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これより本編です。


一人の少女が森を走る。

首には首輪、そして左手の甲には焼き印がある。

少女は所謂奴隷であった。

走る少女の後ろには三人の人影。

少女はこの付近にあるブラクトニア帝国への移送中に、少女達を運んでいた商隊が盗賊に襲撃を受けた。

もちろん商隊にも護衛がいたが、盗賊の圧倒的な数に押され、商隊の馬車は壊される。

その時に隙を見て少女は逃げ出したのだが、何人かの盗賊に見つかり追われるはめになった。


「おら!逃げられると思うなよ!捕まえて色んな事してやるぜ!」


盗賊のゲスな笑い声に鳥肌をたてつつ少女は走る。

しかし、その先は行き止まり!

大きな崖に飛び出した!

すぐに盗賊は追い付く!

そして少女を見るが、盗賊達は息を飲む。

目の前にはまるで女神の生き写しが如く輝く、美しき少女がいたからだ。

逃げてる時は後ろ姿しか見えなかったが、前から見た美しき少女に盗賊達も動きが止まる。


「やめて下さい。」


少女は透き通るような凛とした声で盗賊達を制する。

その態度に一瞬盗賊も怯むが、盗賊達もプロである。

直ぐに我に帰り少女に詰め寄る。


「これは上玉だ!しかも特上だぜ。高く売ってやるからこっちに来な。」


「おい、お頭にもって行く前に俺らで味見しねえか??」


後ろにいた盗賊が、この中でリーダーぽい奴に声をかける。


「ああそれはいいな!やろうぜ。」


更にもう一人の盗賊がリーダーに声をかける。

リーダーは少し悩むが直ぐに卑下た笑みを浮かべた。


「こんな上玉めったにお目にかかれないからな。よしやろうぜ。」


少女はこれから去れることを理解した。

そして覚悟を決める。

こんな者達に自分の貞操をくれてやるぐらいなら、ここで死のうと。

そして少女は崖から飛び降りる。

飛び降りながら流れる涙は、海に溶ける。

その時、海面に光だし魔方陣が現れた!


ーーーー


少女は生まれた時より奴隷として育てられた。

母や父の顔は知らない。

奴隷商の店主には赤ちゃんの時に売られたと聞いた。

その理由は分からないが、売る際に父が少女の肩にある痣が不気味だと言っていたと言う話は教えられた。

痣については少女自身も何か不思議な力を感じる時もあるが、他の奴隷や店の者に聞いても誰も分からないと言う。


少女はその美貌もあり、高値を付けられた事が幸いし15歳になるまでは買い手が現れなかった。

しかし、たまたま商店を訪れたブラクトニア帝国の帝王であるディアボロに目を付けられる。

大量の金貨に直ぐ売却を決めた店主は直ぐに移送の準備をし、ブラクトニアへ出発した。

その際に盗賊に襲撃を受ける事になる。


ーーーー


少女の体が海に落ちる。

その瞬間、海面に魔方陣が描かれる。

肩の痣がジンジンと熱を持つのを感じると共に、誰かが少女を抱き抱えるように感じた。

意識は落ちた衝撃で朦朧としていたが、誰かが自身を抱えているのはわかった。

その誰かが声をかける。


「シャルルなのかい??」


少女はその問いかけを理解することは無く、意識を手放した。


エルドラド神聖国では大騒ぎになっていた。

何があったのか分からないが、厳重に施された魔王の封印が解けたのを勇者が感じとっていた。

普通には解けるはずもない封印だが、消滅したのを察知した勇者は直ぐに確認に急ぐ。

転移の魔法を使い、ガルダン海峡に向かう。

昔のガルダン海峡は海だけだったが、昔とは違い勇者と魔王の戦いで海峡の間に一つの大陸が出来上がっていた。

海が干上がり大陸が出来上がる程の戦いであったことが、魔王と勇者の凄さを今でも物語っており、当時の悲しみを忘れないと、この大陸はアルメニア大陸と名付けられていた。


勇者は封印を確認するが、やはり封印が無くなっていた。

近くの森には魔王の形跡。

直ぐに近くを探知の魔法で探るが気配はなし。

変わりに崖の方で失神している盗賊を見つける。

勇者は盗賊達に近より、盗賊を起こす。


「おい、何があった?」


盗賊達は起こされて吊し上げられる。


「ひえ。あんた誰だ??」


「私が何かなどどうでもいい。一体何があった?」


盗賊達は怯える様に震えながらしゃべり出す。


「わからねえ。だけどとんでもねえ怪物に殺されかけた。

あれは化け物だ。」


勇者は直ぐに魔王であると理解する。

しかし魔王が殺さぬとはまだ力が完全ではないのかと、考えながら勇者は盗賊を消し去る。


「ひえー!何をするんだ!」


一人が殺され、後の二人が腰を抜かす。

勇者は並列思考という特技を持っているため、一方で考えながら、一方では盗賊達に剣をむける。


「お前たちは盗賊だな。ならば成敗だ。」


そう言うと残りの盗賊を一瞬の内に切り捨てる。

そして斬られた盗賊は斬られた所から燃えだし塵となった。


「魔王逃がすまい。」


そう言うと勇者は転移し、その場には何も残らず、いつもの時が流れていた。


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