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第6話 恋の行方

私は大志さんに会ってからずっと彼のことが気になっていた。私は家で考えていた。

カランコロン♪♪

「はい。」

「美穂さん?」

「え?大志さん?」

「今大丈夫?」

「うん。お茶でも飲んで。」

大志さんは温かいお茶を口に含んだ。

「今日はどうしたんですか?」

「あれからいろいろと考えたんです。俺たち、結婚しませんか?」

私も薄々考えていたこと。

「………、少しだけ考えさせて。」

「迷っているの?」

「うん、正直心の準備が出来ていなかったから驚いている。」

「分かっている。今答えを出さなくてもいいから時間をかけて考えて。」

そう言い残して大志さんは帰って行った。



2時間後、お客さんが来た。

「どうぞ。」

「あの…、相談があるんですけどよろしいですか?」

「まず座って。名前は?」

「私の名前は二山環。小学6年生です。」

「小学生も悩みってあるのね。で何の相談?」

「私には好きな人がいるんですけど、小学校卒業と共に好きな人とも別々になるんです。中学校に入ったら会えなくなるのが嫌なんです。小学校卒業するので告白をしたいのです。」

「好きな人って誰?」

環ちゃんは写真を見せた。

「これです。カッコいいですよね。」

「青春だなー。私も小学校の時、好きな人いたよ。結局告白したのは20歳の時だったけど。」

「告白できたのならいいじゃないですか。」

「でも告白は今した方がいいよ。年を取ってから告白しても相手が困惑するだけだから。」

「ちなみにその人とはどうなったんですか?」

「忘れちゃった。昔のことは覚えていないから。それよりいつ呼び出すの?」

「来週の土曜日が卒業式なので、前日がいいかと。クラスが一緒なので呼び出すのはできるんですけど告白の言葉が分からなくて。」

「そっちね。環ちゃんは彼に何を伝えたいの?」

「好きって言いたいです。」

「告白にも種類があるんだよ。単に好きって言うのと、付き合うのと。」

「私はこれからも仲良く出来ればいいと思っていますよ。」

「要するに告白をしても友達関係を続けたいということね。」

「はい。」

「お節介だけど、友達同士だと彼に彼女が出来ても何も言えないけどいいの?」

「………。」

嫌なんだ。

「一人の女として告白をした方がスッキリするんじゃない?好きなんでしょ?」

「はい。それに彼が他の女の子に取られるのも嫌です。」

「ならそう伝えなくちゃね。」



卒業式の前日に環ちゃんが彼を私の家に呼び出した。よりによって私の家。

カランコロン♪♪

「あのー。」

「どうぞ。」

「すみません。二山環という女の子と待ち合わせをしているんですけど。」

「環ちゃんね。今、奥の部屋で私のパソコンで遊んでいる。呼ぶね。」

私は大きな声で環ちゃんを呼んだ。

「環ちゃん。」

環ちゃんは私の元へ来た。緊張をしているのだろう。無言だった。

「環。よっ。」

「うん。」

私は別室で様子を見守ろうとした。が…。

「原田さん、ここにいてください。」

「もう。仕方がない。飲み物持ってくるから。」

私は2人にジュースを渡した。

「清田くん、あのさ…。」

ちなみに彼の名前は清田一久(かずひさ)。環ちゃんと同じクラスの男の子。

「話はちゃんと聞くから大丈夫。」

「清田くんとは、3歳の頃からずっと一緒だったでしょ?勿論小学校もクラスずっと一緒で…。過ごしていくにつれて好きになって行ったの…。好きだよ。大好き。中学校は別々になるけど、付き合ってほしいの。」

シーンという音が家の中を漂う。

「気持ちは嬉しいけど、ごめん。環とは幼馴染としてしか見られなかったから…。でもありがとう。」

環ちゃんは涙ぐんでいた。

「分かった…。私、清田くんより幸せになるから。振ったことを後悔させるくらい良い女になってみせるから。」

「俺も環の幸せを願っているから。」

環ちゃんは泣きながら帰って行った。

「本当にこれでよかったの?」

「はい、実は俺アメリカに行くんです。」

「そのこと何で言わなかったの?」

「言ったらますます悲しむと思って。」

「なら納得。」

「所で原田さんはどんな恋愛をしてきたんですか?」

「環ちゃんと同じような感じよ。」

清田くんは顔色を変えた。

「それって本当の記憶ですか?」

「どういう意味?」

「調べさせていただきましたよ。あなたは代々エリートの家柄だそうですね。」

「そうよ。それが?」

「こういう家の人間には多いんですよ。前世の人間の記憶を覚えている人が。特に原田さんに関しては記憶が混合している。そうなんじゃないんですか?」

「知らないわ。」

「気が付いていないだけだと思いますがね。中学で専門的に記憶について学ぶので。」

「そう。」

「これだけは言わせてください。原田さんの記憶、だんだん無くなってきていますから気を付けてください。」

そう言って帰って行った。どういう意味よ。私は全く気が付いていなかった。本当に私自身の記憶がなくなっていることを。   続く

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