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プロローグ1

君の為に魔王になろう。

君が愛したこの世界には、もう君はいない。

君を殺したこの世界が、人々が憎い!

ここは最早君の愛し、夢見た世界ではない。

君と共に愛を語ったあの世界はもうない。

だから滅ぼそう。

君がいない世界なんて、滅ぼそう。。


ーーーー


かつて勇者と言われた男は、愛する人を目の前で殺された。

勇者の愛した娘は呪い子と呼ばれ、16歳の生誕日をすぎたある時に、呪いの痣が現れた。

呪いの痣とは、世界に混沌をもたらす災悪の印とも呼ばれ、その痣をもつ者は邪神メテルディウスに愛されていると言われる。

そのためその娘、アルメニア王国第二王女シャルルは実父であるブライデン王により処刑される事になる。


物語はこれより二年前、城の牢より始まる。


ーーーー


王女シャルルは生まれた時より呪いの痣を持っていた。

しかしそれはまだ痣が開眼していない状況で、母であるセーラ王妃の懇願もありシャルルは殺されず、城の地下に幽閉される事になる。

その時よりシャルルは人としての扱いなど受けず、唯一の味方であった母であるセーラが3歳の時に亡くなった後は更に扱いは酷くなった。

それでもシャルルは生きた。

生きたと言うよりは、生まれた時より奴隷以下の扱いが続き、考える事も出来ず、ただ時が過ぎ行くままに生かされていたと言う方が正しい。

シャルル自身、楽しみや、喜び、怒りや悲しみと言う感情を殆ど知らなかったが、いつも自分がもうすぐ死ぬと言うことだけは理解し、自身の死を幼いながらにうけいれていた。


痣が開眼すればいつ殺されてもおかしくないが、痣は開眼せず時は過ぎシャルルは14歳になった。

いつもと同じくただ天井を見上げて、今日も一日が過ぎていく。

話す相手はたまにご飯持ってきてくれる待女のシルビアくらいだが、彼女もシャルルを憎んでいるのをシャルル自身感じていた。

なぜシャルルは自身が憎まれるのかなんて自身が知る由もなく、今日も一日が終わるはずだった。


そんな時、いつもと同じつまらなく退屈な時間が一辺する。

シャルルの牢の前に誰かがいた。

シルビアでも見張りの牢番でもない。


「誰?!」


シャルルの問いに牢の先の暗闇から、まるで太陽の様な笑顔が現れる!


「君こそ誰だい??僕はシルバー。なんだか神様に選ばれた見たいでこの城にやってきたんだ。君は何故そんなところにいるんだい??」


まるで子犬があそんでほしいかの様に、シャルルに質問をする少年は、銀色の髪を靡かせるまるで天使の様な美少年であった。


「私はシャルル。私がここにいる理由はわからないけど、生まれた時からここにいるから。」


まるで感情がないかの様に機械みたいにしゃべるシャルルにシルバーは少し悲しそうな顔をする。


「シルバーは何故そんな悲しい顔をするの?」


シャルルはまるで分からないとでも言うようにシルバーに問いかける。


「だって悲しいよ。シャルルは知らないのかい?

どこまでも広がる青空や海を。そしてどこまでも広がる世界を!」


シルバーの言葉にシャルルは少し興味を示す。

シルバーはそれに気付き、言葉を続ける。


「シャルルもそんな所にいないで見においでよ!シャルルはそこから出られないのかい??」


シルバーの質問にシャルルは少し悲しげに頷く!

その頷きにシルバーは満面の笑顔を見せた!


「それならば僕が王様に言ってあげるよ!そしたらシャルルも世界が見れるよ!」


シルバーはそう言うと凄く楽しそうに駆け出していった。

シャルルはその言葉に凄く期待した。

シャルルの世界はこの狭い牢の中だけ。

たまに差し入れられる本で世界の広さや景色を知っているが、この目では見たことがない。

そしてこの目では見れることはないと幼心に理解した昔を思い出す。

しかしまるで本で見た太陽の様な輝きを持つ、あのシルバーという少年が見せてくれると言うのだ。

シャルルの胸はときめいた!

それは生まれて初めて味わうシャルルの心の衝動であった。


シルバーの胸は何故かドキドキしていた。

初めてきたアルメニア王宮で、任務の為に地下牢までやってきた。

最終的には自分の手を汚すのだが、まずはその者を見ようと思ったのだ。

そして道の先にまるで本でみた女神の様な女の子と出会う。

その子は牢の中でまるで感情がないかの様にただ天井を見上げていた。

興味を持ち話かければ世界を知らないと言う。

そしてシャルルは生まれてからずっと牢の中にいるという。

シルバーの心はシャルルに会い、シャルルと喋る事でざわついた。

シャルルに会うために許された時間は数分しかなく、しかしその数分でシルバーはシャルルの心を感じた。

寂しさと孤独、そして死だけが彼女の心を支配していた。

任務の事などどうでも良くなった。

シャルルにただどこまでも広がる世界を見せてあげたいと、喜ぶ顔が見たいと、ただ純粋にそう思った。

だからシルバーは走る。王の元へ。


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