ほんっとトロイよね。恵麻って。」
うるさい。って心の中で何回言ったことか。だけど何か言ったら夏夕は友達を使って虐めてくる。だから何も言えずにいた。とってもくやしかった。
~3年前~
「恵麻ちゃん、好きだ。付き合ってください。」
中1の秋、学年でも上位のかっこよさ、っていう貴史君に告られた。ちなみに幼稚園、小学校も一緒だっけどクラスは幼稚園の時以外全部ちがう。確かに貴史くんはかっこいいと思う。野球部のエースで背も高い。性格もいい。だけど...
「ごめんなさい。今はなんかそういうの考えられなくて...」
「...そっか。いや、いいんだよ。こっちもゴメンな。」
そういって走り去っていく。顔も赤かった。わかってる。私には勿体無いって。こんなこと二度とないって。だけど言ったとおり私には考えられない。私が付き合って誰かを好きになる。そして誰かから好かれる。そんなのがなんだか怖くて、考えたくなくて。自己嫌悪した中1の秋。
パシッ。子気味良い音が家でなる。告白されて家に帰るなりただいまーって言ったら急に玄関で夏夕に頬を叩かれる。
「恵麻、あんたってホントにムカつく。ホントウザい。」
「な、夏夕?なんで叩くの?」
「は?ウザ。決まってんでしょ。アンタが貴史君に告られたからよ。それに断ったって。恵摩、ホント何様のつもり。」
「ごめん...」
「私が幼稚園のころからずっと好きだったのに...」
「え?」
「なんでもないっ!」
怒ってトタトタっと階段をのぼってしまう。なにか小声で言ったような気がして。その階段を登っていく背中はただ、悲しんでいるように見えた。
恵麻視点続きます。この双子達結構訳あり?かな。