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スペースコロニー解説

 ここではスペースコロニーというものはどういうものか、『フラクタル・エフェクトTRPG』の中で実際にどのようなスペースコロニーがあるのか紹介していきます。

 TRPGはキャラクターを演じる(role)するゲームですが、どのようなキャラクターを演じればいいか、悩む場合もあるでしょう。

 時代的な背景が強い『フラクタル・エフェクトTRPG』では、各キャラクターの出身地も大きな意味があります。

 本資料を読むことで物語世界の知識を深め、キャラクター設定の一助としてください。


スペースコロニー(Space Colony。宇宙植民地)とは

 1969年に実在の人物ジェラルド・オニールらによって提唱された、宇宙空間に作られた人工の居住区のことです。

 宇宙空間は真空状態なため、通常、人間が生きていける環境ではありません。それを巨大な人工物を建造しその内部に人間が生きていける環境を整え、宇宙でも人が暮らせるように(植民)するという構想です。

 提唱当時は人口の爆発的増加・資源枯渇への対策として注目されていました。

 ですが、当時危惧されたほどの人口爆発は結局起こらず、建造時にかかるコストを考えると資源枯渇対策としても非現実的で、注目度は次第に衰えていきました。

 それからさらに時代が進み、技術的な問題がクリアされて建造が実現可能なレベルに達すると、手のひらを返すように先進諸国はこぞってスペースコロニーを建造しようとします。

 それは当初考えられていた人口爆発のためではなく、地上に人が住めなくなった場合のリスクヘッジ(Risk Hedge。危険回避)が目的と言われていました。例えば巨大隕石の衝突、核戦争などによって地上が人の住めない環境になった場合に備え、宇宙で人間が活動できる場所を整えておこうというのです。

 ……というのが、スペースコロニー計画を推し進める際の建前でした。しかし、実際にスペースコロニーが建造されたのは宇宙開発競争の激化に後押しされたものが大半です。

 国際的情勢の変化から軍事力による問題解決があまり行われなくなった当時、各国は経済力や技術力で国力を競うようになっていました。宇宙開発競争はその一つで、まだまだ未知の部分も多い宇宙の開発は人々の関心も高く、注目されていたのです。

 宇宙にスペースコロニーを持つことは、それだけ高い技術力と経済力を持つことの証明であり、先進国の仲間入りの条件の一つとなっていたのです。

 こうして、多数のスペースコロニーが打ち上げられることとなりました。

 しかし、EOMの襲来によって、皮肉なことにスペースコロニーは本来の目的であるリスクヘッジ。

 人類の最後の拠点として機能するようになりました。



各スペースコロニーの事情

 こうして宇宙空間に建造されたスペースコロニーですが、EOMが現れるまでどのように機能していたかはコロニーによってまちまちです。

 青々と広がる人工の海や綺麗な森林などを有し、富裕層のためのリゾート地や避暑地として発展したコロニーもあれば、逆に低所得者などの立場の低い人間を送り、労働に従事させていたコロニーもあります。

 中には国の中枢をスペースコロニーに移し、宇宙空間での発言力を増そうとした野心的な国もあれば、コロニーを維持できる最低限度の人間だけが住み、本来の目的であるリスクヘッジとしての役割を頑なに護ろうとしたコロニーもあります。

 現在、公式で設定されているコロニーは6つです。それ以外のコロニーについては規定されておらず(15機のコロニーが存在し、その内3機はEOMによって破壊されました)、プレイヤーたちの意見を取り入れながら、GMの裁量で自由にセッションに組み入れていただいてかまいません。



EOMパンデミック後の各コロニー

 EOMパンデミック後はどのコロニーも例外なく人類の避難場所として機能するようになりました。この際、自国以外の避難民を受け入れたコロニーも少なくなく、多くのコロニーは多様な人種で構成されています。(許容量的には自国の人間を全て賄えるほどのコロニーだったとしても、当時の技術でも宇宙に人を送るのは少なくない労力と準備が必要であり、結局自国の人間を全て宇宙に避難させることができた国家はほぼ存在しませんでした。このため、同盟国の人間や難民を迎え入れたコロニーが多数ありました)

 スペースコロニーは元々地上で人が住めなくなった際の避難場所として設計された関係から、単独での運用もある程度可能です。

 しかしそれも永続的なものではなく、地上からの資源供給は急務とされていました。

 EOMパンデミック後はどのコロニーも資源不足にあえいでおり、人々に節制を呼びかけ、食糧などを配給制に切り替えたコロニーもあります。

 一部のコロニーでは主権の逆転が起こりました。これはどういうことかというと、コロニーには当然のようにそれを製造した組織(多くの場合は国家)があるわけで、コロニーはそれに属するものなのですが、EOMパンデミックによってその元々の組織の領土が消滅すると立場が逆転し、コロニーが元々所属していた組織の意向を無視し自分たちの裁量でコロニー運営をするようになる場合がありました。

 このようにEOMパンデミック前後で人々の生活様式は大きく変化しています。

 様々な人種の人間が身近に存在すること、中には国家から切り離されることを選んだコロニーもあるわけで、自分たちの国籍や人種といった帰属的意識を持たない人間も増えています。

 一方で、奪われた自分たちの故郷をEOMから取り返し、再び祖国の地を踏まんと、自らの血筋や出自に固執する人間もいます。




各コロニー紹介

 ここでは公式で規定されている6つのコロニーを紹介します。

 ここで紹介するのは6つだけですが、EOMが出現した時には15個のコロニーが存在し、その内3つのコロニーがEOMに破壊されています。



サスガ(流雅)

 建造国は日本です。

 日本は小さな島国ながら高い宇宙開発技術を持っており、それを外交に利用して、他国に技術を売るということをしていました。サスガ以外にも、日本が建造に関わったスペースコロニーは存在します。

 サスガは他のコロニーと比べて顕著な特徴はありません。当時の日本をそのままスケールダウンした日本がそのまま存在し、多少の文化の違いはあっても、大きく本国と逸れる物ではありませんでした。

 日本はEOMが最初に出現したフランスからは遠いことから、比較的多数の国民が宇宙から脱出しました。また、他国のスペースコロニー建造にも協力していた背景から、そうした避難民が別のコロニーで受け入れられるケースも多く、比較的多くの人間が宇宙に逃れることができた人種です。

 ただし、それでも全ての人間が宇宙に逃れられたわけではなく、地上に取り残され犠牲になった人間は少なからずいます。

 他のコロニー同様、多数の民族を受け入れ、人種の分布はEOMパンデミック前と後で様変わりしています。が、やはり日本人が多いです。

 2012年に大規模なEOMの襲撃に遭い、コロニー崩壊こそ免れましたが、表層の町並みには甚大な被害を受けました。復旧には数年かかると言われています。




シューティング・スター(Shooting star)

 アメリカ合衆国が建造したコロニーの一つです。存在するコロニーの中でも最大規模を誇ります。

 EOMが現れる前はリゾート地として機能していましたが、当時のコロニー長アーノルド・セーガルの号令によって目玉であった海は埋め立てられ避暑地であった山々は切り崩され、より多くの人間が暮らせるように大改造されました。

 EOMパンデミックの混乱の中、シューティング・スターは数あるコロニーの中でも精力的に動き、英断とも呼べる様々な改革案を実行します。

 その一つは難民問題に対する人民の切り捨てです。多くのコロニーが言葉を濁す中、『自分たちの身を守るためにその全てを受け入れることはできない』という非情な宣言を最初に公的に下したのがシューティング・スターであり、そのコロニー長であったアーノルドです。また、自らを『アメリカ合衆国の人間ではなくシューティング・スターの人間だ』と発言し、アメリカ政府に主導権を渡すのを拒み、他国の避難民も数多く受け入れました。

 数あるコロニーの中でも様々な影響力を発揮し、一際存在感のあるコロニーです。

 なお、アーノルドはアマルガムの開発が完了し、EOMパンデミックが終息後、自分のコロニー長としての任期が終わると同時に、自らの意志で刑務所に入りました。

 この行動の意味についてアーノルドは一切発言していませんが、多くの批判も浴びた彼の様々な決断に対する彼なりの責任の取り方ととらえられています。

 シューティング・スター内でも彼を公正な人間だったと英雄視する人間もいれば、売国奴だと批判する人間もおり、その評価は二分されています。



チューファー5(出発五)

 建造国は中国です。

 規模はシューティング・スターに1歩譲りますが、それでも1位2位を争うほど巨大です。人口自体は最多となり、その総数は把握しきれていません。

 このコロニーの特色は広大なスラム街です。

 元々人口が多く、国土も広い中国は、自国だけでも多数の人間が避難してきました。

 ですがそれ故に混乱も大きく、コロニー運営の主導権を中国政府に移す際の混乱の隙をつき、一部の避難民たちが政府の指導を待たずに自分たちで住処を決め、その結果広大なスラム街が形成されました。

 そういった混乱が起きたのは、元々チューファー5に住んでいたのは低所得者帯のものたちが多く、コロニーを運営する立場の人間も同様で、指導力を発揮できなかった点があります。

 地上からの避難民たちは元々勝ち組であったことに対する優越感と、結局EOMによって財産も失い、自分たちが持っていたその優越が失われる危機感の両方が存在しました。

 そのため無秩序な行動をとる者がでて、それが引き金となり我も我もという人間が続き、このようなパニックが引き起こされたと言われています。

 似たような混乱は、どのコロニーでも多かれ少なかれ起こっています。チューファー5の問題は比較問題として大きかっただけです。



トライアル3(TRIAL3)

 建造国はイギリスです。また技術協力として日本もその建造に深く関わっています。

 サスガ同様、大きなコロニーの特色はありません。ただイギリスはEOMが最初に出現したフランスととても近いこともあり、自国からの避難民はわずかなもので、その分他国からの避難民を積極的に受け入れた背景があります。このため、特に多数の人種が混在するコロニーでした。

 しかしトライアル3はコロニー内部への大量のEOMの直接ジャンプという考えうる限り最悪のEOM災害に遭い、アマルガムの開発を待たずその一年前に内側から破壊されました。



ヘクサ(Hexa)

 ギリシャ語で6を意味する名前のコロニーです。

 建造国はありません。

 このコロニーは多国籍企業として名を馳せる6つの巨大企業が共同で建造した異色のコロニーです。

 多数の工業プラントを有し、彼らの高い生産力はEOMパンデミック後、資源不足にあえぐコロニー間の中で重要な役割を担いました。

 ただし、6つの企業が共同で建造した背景から、意思決定はまず6つの企業のトップの合意を得ないといけない側面により、一枚岩ではなく意思決定も遅いです。

 元々が企業ですから利己的でシビアに自分たちの利益を追求する面があり、コロニーの規模に比べると避難民を受け入れた数は少ないです。ただしその分、無用な混乱で産業力を落とすことなく、独自の路線で人類存続のために意味を為したコロニーです。




ビリアスクーナ(?)

 建造国はビリアスクーナ。2015年現在はまだ地上に存在しない架空の国家です。

 元々はロシアの一部だったとされ、それが独立して出来上がった国です。正確な位置や風土は規定されておりません。

 宇宙開発技術に先鋭化した国で、地上に領土は存在しましたがスペースコロニーの建造成功からほどなく国の中枢を宇宙に移し、スペースコロニーが本土となります。このため、コロニー自体を国名で呼びます。

 小国であり歴史が浅く大した資源もない分、宇宙の開拓で世界での存在感を増そうとした判断です。

 ビリアスクーナ自体は小国でしたが、このような性質のため、宇宙内では強気な発言を行います。(それが彼らの外交手段であるからです)

 ロシア語を起源とするビリアスクーナ語があります。

 小国らしからぬ宇宙開発技術を持っていましたが、それでも大国や先進国にはかなわず、コロニーの規模は中間程度、産業や技術力でも突出した部分はありません。

 その代わり、彼らは宇宙で生きることを自ら望んだ国民性を持ち合わせています。彼らは地上からの避難民に時折見られるコロニー出身者への蔑視は無く、自分たちが宇宙の民であることを誇りに思っています。

 EOMパンデミックにより他の国家同様、地上の国土を失いますが、元々主権を宇宙に移していたため混乱は少なく、小国ながら逆に混乱する大国を指導するほどでした。

 気のせいか、EOMパンデミックが起こった今の方が活き活きとしているようでもあります。

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