第9話 真実
今日、いよいよ私は大志と結婚する時が来た。体の方も落ち着いてきたので披露宴を挙げようということに決めたのだ。私と大志は披露宴前に準備をしていた。
「美穂、本当に体の方は大丈夫か?」
「何よ急に。大丈夫だから心配しないで。」
「うん。」
やはり大志は心配そうにしていた。
「兎に角、今日は楽しもう。」
「ああ。」
コンコン…。ドアを叩く音がした。
「どうぞ。」
「失礼します。美穂さん、お久しぶりです。」
「おー、佐伯先生。久しぶりです。来てくれたんですね。ありがとうございます。」
「こちらこそ、結婚おめでとうございます。」
「誰?」
「私の所に相談に来たの。生徒の人生をどれだけ壊したことやら。」
「そうでしたよね。あの後、クラス全員が進路が決まらなかったんです。」
佐伯先生は笑いながら言った。
「怖。」
「そう言えばどうしてあの時、頭が痛くなったんですか?」
「それは…。」
「美穂さんの体に、美穂さんの脳が入っていなかったからです。」
ドアの所に梅野さんが立っていた。
「梅野さん。」
「亜紀で良いですよ。」
「分かった。」
「どういうことですか?」
「美穂さんの脳は、元々美穂さんの脳ではないんです。前世の原田氏の脳で、美穂さんが生まれた時に脳を変えられたのです。」
「つまり頭が痛くなったのは、記憶障害と言うことですね?」
「近いです。」
「私の中で起こっていることは、私の記憶とお爺ちゃんの記憶が混合しているということです。」
その時だった。私の脳内で何かが起きた。何だ?
「ああああああああああ。」
私は頭を抱えた。私の意識が飛んだ。
目が覚めた。ここはどこだ?東北の松?そんな場所、私は知らない。そして奥から誰かがやってきた。
「気が付いたか。」
「誰ですか?」
「私の名前は原田真子。あなたの前世である原田優希の娘よ。」
「どうして?何が起きているの?」
「ここは私のいる世界。美穂がいる世界ではないわ。」
「知っていますよね?私の脳が優希お爺ちゃんの脳だってこと。」
「知っているけど。だって私が入れ替えてって言ったんだもん。」
「どうして?」
「パパのことを生き返らせたくて。それだけ愛していたから。」
「でも明日香お婆ちゃんには隠し子がいたんですよね。」
「それはパパと結婚する前の話。」
「信用しませんから。」
「なら私についてきて。」
私は言われるがままについて行った。
私は連れて行かれたのはお爺ちゃんの小学校だった。教室には私の脳があった。
「私の脳…。」
「美穂の脳の中に記憶は入っていない。だから美穂の記憶何て存在しないのよ。」
「何で。何でよ。」
私は泣き叫んだ。
「私の気持ちはどうなるのよ。」
「さあね。確信できるのは、脳を入れ替えても死ぬの。」
「ならこのままでも死ぬの?」
「パパの記憶で出来ているからね。」
「どうすれば生きられるの?」
「無理ね。脳の入れ替えはこの世界では不可能だから。」
「そんな。」
「兎に角、現代に戻してあげる。」
彼女は私の腹を殴った。
「うっ。」
私は気を失った。
しばらくしてから目が覚めた。そしたら結婚式は終わっていた。え?私は家にいた。
「結婚式楽しかったね。」
「え?」
「え?って何?」
「あ…ううん。何でもない。」
私が時間が戻った時に何があったのかが全然分からなかった。 続く