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「やあ、僕の名前はシルバー。君は誰だい?」


少女が起きると共に、少年が笑顔で顔を見せる。

銀髪を靡かせる天使の様な笑顔に少女は何故か懐かしくなった。

それは何故かわからないが、初めて見るはずの少年を見ると、知らない場所にいる不安など忘れて、何故か安心感が胸を包む。


「私は名前はないの・・。貴方は誰?」


シルバーは驚いていた。

顔もそっくりだが、声もそっくりだったのだ。

最早生き写しと言っても過言ではない。

しかし彼女は決してシャルルではない。

それは分かっているのだが、心の中の何かが彼女をシャルルと被らせる。


「僕は旅人さ。君が倒れていたから助けたのさ。君には名前がないのかい??」


少女はありがとうと呟き、シルバーの問いに頷く。

ふとシルバーは少女の首を見ると、奴隷の首輪がはめられていた。


「ひどいね。君は奴隷だったんだね。

ほらこれで自由だよ。」


シルバーが少女の首に手を当てると、首輪は塵になり消え馳せた。

そして少女の手を取り、甲に付いていた焼き印も消し去る。

少女は驚いた顔をして、そして嬉しそうにシルバーにお礼を述べる。


「ありがとう。本当にありがとう。貴方は神様か何かなのね。」


少女は本当に嬉しそうにシルバーに頭を下げる。


「僕は神様ではないよ。どちらかと言うと魔王の方が近いかな。」


ははっと笑いながら言うシルバーに少女は


「じゃあとても優しい魔王様だね。」


と手をとって笑顔で言う。


ああ、これはあの時と同じだ。

あの幸せな日々と同じだ。

シルバーはシャルルと過ごした二年の月日を思い出す。

何故か涙があふれでて、彼女の名前が口をつく。


「シャルル・・・。」


少女は急に泣き出したシルバーを、嫌がる事もなく抱き締めていた。

そして呟いたその名前に何故か胸が締め付けられる。


「シャルル、いい名前。私の名前シャルルがいいな。」


その少女の言葉にシルバーは驚き顔をあげる。

その時ふと肩に目がいったのだ。

そこには神の痣があった。

ああ彼女はシャルルの生まれ変わりなのだ!

その時、シルバーは何故か確信した。

シャルルの呪いを受け継いだ時に、シルバーの神の痣は消え去ったのだ。

あのときもしかしたら、体に溶け込んだシャルルに神の痣が写ったのではないか??

神の痣を持つものは幾年かを過ぎれば生まれ変わると言われており、もしかするとシャルルは神の痣の力で生まれ変わったのでは??

確信は無かったがシルバーはそう思う事にした。

彼女はシャルルの生まれ変わりなのだと。


「あ、ああ君の名前はシャルルだよ!君の名前はシャルルだ!」


更に涙が溢れ出す。

500年の月日を越えて廻り合ったのだ!

彼女には前の記憶はないだろうし、無くていい。

だけど今度こそ彼女を死なせはしない!

そして今度こそシャルルに世界を見せるんだ!


「シャルル、世界を見たことがあるかい??」


シャルルは首を横にふる。

シルバーはそれを見て笑顔になり、


「じゃあ僕と一緒に見に行かないかい?」


その言葉にシャルルは笑顔で頷く!

二人の旅が500年の時を経て今から始まるのだ。



ーーーーー



エルドラド神聖国


「残りの勇者を集めよ。」


封印の確認から帰った勇者は神官に勇者の召集を求めた。

神官は頷き直ぐに行動に移る。

そして奥からは勇者の帰りを聞いた聖女が現れる。

白い神官服に身を包んだ聖女は絶世の美女と言っても過言ではない見目をしている。

聖女に目をやり膝をつく勇者。


「勇者ローグ、やはり魔王が?」


「はい。魔王が復活いたしました。聖女様は他国に戦争の準備を督促ください。

私は他の勇者を集めます。」


「分かりました。ローグ、あなた方が頼りです。」


聖女の言葉で世界は動き出す。

シルバー包囲網が出来はじめ、平和だった世は再び戦乱へと巻き込まれていく。


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