第3話 家族関係
パリーン。ガラスの割れる音がした。
「何で言うことが聞けないの?」
彼女は泣くしか出来なかった。
「止めてー。」
彼女は悩んでいた。
私は今日、マッサージに行っていた。先日私の所に来た梅野亜紀。彼女は気象予報士になる前に、アルバイトでマッサージ師をしていたのだ。
「お疲れのようですね。」
「うん、昨日から頭が痛くてね。」
「私、何か言いました?」
「いいや、梅野さんが原因ではないよ。勘違いしないで。ああああああ。」
気持ちー。
「いくらカウンセラーでも無理はしないでくださいね。」
カランコロン♪♪
「いらっしゃいませ。」
お客さんが来たようだ。
「お客さん?」
と言ったときには接客をしていた。
「すみません。原田美穂さんですか?」
え?私?
「はい、どうしました?」
「あ、タメ語で構いません。助けてください。」
「何があったの?」
「家族と一緒にいるのが嫌なんです。」
「家庭環境が悪いのね。それで?」
「母親の束縛と干渉が酷くて困るんです。それが最近ならまだしも、10年前からずっと。」
「あなた名前は?」
「押川綾乃です。高校3年生で受験生です。」
「綾乃ちゃんね、言っておくけど私は怨み屋ではないから。あなたにアドバイスをするだけ。」
「分かっています。」
「それで何が目的?」
綾乃ちゃんは息を溜めて言った。
「私自身で家庭環境からの呪縛を解きたいんです。そうすれば楽になれる。」
「その前に、梅野さんは引っ込んでて。」
「はい。」
梅野さんはフロントに行った。
「兎に角、家庭内で何があったのか教えて。束縛と干渉の度合いが知りたい。」
「私の部屋に勝手に入って、それに入っているくせに反抗した瞬間に逆ギレ。それに門限もあるし、帰ってきてから私のことを聞くし。」
「タチ悪いでしょ。私も昔、同じようなことがあった。」
でも昔の話。
「どうすれば良いんですか?それに私は受験生です。勉強にも支障が出るんです。見てください、この痣。」
綾乃ちゃんの腕には複数の痣があった。
「痣ね。それよりも、あなたはメンタルが強いのね。」
「どうしてですか?」
「何年も耐えてきたのでしょ?あの娘御覧なさい。」
梅野さんが私を見た。
「はい?」
「あの娘は前までメンタルが弱かったの。」
「へー。」
「確かに私は弱かったし、すぐ泣いていた。心が強い綾乃ちゃんと比べると全然ね。」
「だから心配することはない。」
「え?それだけですか?」
「うん。」
「ではマッサージ始めますよ。」
「お願いします。」
心を穏やかにした綾乃ちゃんはマッサージをした。
次の日、何気なく家にいた私の所に綾乃ちゃんが来た。カランコロン♪♪
「綾乃ちゃん?どうかした?」
「実は…両親が離婚することになりました。」
「どうして?」
「おそらく私でしょう。私が両親を離婚に追い込んだんです。」
「それで?綾乃ちゃんは、どうするの?」
「寮に住むことになります。一応、父がお金を出してくれるので。」
「まず安心できるわね。1人暮らしは自由よ。」
「1日中寝ていてもですか?」
「そう。ただ掃除は自分でしないとね。」
「分かっています。所で美穂さんは、家族いないんですか?」
聞いちゃうか。
「聞きたい?」
「別に言いたくないのなら言わなくてもいいですよ。」
「教えてあげる。私の両親は警察に捕まったの。今はどうなっているかは分からない。でも分かったことがあるの。因果応報。自分が相手にしたことが自分に帰ってくるということ。」
「まさに私の両親。」
「だから綾乃ちゃんは、そんなことをしてはいけないからね。今回の離婚は、逆境からチャンスを生み出したってことね。」
ほー。今回は頭が痛くならない。 続く